警備会社にとっての東京オリンピック問題
1.東京オリンピックが2年後に控えている。観光立国日本をアピールできる喜ばしい機会だ。
ただ、今回のオリンピックはテロの可能性が取りざたされているだけに、テロ防止のための警備体制に世間の注目が高まっている。
民間警備に関してはセコム・アルソックとその協力会社を軸に全国の主要な警備会社がスクラムを組む形となる。
自社もセコムの協力会社なので、おそらく東京オリンピックの警備の参加要請がくるだろう。
2.100社を超えるかもしれない体制をどうやって機能させるか。警備業関係者の間で話題となっている。
ニュースによれば、ジョイントベンチャー(以下、JV)の形式でいくとのこと。
JVとは、共同企業体と言われるもので、複数の企業が互いに出資し、新しい会社を立ち上げて事業を行うこと。
ライバル同士のセコムとアルソック他主要な警備会社が共同企業体を作り、それに協力会社が委託を受けるということなのか。
3.警備自体の困難さ、指揮命令系統、警察との連携、ボランティアとの協力体制など様々な課題があるだろうが、一番の問題は人の問題だと思う。
(1)まず人員を本当に確保できるのか。
ニュースによれば民間警備員1万4000人を動員する予定とのことだが、それは正直厳しいのではないかと思う。
今、現場系企業は軒並み人手不足に悩まされているが、それは警備業も例外ではない。
例えば兵庫県では保安部門での有効求人倍率は6倍と言われており、その中の警備業は一説によれば13倍と言われている。
つまり、一人をめぐって13社が奪い合う状況が今で、今後もその流れが続く可能性が濃厚だ。
自社も施設警備に関しては、比較的人が集まってきているが、正直、日常業務を行いながら、隊員をオリンピックの警備に出すのは不可能への挑戦の感が否めない。
人の確保が出来ているうちですらこんな状態なのだから、日常業務にあてる人員する困難を極めている普通の協力会社はさらに厳しいといえる。
(2)次に隊員のメンタルの問題。
何度か東京に臨時警備でうちの隊員をつれていった経験から言わせてもらうと、特に田舎の隊員は東京のような大都市にでることそれ自体がかなりのプレッシャーになる。
なので田舎の場合、行けてもできれば行きたくないと思っている隊員の方が多いと思う。そんな人達を説得しなければならない。
このように警備会社によって東京オリンピック問題は人手不足問題、そして隊員のメンタルの問題でもあるのだ。
4.せめてエリアごとに一定数以上の人をプールできる体制が出来ていれば…。
それは今、自社の経営課題となっているが、みんなが欲しがる堅くて大きな取引先を確保するのは容易な話ではない。
セコムさん、オリンピック協力するからいいとこ紹介して〜(笑)。
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