交通の安全確保の現状を見る

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昨日、関西大学社会学部教授の齋藤了文著「事故の哲学」を読んだ。

自動車や様々な機械によって引き起こされる事故に関する責任や安全性について書かれたもの。
テクノロジーの進化に伴って因果関係が複雑になり、天災化する事故。それを防止するための安全性の確保、そして責任のあり方について述べられている。

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個人的に印象的だったのは第2章の安全の考え方の部分と自動運転の部分だった。

齋藤氏は自動車の場合を例に挙げて人は安全性確保に関して以下に述べる4つの方法を補完し合うやり方をとってきたという。

①使用者による道具のコントロール

スピード違反を取り締まるネズミ取り、飲酒検問など自動車の使用者に「安全運転」をさせること。

②道具そのものの安全性

衝突安全性、シートベルトやエアバッグといった装備の研究・開発を行うことにより、自動車そのものの安全性を確保すること。

③道具の使用環境の整備

道路の健全性を維持するための工事やガードレールの据え付け等インフラの整備

④社会システムの整備

自動車事故による死亡率の低下のための救急車や救急病院等の救急システムの整備。

そのうえで齋藤氏は、今の安全性を確保するために工学的、社会的、法律的に工夫されたシステムの中で自動運転車が普及していった場合、安全の確保や責任の所在に関して問題が生じることを指摘する。

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交通誘導業務も行う警備業者としては主に③の部分に関係している。
でも将来警察の補助業務も民間警備に委ねられることになれば①も関係してくる。

警備業者も交通上の安全に貢献しているのである。

でも自動運転が普及すれば、その仕事自体がなくなるかもしれない。

とはいえ、齋藤氏のいうように街に走る車全体が自動運転にならない限り、安全性のあり方が変わるとは思えない。

そう考えると自動運転の普及が直ちにウチにとって脅威になるとは考えにくいだろう。

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