アドリブとは準備しておくもの

スピーチや話し方の講座、レッスンなどでは「アドリブで話せるようになりたい」とか「その場でパッと話せるようになりたい」というご希望の方がいらっしゃいます。

アドリブで話せるようになれるのか否か、その答えは「なれます」。
ただし、アドリブの定義を合わせておく必要があります。

おそらく皆さんのおっしゃるアドリブは「準備していなくても、その場で話せること」です。
この定義でいくと、残念ながら「なれません」。

アドリブとは、台本や楽譜などにない即興の演技や演奏のことを言います。もともとの語源は「思うままに」「自由に」という意味。即興とは英語でインプロビゼーションと言って、役者や演奏者が自身の解釈で自由に演ずることを言います。

これはあくまでも、演劇や音楽などのテクニックをある程度身につけ習得している人が、準備されているものは使用せずに自分なりの解釈で表現することです。
つまりアドリブができる人は、基本が身についていることが大前提です。アドリブは果てしない基本のその先に生まれる一滴の雫です。

基本もなく全くスキルの無い人が、何を基準にアレンジして即興で表現するというのでしょうか・・・。
型が身についている上でその型を破るから型破りというのです。型もないのに何を破るのでしょうか・・・。
生まれた時から日本語を話しているからといって、人前でアドリブで話せると思ったら100年早い。

稀に、急に人前で話すことになった時、特に準備をせずともうまく話せることは確かにあります。それをビギナーズラックとか、たまたまとか、まぐれとか、偶然とか言います。確かにそれは誰にでも起き得ます。
しかしそれは再現性がなく積み重なっていきません。ただの点で終わり、繋がりません。
突然の指名でもパッと話せる人はすでに十分な技術が身に付いている、常にアイドリング状態にある人です。
結論、アドリブはとは事前に準備しておくものです。

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