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15年間女子校で育ち、同性のアイドルのヲタクになった女イベンターの話②

①はこちら


親に部活と嘘をつき、セーラー服を着て秋葉原へ向かった12歳の私。

周りの友達はジャニーズが好きな子ばかりだし、モーニング娘。の大ブームは落ち着いていて、女の子のアイドルが好きという子は誰もいなかったため必然的に一人だった。

確かこの日はとりあえずドンキホーテの8階に行けば"ロビ観"(※)が無料で出来ることを知ったのでとりあえず行ってみた。

※ロビ観…AKB劇場のロビーで公演の様子がリアルタイムで映し出されているモニターを無料で観覧出来ること。予約などは不要。(人気になってからはやってないのかな?)

ロビーにはお父さんと同じくらいの男性がちらほらいて、熱心にモニターを観ていた。

AKBの1.5期生と呼ばれる篠田麻里子ちゃんは1期生のオーディションには落ちているが、このロビーにあるカフェ(と言ってもちっちゃい小窓の受付があるだけだが)で働いていたところ、ファンからの熱烈な推薦があり特別に1期生と合流してデビューをした。

そのカフェで働く女の子は"カフェっ娘"と呼ばれていた。

カフェっ娘のお姉さんたちはキャッキャ楽しそうにモニターを見ながら働いていてとても羨ましかったのを覚えている。

実はこの8年後に自分もカフェっ娘になっているのだが、この時は全く想像もしていなく、ただ憧れのお姉さんとおしゃべりをしていた。

音漏れを感じながら公演をモニター越しで見たら、これは絶対生で観たい!ついに見つけたぞ!なんだこれ!?てか古参になれるじゃん!とワクワクした気持ちでいっぱいだった。

何より女の子のお客さんがこの日は皆無。ましてや中学生でセーラー服着ている人なんて珍しかったと思う。(自分の子がこんなことしてたって分かったら心配して倒れる)

○初めての劇場公演と初めての推し

当時はTwitterもインスタもない時代。
ガラケーでアメブロを毎日チェックして、アップされている動画はかなり少なかったがニコニコ動画で何度も公演動画を見ていたが、これと言って誰を推すかは決めていなかった。

そしてついに初めて公演を観に行く日に。

この日はチームA、チームKのメンバーをシャッフルしたチーム"ひまわり組"で行われていた。
毎回出演メンバーが違うので、公式サイトでその日の出演メンバーを確認。

大島優子・篠田麻里子…秋元才加

すでに人気があるメンバーを推しても面白くないし、美人さんだから才加ちゃんをとりあえず応援してみるか〜推し被りも少ないだろうしレスもらえるかな〜

という若干不純な気持ちもありつつ、レスもらえれば良いな〜くらいのモチベーションで公演が始まった。

まず距離が近い。こんな近くで歌って踊ってアイコンタクトしてくれて、好きにならないはずがない。

そして曲が良い。
おニャン子クラブもよく知らなかったので当然、秋元康?誰?と思っていた私にもわかる曲の良さ。

それを同世代の女の子が一生懸命に感情を表現しながら歌っている。

しかもかなり大人数で。(1公演だいたい16〜18人くらいが出る)


目の前で一生懸命にそれぞれがパフォーマンスをしていると目移りしてしまうが、

そんな中でダントツで背が高くて、お世辞にもアイドルっぽい華奢な体型とは言い難い子が、1番後ろの1番端で踊っている。

大きく手を上げたりする振りでは、ステージ袖の機材に当たってしまっているのではないかというくらいすみっこで、照明もあまり当たっていない。

それでも笑顔。

自分のことを応援してくれてるファンがいるのかもわからない中で、立ち位置は後ろの端ばかりだったが、ずっと笑顔で、誰かに見てもらえるようにがむしゃらに、必死にパフォーマンスをしていた。

それが秋元才加ちゃんだった。


○自慢の推し

その日から秋元才加一筋の女ヲタとなり、
CDが出れば何十枚も買って握手会をループ。

人気が出てからは握手会といえば幕張メッセやパシフィコ横浜といった大きな会場で行われているが、
当時は握手会当日に劇場に行けばロビーでCDが買えて、そのまま劇場の中に入りお目当てのメンバーと握手しながら話したり、手紙を渡していた。

初めての冠番組"AKB1じ59ふん!"が放送された日には感想を長々とファンレターに綴った。(まじいらなかったと思う)

次に会った時はその手紙に書いた内容を思い出して、「こんなこと言ってくれて嬉しかったよ、もっと頑張るね」と言ってくれて、

私が習い事のオーディションがあって受かるかわからない、緊張するんだ、と手紙に書いた後に会った時は私の顔を見るなり「合格した?」と気にかけてくれた。(クソどうでもいいこと書いてるのに優しい申し訳ない)

いろんなことを話したくて、喜んで欲しくて、才加ちゃんのことをたくさん褒めたくて、授業中いっつもルーズリーフを使ってファンレターを書きまくっていた。(ほんといらないだろうに申し訳ないことをしていた)


AKBが世間でどんどん認知されて有名になっていっても、才加ちゃんの握手会では列が途切れてしまうこともあった。

その度に私は走ってループをして、少しでも才加ちゃんの待機時間がなくなるように、待機してる姿を他のファンに見られないようにしたが(今思えば休憩してもらった方がいいし、間違ってる正義感)、

才加ちゃんはそんな私の姿を見て「走らなくていいよ、ごめんね走らせちゃって」と申し訳なさそうな表情をした。

こんな表情させたくない、
もっと才加ちゃんが人気になってほしい、
だってこんなに頑張ってるんだよ?
本当に素敵な女性なんだよ?
がむしゃらに頑張ってる姿は
本当にかっこよくて、美しくて、素晴らしくて、
何度も心を揺さぶられるんだよ?
もっともっとたくさんの人に見てもらいたい!

と思う気持ちが日々強くなっていった。

これは完璧なアイドルヲタクの完全体の姿だったと思う。中学3年15歳の出来事である。


完璧なアイドルヲタクとなった私はその後もしばらく一途なヲタクを続け、
ついにヲタクを活かした仕事"カフェっ娘"になるが…

③へ続く…

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