見出し画像

心に響く歌詞3『home』

 おはろん、しらすです。

 毎週水曜日は心に響く歌詞の紹介。第3弾は木山裕策の『home』。


 木山裕策のデビューシングルであるこの曲は、なんと作詞家の多胡邦夫のデビュー作でもある。多胡さんはEvery Little ThingやAKB48などに楽曲提供を行っている方でもあり、現在はヘッドホン制作やレコーディングスタジオの運営責任者を手掛けている。

画像1

多胡さんの手掛けたヘッドホン。見た目がおしゃれ。


 それでは、今回も最後までご覧あれ...。

時間は無限にはないイントロ

 まずはイントロを紹介。

晴れ渡る公園で不意に 僕の手を握り返した
その小さな手で僕の身の丈を 一瞬で包んでしまう
君がくれた溢れるほどの 幸せと真っ直ぐな愛を
与えられたこの時間の中で どれだけ返せるだろう

 「与えられたこの時間の中で」この歌詞で、私は時間が限りあるものだとを再確認することができた。
 何気なく過ごしていると「自分が死ぬのなんてまだまだ先じゃん」と思ってしまいがちだし、「時間は無限にあるもの」だと勘違いしがちだと思う。
 でも、人間の寿命はだいたい80歳強~90歳弱(日本人の場合)だし、誰かと過ごす時間はそれよりもはるかに少ない。

 多胡さんはしかもこの時間を「与えられた」と言っている。自分の親や祖父母、更に上の代のご先祖様から譲り受けたこの時間という意味なのだろう。
 与えられた有限の時間の間、誰と過ごし、何をしてあげられるだろうと、まるで神様のような優しさを兼ね備えた歌詞だ。

 ちなみに、時間の有限性についてはいろいろな歌でも言われおり、ピノキオピーさんというボカロPの書いた歌『君も悪い人でよかった』でもこんな歌詞がある。

時間は有限で 永遠みたいな嘘で
はかない人生の一瞬に 君がいて
つまらない世界を つまらないって笑って
肩を寄せ合う 少しさみしい二人がいた

 この「永遠みたいな嘘で」という表現に思わずしびれた。的を射た時間に対する価値観だと思ってしまった。これが「キャッチ―」ということなのだろうか。

言い方の違いによる伝わり方

 続いて、少し飛んでしまうがCメロにいく。

不思議な事に 君をいとしく思えば思うほど
パパのパパや パパのママ
本当に有難うって言いたくなるんだ

 先ほど言っていた「与えられたこの時間」を与えた人が登場。それを「祖母」や「祖父」と言わずに、「パパのママ」や「パパのパパ」と表現しているのには理由がある。
 これが自分の子供に話しかけているとしたらどうだろうか?歌詞から堅苦しさを抜いたこの表現により、優しく語りかけている感じを演出している。

 さらに、「有難う(ありがとう)」をわざわざ漢字表記している。普段から言っている「ありがとう」だと本当の感謝の気持ちが伝わりづらい、心の底からの感謝の気持ちを伝えるために「有難う」と漢字表記にしているのではなかろうか。

歌詞全体も今とは違う

 最後に歌詞全体を見てみる。

晴れ渡る公園で不意に 僕の手を握り返した
その小さな手で僕の身の丈を 一瞬で包んでしまう
君がくれた溢れるほどの 幸せと真っ直ぐな愛を
与えられたこの時間の中で どれだけ返せるだろう
帰ろうか もう帰ろうよ 茜色に染まる道を
手を繋いで帰ろうか 世界に一つだけmy sweet home
変わっていく君のスピードに 近頃は驚かされるよ
嬉しくもあり なぜか寂しくも ゆっくりと歩いていこう
あどけないキミの笑顔も 何か企んでる仕草も
そう全部が宝物だよ 世界に一つだけmy sweet home
不思議な事に 君をいとしく思えば思うほど
パパのパパや パパのママに
本当に有難うって言いたくなるんだ
帰ろうか もう帰ろうよ 茜色に染まる道を
手を繋いで帰ろうか 世界に一つだけmy sweet home
何時も 何時の日も ありがとう

 歌詞をまじまじと見るタイプの方なら感じるかもしれないが、この歌詞、比較的短めである。
 試しに先週紹介した『白日』と文字数で比較してみると以下のようになる。

『home』:303文字
『白日』:738文字
(Microsoft Wordで調べた結果)

 その差はなんと二倍以上!(白日が長いだけですが。。。)
 日本の文化として、言葉数を減らすことへの美学というのが存在する。俳句や短歌など決まった言葉で物の美しさを伝えたり、現代だと長い言葉に略語を与えたりなど。
 この歌詞は、歌うことを考えながら最低限の言葉で「家族への感謝」を伝えているような気がする。余計なことを言わないほうが、なんだか情報量が少なくシンプルで一つ一つの言葉が熱く伝わってくる気がする。

まとめ

 歌詞のこだわりから言葉数の少なさに至るまで、歌詞作りに細かなこだわりを感じ、そのおかげでデビュー作が大作となったとも言えるだろう。シンプルという良さ、それが真っ直ぐ伝わる家族のありがたみや大切さを感じさせたのだと思う。

 全体の歌詞をもう一度見直してみると、もしかしたら違う見方ができるかもしれない。読者は、この歌詞を読んで何を感じるだろうか?

 では、また来週。

いつも最後までお読みいただきありがとうございます。少しのサポートがブログなどクリエイト活動の励みになります。