海外旅行でのプチ不思議な体験

今からちょうど20年くらい前に、海外のある小さな島へダイビング旅行にいったとき。連休を使って行ったんで現地には日本人がどっと集まったのだが、僕の旅路は片道21時間の一人旅。

その途中…

広くて有名な国際空港での、国際線から国内線への乗り継ぎ。時刻は20時ごろ。出発ゲートに行っても飛行機がない?

空港内の店もすでに閉まっていて、電光掲示板などの案内がなく、人がまばら。深夜の夜道を歩きまわるような感じで空港スタッフを探して捕まえて、中学レベルの辿々しい英語で質問。僕はろう者なので筆談で。

3人目のスタッフとの筆談で、飛行機にトラブルがあって遅延しているうえに、出発ゲートもかけ離れたところになるらしいことがわかる。出発ゲートの場所はわかったが、出発時間はスタッフにもわからないという。スタッフは丁寧に出発ゲートまで同行してくれるわけではなく、行ってみてとだけ。

出発ゲートに行ってみるが誰もいない、文字通り僕一人ぼっち。本当にここで合っているのかと不安が拭えないまま、辛抱強く座って待つこと数十分。

あとからゾロゾロと日本人旅客が集まって来る。胸を撫で下ろしてよいかと思ったのも束の間、彼らもウロウロあっちこっちと指差しをしながら不安そうに振る舞う。彼らは先に来ていた僕を見て、たぶんここだろう、僕も彼らを見てここでいいだろうと、互いに心中を探るような雰囲気になり、出発ゲートにたちまち不安病が蔓延りだす。

彼らが別の出発ゲートへ移動を始めたら、僕もさり気なく付いていこうと謀りながら彼らを観察し続ける。結局、彼らは僕に質問してくることはなかったのだが、しばらくしてその出発ゲートに飛行機が現れて無事に搭乗することができた。

翌日、現地で彼らと再会した。小さな島なので、数日間、現地スタッフと観光客がごっちゃ混ぜになって団欒し、僕もゆっくり筆談しながら交流できた。旅先で日本人観光客が一堂に集まったところにアルコールが入ると異様に盛り上がる。

「あ、空港で先にいた人?聞こえないのによく出発ゲートがわかったな?」だの、現地スタッフに「他の客よりも僕と英語で筆談するほうが話が通じる」だの言われる始末。

実は、別の海外の島でも似たような体験をした。観光地に行く方法をホテルフロントに英語で筆談して教えてもらおうとしているところに、聴者の友人が代弁しようと割り込んで来た。しかし音声英語がうまく伝わらなかったのか、フロントに「筆談した方が伝わるから黙ってて」と一蹴される始末。

僕の英語力は中学生レベルなのだが、不思議な体験だった。


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