見出し画像

自作詩『つめたい朝』

『つめたい朝』

朝五時に
目が覚めてしまったので
散歩に出かける
 
まだ夢を見ている体の一部が
のんびりとあとをついてくる
 
つめたい路地のあちこちに
しずかな朝が置かれている
 
ふと見あげると
水色の空に木々の梢がぴたりと貼りついて
ツバメは円を描いて飛んでいる
 
生け垣の光で頭がいっぱいになると
夢は崩れて溶けていった
 
なにも考えず
喫茶店に入って
窓辺に座って
熱いコーヒーを啜って
 
外を眺めていると
きれいな笑い声が歩いていった
町がゆっくりと動きはじめたようだ
 
自分だけの朝に
太陽がのぼっていく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?