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【美術館の楽しみ方】 順路を無視してもいい?

展覧会に行くと、入口から出口まで、飾ってある順に1点1点鑑賞していく人が多いようです。

たとえ先客がいても、作品の前に人だかりができていても、きっちり順番どおりに見ていく。「もうちょっと見ていたいな」と思っても、次の人が迫ってきたら移動するし、逆に「もうこの絵は飽きたな」と思っても、列が動かないから我慢して待っている……。

「美術館を楽しむ」よりも「展示作品を順番に全部見る」が目的になっているようで、もったいなくないですか?

鑑賞順路を守るべきか

展覧会によっては、明確に順路が定められている場合があります。混雑が予想される場合は、トラブルを避けるために逆行不可にしていることも。

そういう時はルールを守るべきです。勝手な行動をすると迷惑になってしまいますから。

でも、そうでなければ、どの展示室からまわっても構いません

混んでいるエリアは飛ばして後で戻ってくればいいし、朝イチで展覧会に行ったらまず奥の展示室に向かえば、ほぼ誰もいない貸切状態でゆっくり鑑賞できます。

10年以上前ですが、東京国立近代美術館で開催された「パウル・クレー:おわらないアトリエ」では、順路が示されませんでした。鑑賞者の自由に回ってほしいという意図によるものです。

同美術館で後に開催された「ゲルハルト・リヒター展」なんかも、ゆるやかに仕切られた展示空間を行き来できるようになっていました。

アートの見方にルールなんてない

そもそも、「こう見ないといけない」なんてルールはありません。自分が一番楽しめる方法で、それぞれが好きに回ればいいのです。

もちろん、展示順はアーティストや学芸員の方が色々考えて決めているので、その意図を汲みながら順番どおりに見るのもひとつの方法です。

ですが、他に空いている作品があるのに、順番にこだわって「隣の人、早くどかないかな……」とイライラソワソワしていては、鑑賞を楽しめませんよね。

私は展示室に入ったら、まず部屋全体を見回して、空いているエリアに向かいます。人の流れには波があるので、たまたま人だかりができている作品の前も、数分後にはガランと空いたりします。

また、全ての作品を見ないといけないわけでもありません。何十点もじっくり鑑賞していたら疲れてしまうので、チラっと眺めて興味がなさそうな作品は後回しにしましょう。

本当に見たかった作品を見終えた後、余力があったら戻ってきてもいいし、戻らずにそのまま帰ってもOKです。思い込みのルールにとらわれず、自由に美術館を楽しんでみてください。



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