ゴールデンカムイ280話 感想と考察


すべての業の始まりが、杉元に収束していく辺りやっぱり主人公だなと…

菊田さんのノラ坊への希望みたいなのって、どこから生まれたのだろう?

不死身の杉元の武功って、作戦成功させた部隊にいた。
敵の指揮官倒して、敵部隊壊滅させて勝利に貢献した。とかそんなんじゃないわけで。白襷隊の生き残りで敵の雑魚を大量に倒して、噂で敵の士気を下げましたみたいな話で、大半が中央が盛りに盛ったプロパガンダで、兵士の希望となる存在ならばこんなところ(金塊争奪戦)にいない。

日清戦争時、自分がついていながら弟が亡くなった後悔を埋めるため、杉元も有古も俺が命救ってやったんだっていう…ただの自己満足なのかもしれない。

にしても、菊田さんも杉元も「アンタ何を知ってそう言ってんだ」…っていう…

杉元もアシリパさんと会って数日で「俺の相棒が…」って言ってたし…


戦争で杉元が生き残れたのは、菊田さんが中央からいなくなったから?
菊田さん中央に教官としていたら、杉元上等兵に推薦したかも…

一等卒で、上官の部下の管理もテキトーで杉元が第七師団の周囲ウロウロしてても誰も気にも止めないような立場だったからこそ、物資の切れた第一師団からではなく、最終投入で物資に余裕のある第七師団の兵士の死体から銃や弾薬や食料漁ることができたわけですし。

第七師団からしたら、たまったものではないですが…
死体のそばに銃や弾薬のない死体が杉元のせいで量産されたわけですし。基本銃や弾薬の数は師団、聯隊や小隊単位で正確に数えられるべき…

自分の隊のや師団の人間でもない、顔見知りでもない死体から、銃や弾薬追い剥ぎするっていう倫理を軽々と超越する主人公。

そうしなきゃ生き残れないんだ…
「そうするくらいなら、死んだほうがマシだ」のほうが多数派だろうですし…
鶴見中尉は、同じ師団の別の隊の兵に対してでも謝りながら失敬してた。

第七師団二十七聯隊に混じる杉元…持ち場どうした?
「お前誰?なんでそこにいる」状態の謎が過去編で説明された。

二十七聯隊のそばにいたのは、勇作さんを旗手として見かけたのが、きっかけだとしたら、杉元を呼び寄せたのは勇作さんで、菊田さんが勇作さんとの顔合わせを阻止してれば、金塊争奪戦に杉元が関わることも無かったかも知れない。

全ての運命の歯車の狂いの元凶は、菊田さんが杉元を拾ったからっていう…

傍から読んでる分には、これっぽっちも同情する余地がない。

杉元の梅ちゃんや寅次のこともですが、菊田さんの弟のことも、それとこれとは話が別。

杉元のせいで死んだ、二階堂洋平や杉元の装備の持ち主の兵士、浩平と尾形欠損や傷が治るわけでもない。

二階堂兄弟に非がないとは言わないけれども、造反組がやられて帰って来なくなったのも、尾形がやられたのも杉元のせいですし、造反組にくっついて行って帰るつもりだった算段がパァ、そりゃぶっ殺したくもなるわけで。

そこ親が屯田兵だからなのだよなと…幼少期に北海道に移住してからずっと、第七師団に身を捧げなければならない宿命背負ってる。だったら、造反組に付いていって中央に転属となれば、故郷に帰れると思うのも当然で…造反組は鶴見中尉に嫌気がさしたというよりは、北海道の厳しさがイヤになった兵の集まりって感じ…なんで自分の生まれ育った故郷でもない土地を守らねばならないんだ…だもんなと。


第七師団から杉元が追い剥ぎして使い捨てた銃や消費した弾薬も戻らない。

でも月島だけは、杉元に命救われてる…だから杉元網走で始末し損ねた。

そもそも、あのソリ…師団や聯隊毎に別れているのでは?とか思ったり。
だったら杉元が譲らなくとも、優先順位は月島軍曹…さして意味のない話だったけれど、怪我で朦朧としてたから冷静な思考できなくなってたっていうのもあるかと…

谷垣の邪魔さえ入らなければ、確実に尾形が尻拭いして、月島がそこまで責任負う必要もなかった。

尾形の隻眼…月島に杉元を仕留められなかった責任を実感させるためでもあるなと。


従うのに迷いの無くなった月島…地獄の特等席から鶴見中尉のステージに自ら上がった感。
正直、尾形だけが隊内の制裁役というのも、負担デカすぎだろうと思ってたので。

月島のセリフ「俺がいる限り地獄(あの世)へは行かせない」っていうニュアンスにも取れる。自分に「生きろ」と言った張本人に死なれては困る。

月島の生きる意味そのものですし。

死にたがりだと思ってたんですが、尾形、アシリパさん、鶴見中尉の互いのために絶対死ねない、死なない関係の仲間入りした感。


菊田特務曹長がスパイだと分かったら、猿叫して真っ先にトドメ刺そうとするはずな鯉登少尉がノータッチ。小銃より剣のほうが早いはずなのにもかかわらず。

鶴見中尉に銃向けたのにも無反応…
何もしない鯉登少尉はそろそろ邪魔な段階に突入してきたので、どうぞこの流れに乗って…むしろ鯉登少尉の始まりの地なので、最期の地になりそう…


菊田さんの役目って?
杉元が第七師団二十七聯隊の側うろついていた理由の説明役でしかなかったなと…

杉元を婚約者候補として直接金塊争奪戦に引き込んだのはキロランケですが、そもそも第七師団、ひいては勇作さんに関わらなれば金塊争奪戦に関わることもなかった。やっぱり元凶は菊田さん…

宇佐美…ルンペンに小銭握らせてタバコ取りに行かせるとか尾形と同じことしてる。

ルンペンですら小銭先払いでしか働かないのに、あれだけ大立ち回りして、タダ飯だけのノラ坊には同情を禁じえない…


まぁ…紙巻きタバコ珍しい時代に紙巻きタバコは怪しい人以外の何者でもないので、宇佐美に即バレしてるという…

尾形は電報や手紙で堂々と中央とやり取りしてそう…何でって?いちいち面倒くさいから。
尾形が誰と連絡取ってようと、師団の誰も、土方組も気に留めない。
触らぬ神に祟りなしで、追及したら不利益しかない。

つくづく尾形って触らなければ無害なのだよなと…

堂々と連絡取ったら、第一師団長に直接手紙や電報が行くわけではないので、間に入る人間に不信感与える効果もあるでしょうし。そういう追い詰め方するタイプ尾形。手紙や電報なら鶴見中尉が尾形の代わりに、虚偽の報告しても中央にはバレないですし。
 
流石に尾形に中央の監視全くついてないわけじゃないみたいな匂わせが、出てきてちょっと安心…まぁヴァシリが尾形の周囲に不審者いたら始末してくれるかと…だってストーカーだもん…

菊田さん…言ってることも、見た目もカッコいいけれども、結局、何のために中央や鶴見さんに従っていたのか謎のままだった。
解説や匂わせがない辺り、どうでもいいから描かれないんだろうなで、考えても仕方ない。

なんで杉元が日露戦争時、二十七聯隊のそばうろついていたんだの説明と、有古の引き立て役のためだけの人物だった…

にしても、作中の良心は白石と夏太郎だなと…


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