ゴールデンカムイ考察 囚人編


26巻発売で囚人と話が大体出揃ったので、各囚人の考察 

後藤のおっさん


今思えば、酒飲みで尊属殺人死刑は、月島過去編の前フリだったなと。

熊に食われたタイミングが人為的過ぎますが。誰がやったかどうでもいいから匂わせ(ヒント)がないのだろうなと。

倫理的に鶴見中尉や尾形ではないと証明されてて、谷垣がVS尾形で似たような仕掛けしてましたが、知識はあっても羆狩ったことのない谷垣がやるとは思えない。


名無しのおっさん


1巻のテーマが「名無し」なので、後藤のおっさんも1巻の時点では「名無し」

十字架磔や尾形初登場と色々な示唆が。

300m超えの狙撃…26巻の尾形ならできますが、この時点では60〜100mでできなかったのだよなと。

26巻の超遠距離狙撃尾形の瞳が、初登場のハイライトある尾形と対になって、初登場の伏線回収されて興奮した。

1巻尾形の謎がやっと解けたという…遠く見てる目なんだ〜と。白石の謎もすこし。

尾形は瞳のカーブが他キャラに比べて緩いので、夜多く光集めやすい。逆に昼間は明るさに弱い。

話脱線…

話においては、狙撃手の引き立て役と、杉元が追い剥ぎ魔っていう説明を尾形にさせるためだけの影薄い囚人。

白石


たび重なる脱獄で刑期が伸びて…なので実際は死刑囚にはならないのだよなと。

脱獄にスリル、追われることにスリル求めてるんだよなと。スリル狂で安定を求めてないけれども、房太郎に「お前落ち着け」と言われて変化するのかしないのか…

無意識での姿勢の良さと、銃の構え方が杉元と違って素人ではない辺り底の見えない男。
 
白石ってめちゃめちゃ視力良さそうな目してるなとずっと思ってたけれども、なんでそう思うのかイマイチピンときてなかったですが、26巻の尾形でやっとそのモヤモヤの謎が解けた。

白石の目線は近くじゃなく、遠くにピント合わせしてる目になってる。望遠の目だからか〜と。

逆に杉元どこ見てるのかよくわからない。

ファンブックのカバー絵、狙撃手な月島、尾形、ヴァシリだけカメラ目線で目が合うようになってたり。

囚人の話じゃなくなった…

白石は十字架磔にされたり、過去編がシスター宮沢だったり聖書ベース。



二瓶鉄造

猟銃を決して人殺しの道具にしなかった。

谷垣の作中最大の罪って二瓶の銃を人を傷つける道具に再び向かわせたところ…
尾形が、26巻で前の持ち主が人を殺したことない銃ではやっぱり人を殺せない。という意外な試練も相まって。
200話で拾った時点で「この銃も人を撃ちたいはずだ」の前フリ回収が1年(54話)越しに。

26巻加筆で宇佐美の銃が偶然、尾形の見える所に放り出された所で、銃のカムイに愛される尾形という。

樺太編で借りた猟銃でヴァシリを殺さなかったのもそこの部分。
一人死んだのは、色々聞き出すためにキロランケが助けようとするか確かめるためなので、実際に殺したのはキロランケ。これで、キロランケにとって都合の悪い相手というのが、アシリパさんと白石に分かった。

アシリパさんが狩猟に使う矢を人と戦う武器として扱う所とも重なる。
二瓶の話は、それぞれの武器の扱いについての倫理観のベースとなる部分。

猟師として人の獲物を横取りしないルール違反に制裁を加える部分と「人間のルールを破った罰は刑務所行きだ」のダブルスタンダード部分も倫理観のベースになってる…

ここまでで、後藤のおっさん日本の刑法、名無し囚人と白石が十字磔、二瓶が猟師の掟


辺見和雄


強いものに蹂躪されて死ぬという、死に方へこだわりがあったけれども、こだわりの範囲が広くて後に出てくる殺人鬼にくらべてそこまでではない。

誰もが見惚れる絶世の美少年がひとりの嫉妬により猪に殺される。というアドニス神話がベースという点では、後にギリシャ神話モチーフが出てくる前フリ回。

最期カムイであるシャチに殺される辺りも神話をなぞってる。

前の囚人の十字架磔で聖書の示唆、福寿草からの猪に殺された弟に見惚れる辺見ちゃんでギリシャ神話の示唆。

まぁ…十字架磔は分かりやすいですが、ギリシャ神話は結構マニアック?

5巻までで、ほぼの話の方向性に関するものが出てくる。



牛山


脱獄してそれで許されるわけないだろと…

性欲が元なら反省はしないし、その内また同じことをしてしまうでしょうし…

七つの大罪によるところの色欲に値する。


家永


医者としての探究心の行き着くところ。同物同治という医学的仮説を、人ではなく自分の体で実践しようとするところは医者として正しいんだよなと。

内容や倫理は置いといて。

それだけではなく、誰もやったことのなさそうな術式の研究もしてたり。

医学的に初めてやることに関しては、いくら理論上で考えたところで、実際に人体でやってみなければ何が起こるのか分からないという…それで医学が進歩したわけですし。医学は倫理とのせめぎ合い。

ダ・ヴィンチの正確な人体描くための遺体解剖という逸話は倫理的にやりすぎ。美術解剖学という分野の先駆けですが。
まぁ…当時の男色は投獄で死刑とかだったので、男の恋人作って体触りまくるとか、裸でポーズ取らせるよりはどこの馬の骨か分からん遺体解剖の罪のほうが、軽いかもなのですが。


家永脳は流石に食べないかも。そもそも同物同治なので、家永人の脳みそなんていらんよなと…人の脳みそ食べたからってその人の知識や経験が得られると考えるほど、非論理的思考は持ってないでしょうし。
脳を生姜醤油での下りは大人のジョーク…家永が言うとシャレになってないですが。

実は七つの大罪の中で最も罪が重いのは暴食。
暴食=人肉食のことで、空腹で食べるものに困ったら隣人殺せば食べるのに困らないじゃんという所から…

6巻のカバー絵で牛山色欲、家永暴食とホテルが舞台なので寝るところもセットで、人間の3大欲求になってるところが面白い。



鈴川(+熊岸)


刺青囚人で最も残虐なのは誰か?ってなると桁違いに、鈴川+熊岸。

熊岸は刺青囚人ではないですが。

自分の手は汚さずに大量殺人を指示して、村を乗っ取り平然としているなので、熊岸の話で殺人鬼は芸術家っていうのが後の殺人鬼でよく分かる。

強いこだわりが無ければ、そこまで一つのことに執着できないし、理想を追い求めることもない。
フェティシズムを極める変態性という点では、絵描きに似ている。

線や形、人体のパーツや色彩に何かしらのフェティシズム持ち合わせてないと、絵描きはただ単に辛いだけの苦行。
熊岸が芸術家になれなかったのは贋作家としての正確性だけに拘って、作家性が無かったからなのだよなと。

熊岸は自分の能力を買ってくれるなら誰でもいい辺り…芸術家として…生活のため、買う相手を選べない辺り現代と通じてて世知辛い。

鈴川に関しては、自分が手を汚さなくとも言葉とシチュエーションだけで人を殺せるという恐ろしさが、あんこう鍋と勇作さん回に繋がる重要な回。


稲妻


犯罪者としてではなく、夫婦としてカッコ良かった。善悪おいておいてどこまでも純粋な愛を貫くふたり。

罪を犯し楽園を追放されたアダムとイヴにもかかっている。


姉畑支遁


姉畑先生の罪は、日本法律で死刑なのかずっと疑問だったんですが、アイヌとキリスト教からしてみれば極刑だもんなと…刺青彫る人選したのがウイルクだとよくわかるところ。

姉畑先生自身、性的なものは穢れと育った人なのだよなと。学者や教師職のインテリ職はキリスト教徒が多かった時代。

他では極刑、日本では大した罪じゃない。

日本がいかに変態に優しいか分かる…春画のアレコレ含めて。


都丹


網走刑務所壊滅の口実にもなってる、模範囚を硫黄山で外役させて私腹を肥やす看守たちの被害者。

聖書における主が盲目のろうあ者を治癒したという話がベース。

アシリパさんが「稼ぐ方法は賊だけではないだろ」と目を覚まさせたところと、ろうあ者=声を上げても揉み消されるだけだから、看守たちに声をあげられない囚人の意。


最初に赦しを得た囚人、賠償金代わりに、何としてでも金手に入れて欲しいところ…


岩息


強いやつと戦いたいために、脱獄しただけなので割とどうでもいい…スチェンカのために出てきた人ですし。

何だろう、日本の野に囚人放つのはNGだけど、ロシアにならいいや的な…殺人鬼じゃないし的な…これは格闘だし…的な…まぁ…決して死刑囚ではないよなと、暴行の余罪沢山と素行不良で無期なだけで、牛山と違って人殺してなさそうですし。

何だろう…無期も死刑囚にカウントしてるんだなと。終身刑と同じ扱いではないですが、生きてる内には刑務所出られないような囚人という意味で。

ここから北欧神話の示唆が始まるので、神々の永遠の戦いの始まりの囚人。

ドラゴンボールって実は北欧神話がベース。地上での戦いが終わったら天界で神々が永遠の戦闘を繰り返すという。
なのでマンネリ上等なのだよなと…神話だから…


関谷


神罰=雷…

敬虔なキリスト教徒だったのに、神は娘の命を奪った。

その辺りは、長谷川さん話に通ずる所がありますが、長谷川さんは自罰で、関谷は他罰に進んだ。

他罰というか、神の存在を証明しようとした。門倉さんと土方さんの引きの強さが、神の存在を証明することになりましたが。


毒ロシアン・ルーレットの元ネタはシャーロックホームズの緋色の研究。


用一郎


幕末の人斬りとしての暗部…志しはお上のため、国のためだったけれども…

信仰の対象がいなくなったり、今までと反対の道に行った場合どうしたらいい?という。

そのまま突き進むか、立ち止まるか、引き戻させるか…

引き戻せられるのはあくまでも、お上の信頼を得ていて、お上と対等でいられる立場だけで盲信していた場合は路頭に迷うだけという悲しさ。

用一郎の話は月島と鶴見中尉の関係にも似ている。

もし鶴見中尉が月島の思っているような人では無かったら…
互いに信頼を裏切らないために動くというのも窮屈で、そこをどう打開するかという問題提起にもなっている。

人斬りがアイヌと出会って人斬りではなく人としての最期を…

この話はいますると、劇場でるろうに剣心の追憶編実写やってるのでタイムリー…

感動するというより、色々と鬱になるので見たくないですが。

泣かせどころが露骨なのは、苦手なのです…


平太


位置が日本で二番目の熊の食害があった沼田付近なので、羆の食害についてはウィキペディアをどうぞ…あの方の名が…

ゴールデンカムイ、酒呑み嫌いみたいな描写多いよなと…まぁ…飲めない人にとって酒の席は生き地獄だもんなと…

成人なら飲んで当たり前、的な空気も…酒飲めないわけじゃないですが、たまにしか飲まないので分かります。

日本人は元来酒に弱い人種…

私は酔うまで飲む前に、お腹一杯で飲めなくなるタイプなので、アルコール飲むの向いてないです。

だったら何飲んでも一緒的な…アルコール飲料のほうが味のバリエーションは多いので嫌いじゃないですが。

まぁ…アルコールより煙モクモクでヴァシリがおかしくなるアレのほうがメインなので…ダメ絶対…

色々な方面で、映像化は不可能だろうなと…アルコールとアレの依存症なので現代ならおそらく無罪なのだろうなと…


姉畑先生、用一郎に続いて、アイヌの信仰がベースの話。


房太郎


房太郎が行なったとされる殺人は冤罪なのだよなと…
人殺しできるような性格じゃないと最期まで行動で示されてるので。

房太郎が凶悪犯なのは、房太郎くらいしかそんな殺し方できないという理由だけなのが…


上エ地


ジャックの次にメジャーな殺人鬼がモデル。

なのに共感できる犯罪者になったのは、性癖殺人鬼ではないから…

辺見ちゃん、姉畑先生は性癖犯罪者だったので…共感も何もなかったですが。


上エ地のモデルは性癖殺人鬼ですが特殊性癖という部分を極力排除しただけで、生い立ちと殺人に至る経緯に共感できる犯罪者になるのは意外な発見。

熊岸と現れ方が正反対で根本は同じ、自己顕示欲と承認欲求の塊なアーティストなのだよなと…

七つの大罪における傲慢の部分

あの高さから落ちたらダメになってるよなと…刺青人皮…

塗り潰し+グチャグチャで元の刺青原型留めてないっていう部分に関しては、目的二重に達成してる。


切り裂きジャック


言わずもがな、劇場型殺人鬼の元祖

他の殺人事件まで、ジャックのせいにされてたり…

性癖殺人鬼なのにアシリパさんを性的対象としないけれども、妊娠を迫る変態紳士…

26巻加筆でよりカタルシスのある方向に。
杉元のグロ加筆はジャックが行なったとされる殺害方法のフルコースなのです。

腸引きずり出して肩にかけるところとか。

締めが両腕あるのに、頭潰される所とかも…

何だろう、少しだけ同情できる部分が…汚いもの見たくないから白く塗りつぶしてしまえっていうところ。

方法がアレですけど、白いアレを聖なる水って言う辺りそういう意味…

聖書ベースの話



囚人について色々書いているうちに、ざっくり5つに分類できるなと。

日本の法ベース 、聖書ベース、神話ベース 、アイヌの話ベース、七つの大罪ベース

※七つの大罪は聖書に出てこないので別枠


一応、東西問わず地獄において最も重罪とされるのが裏切りという行為なので、杉元がいちばん罪の重い地獄の特等席なのはやっぱり主人公…


 

 


 


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