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全員で新たなバリュー(行動指針)を決定した11のステップ

バリュー行動指針とは

207においてバリューの定義は「ミッション達成に近づくためのメンバーが日々意識をする行動指針」としています。このバリューに沿って日々の施策が実行される為、コーポレートカルチャー形成の根幹であり、難しい局面における意思決定の判断軸にもなります。

以前のバリューについての課題感

元々207には下記3つのバリューが存在していました。

207Values-ver1.0

このバリューは2020年9月当時のメンバー6人で作り上げたものです。
このバリューに沿って多くの施策を設計しており、現在の207カルチャーの礎となっています。
例えばBeOpenというバリューに基づき、全てのMTGがレコーディングされ全社に共有される。3Sというバリューに基づき、定期的に勉強会が開催される等様々な施策がこのバリューを軸に設計され実行されていました。

海が見える1軒屋で夜通し議論した1年8ヶ月前

一方で組織規模が大きくなるにつれて課題も生まれていきました。
例えば、BeOpenというバリューの元、情報のフルオープンを掲げ、Zenly(位置情報共有アプリ)を全メンバーが導入し全メンバーのリアルタイム位置情報も把握できるようになっていました。しかしメンバーが増えるにつれ、この様なプライベートな情報までオープンにすべきなのか?それを会社としてバリューとして推奨すべきなのか?など多くの議論が巻き起こり、全社でのZenlyは廃止されますが、どこまでの情報をオープンにすべきかの答えは出ていませんでした。
また、3Sというバリューには「データドリブン」という要素が含まれているのですが、アーリーフェーズの207にはデータドリブンで判断できる様な十分なデータはほぼ存在しておらず、バリューは掲げているものの実行できない理想論に成り下がってしまっており、行動指針はあるが行動できない環境のジレンマにぶち当たっていました。

以前のバリューの課題感

バリューアップデートのプロセス

バリューのアップデートにはオフライン組11人、オンライン組3人の計14人で臨み、計3日の全社合宿の場を利用して決定しました。
バリュー決定までのプロセスは大きく分けて11つのステップを踏みました。そのプロセスを紹介したいと思います。

ステップ1:事業Roadmapについての説明とワークセッション(2時間)

合宿の最初のコンテンツとして、単中期の事業ロードマップの説明を行いました。我々は物流のラストマイルにおける課題を解決し、まずは国内で最も配送員が使っているアプリケーションを目指す。この単中期のミッションに紐づくロードマップや戦術についての説明とディスカッションを行いました。
また我々が単中期の目標を達成した先にある世界や価値についての認識を揃える目的で「我々の提供サービスが広がった世界にはどんな良い事があるか?」というお題でのグループワークセッションを行いました。

ステップ2:Vision・Missionについての説明とワークセッション(1.5時間)

Vision・Missionを設定した背景を私の原体験を交えて説明すると共に長期的な未来において達成したい世界(Vision)について語りました。
バリューはMission達成に近づくための行動指針であるため、この長期的な視点を元にした自分たちが目指すベクトルの把握も重要なステップだと考えています。
またMissionが達成された世界である「いつでもドコでもトドク世界」が実現したら嬉しい事について各メンバーに思考・発表してもらう会を実施し、自分ごと化する思考プロセスも導入しました。

Mission・Visionについての成り立ちを説明
207でのMVVの定義

ステップ3:既存投資家QAセッション(1時間)

2日目の朝一番のコンテンツでは、207の既存投資家であるのSpiral Capital岡さん、DG Daiwa Ventures渡辺さんをお招きして、事前にメンバーからもらっていた質問をぶつけるQAセッションを行いました。経営陣は普段から投資家の方々と接触する機会はありますが、メンバー自身は直接投資家の声を聞く機会が無いので、かなり貴重で良い機会になったと思います。207のメンバー以外にもこんなに期待を持ってくれている人がいていくれることや、投資家も含めてワンチームで207ということが実感できたと思います。*後述しますが、実は全合宿コンテンツの中で投資家QAセッションが一番反響が大きかったです。

岡さん、渡辺さん、朝早くからありがとうございました!!

ステップ4:現バリューについての振り返り(約1.5時間)

ここからが本番のバリューアップデートについての話題に入っていきます。
まずはいきなり新バリューについて考えるのではなく、以前のバリューについてのGoodとMoreの意見を集め、集まった意見をホワイトボードツールにまとめ集約していくワークを実施しました。
※今回はゼロからバリューを作ったわけではなく、あくまでも現在のバリューの良い部分を残しつつアップデートをするという背景だったのでこのワークを実施しました。

各メンバーに意見を出してもらう為のお題
様々な意見をグループ化して集約してみる

ステップ5:この2-3年を走り切るために必要な行動指針案について意見出し(1時間)

やっとここからが新バリュー策定についての話題に入ります。
改めてバリューとは「ミッション達成に近づくための行動指針」である為、この行動指針を設定し、推奨行動を促すことでミッション達成に近づかなければなりません。一方でコーポレートミッションである「世界的な物流ネットワークを創る」は長期の視点で設定されており、ミッション達成に近づくためという思考をしても足元の行動の具体は見えづらいままになります。
そこで長期の視点ではなく単中期の視点をあえて持ってもらうお題として「この2-3年を走り切るために必要な行動指針は何か」を設定し、このお題に沿って重視すべき行動指針案を各メンバーに意見を出してもらいました。メンバーから出してもらった行動指針案は述べ150個以上に上りました。

あえて単中期に視点をおいて行動指針案をだしてもらった

ステップ6:皆の意見をグループ化しながら議論(4時間)

次に各メンバーが上げてくれた150個以上の行動指針案を近い要素ごとに並べて議論していきます。この過程で同じワードでも認識が違う点や違うワードだけど同じ様な意見になっているなど、様々な議論が展開され各ワードの認識が全体的に整っていきます。
さらに、近い要素を仮ワードで括ることで、便宜的に23個のグループで表現しました。
このステップ6の議論は、想定よりもかなりボリュームが大きくなりました。(想定より2時間Over)

グルーピングされた行動指針

ステップ7:23のグループの中で一番大事にしたい3要素を各メンバーから収集(2時間)

次に23のグループの中から本当に残したい3つを各メンバーに選んで投票してもらいました。この投票の狙いは誰も投票しないグループを削り、バリュー策定を収束に向かわせる事です。結果として9つのグループがこのプロセスで削られることになります。さらに多くのメンバーが投票しているワードを中心に議論を進めていき、絞ったワードで集中的に議論を発散させながら各人の認識を深めていきます。
*当初の想定ではここのステップで収束に向かうつもりでしたが、発散の議論が白熱し収束には迎えませんでした。その発散の議論があった事で皆の認識が深まったので結果オーライなのですが。

投票結果の行動指針案

ステップ8:私がメンバー個別に話を聞きながら収束(1.5時間)

当初の想定では、ステップ7で大方意見が一致してまとまるだろうという甘い期待をしていたのですが、そううまくは行かず、結果的に私が夜な夜な数名のメンバーと個別に話しながら意見を収束していきました。このプロセスで私が使った思考のフレームワークはいくつかあるのですが、行動指針案を絞り込む上で大きな手助けとなった思考のフレームワークを2つ紹介します。

1つ目が「行動指針に満たないメンバーを向かい入れない覚悟ができるか?」という思考のフレームワークです。例えば「革新思考」「Disruptive」というグループが最後まで残っていましたが、最高に仕事の成果は出すけど「革新思考」がないメンバーを向かい入れないのか?というと違うよな!といった具合です。これによりロジックをもって行動指針案の優先順位付けができました。

2つ目が「行動基準を具体化した際にインパクトを出せるか」という思考のフレームワークです。例えば、最後まで僕が悩んでいた行動指針案グループとして「Think Big」があります。207のミッションは長期的に世界レベルでインパクトを残す可能性がある大きな挑戦です。従って各メンバーのマインドも「Think Big」であるべきだと考えています。一方でバリューに「Think Big」を設定しても日々の行動変化が、他の採択したバリューと比較して少ないと考えました。このフレームワークが無ければバリューは4つになり、一つだけ行動変革を促しにくいバリューになっていたと思います。

ステップ9:具体的な行動や利用イメージに落とす(1時間)

設定したバリューが推奨する具体的な行動や利用イメージを持ちやすくする為に、具体的な利用シーンやSlack上のスタンプイメージを作りました。この利用イメージは、組織フェーズやチームごとに可変なので、組織の成長やチーム毎によって柔軟に認識を揃えることができます。
今後各チームにもこの具体的な利用イメージを立てるワークショップを実施して貰う予定です。

具体的なイメージ案

ステップ10:ワーディング(2時間)

仕上げは行動指針を示すバリューのワーディングです。バリューのワーディングで重要なのは「覚えてもらえる」「使ってもらえる」「行動を想起できる」という事だと思っています。ワーディングプロセスでは、これらの観点を念頭におき、何十通りのワーディング案の中から選んでいきました。関係するワードを辞書で調べて羅列するなどワーディングの引き出しを用意するのが良いかと思います。この時間はひらめきも大事だし、壁打ちも大事だったなと思います。

ステップ11:発表&決定(1時間)

最終日の朝、私が決めた3つの新しいバリューを公開し、その意思決定に至るまでのプロセスやロジックを発表しました。
この最終ステップでは、冒頭で下記3つの事を全メンバーに伝えました。

  • 皆が出してくれた行動指針案や意見は全て重要であり、バリューにならずともこれからも大事にすべき要素である。

  • 皆の意見を100%の精度で一致させることは絶対にできないが、この場でバリューを決めきる意思を持ってこの場に臨んで欲しい。

  • それでも違和感を感じる部分があれば、遠慮せず言ってほしい。

ロジックや意思決定の背景を伝える

最終的に3つの意見や提案をもらい、その提案や意見に対して対話を通して全体合意させていきます。このプロセスも最後の違和感を無くす大事なプロセスだったなと思います。

合宿を成功に導いた要素

結果として今回の合宿でバリューを決めることができ、個人的にホッとしてます。参加メンバーにもアンケートを取りましたが、ほぼ満足行く結果が出たと思っています。

合宿満足度調査

先にも述べましたが今回の合宿コンテンツの中で一番良かった意見が多かったのが投資家QAセッションです。投資家と関わる機会が少ないメンバーに実際の投資家の声を届けるのはすごく重要なことなんだと実感しました。

またアンケートの結果、バリューを決める際の議論自体も非常に満足度が高い印象があります。やはりバリューを決めるプロセスである発散&収束の議論自体に価値があると再認識しました

良かった合宿コンテンツについてのアンケート

また、今回はオンラインとオフラインの融合で行いましたが、個人的には比較的シームレスにオンラインとオフラインが融合して議論できていたと思います。これはmiroを中心にコンテンツを組み立ててたことと、YAMAHAのスピーカーマイクの存在が大きかったです。

オンラインとオフラインが比較的シームレスだった。

また今回は合同会社事業人のお二人をステップ4からお招きし、ファシリテーションもお願いしました。僕自身もバリューの議論や構築に専念したかったので第三者の客観的な目線やファシリテーションはすごくありがたかったです。ありがとうございました!

事業人のお二人

207の新バリューについて

207の新バリューは3Bです。全部の冒頭にBeを付けて行動を促す形にしました。(しかも覚えやすい!サンビー!スリービー!)

https://news.paravi.jp/_kinpachi/ から引用
207の新バリュー

Be Professionalは「期待値以上のアウトプット」という実にシンプルなバリューです。これは以前のバリューの要素であったOutput・Speed・Qualityなども包含できる概念になります。まだ設定して数日ですが、何度か意思決定時の迷いをなくした背景もありこのバリューの威力を感じてます。

Be Openという言葉は以前のバリューと全く同じですが、以前含まれていたオープンマインドや自己開示という要素を今回のBe Openというバリューからは抜く事で、「自律駆動の為の透明性」であることを強調しました。これにより、よりフルリモート組織でも自律駆動できるようなドキュメンテーションなどがより捗どり、プライベートな情報をBeOpenのバリューの為に開示するという手段の目的化が進行することを避けられるようになったと思います。

Be Sincereは「自己開示と相互尊重」です。これは以前のBeOpenに含まれていたオープンマインドと自己開示を包含する概念になります。また組織や事業の改善の為に違和感の意思表明(フィードバック)も正直に行う事を推奨します。これは組織に対してもメンバーに対してもですが、このバリューを掲げることで心理的安全性を担保し、少し言いにくい事でも積極的に言える環境を作ることが目的です。また意思表明や自己開示をしたメンバーとされたメンバーの相互に尊重することを促し、より心理的安全性がある組織を目指します。

以前は各バリューそれぞれに存在した40文字程度の副文は誰も細かくは覚えてなかったので思い切って消しました。その代替としてバリューから落とし込んだ具体的な行動などを視える化したブレイクダウン図を運用していく予定です。

以前のバリューに存在していた副文
副文の代わりに運用予定のブレイクダウン図

最後に

207ではこの新バリューに共感し、体現できる方を募集中です!!
共にバリューを体現し強力な企業カルチャーを作っていきましょう。
少しでも興味を持っていただけた方はぜカジュアルにお話させて下さい!!






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