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2020年代の就職活動 (5) --君たちはJTCでどう生き残るか?--

 某SNSでフォローしてる方々が就活なんかをしていて、自分が就活して親にJTC僻地工場に行くといったときのこととかを思い出していた。僕は学生の頃にだいぶ両親には諦められていたので何とも言われなかったのだが、その後JTC僻地工場に入ると結構な数の同僚たちがそれなりに家族とも話し合いながら就職先を決めていた。そのときに説得材料になっていたのが 安定しているっていうのが割と大きいらしかった。
 一方で、この失われた数十年でJTCを取り囲む社会情勢もかなり変わってきた。もはや安定している雇用などない、世界は大転職時代だし、ジョブ型採用だし、起業してベンチャーでエグジットだみたいな世迷いごとが大いに喧伝される時代になった。みたいなポジショントークがあったりなかったりする。
 そんな中で多くの人がJTCを志望する人たちは多分安定を望むのだろうが、む安定とは何か?

  • クビにならない。

  • バカでも定期的に昇給する。

  • 潰れない。

  • 満期退職すると数千万円くらいの退職金が出る。

  • 福利厚生がそれなりに充実している。

とかいったことだろう。
 しかしよく考えてみてほしい。
 日本は人をクビにしにくい社会だといわれている。
 従って、どこの会社だろうが正社員として雇用されればほぼクビになることはない特権を手に入れたも同然なのだ。しかも年金も社会保障費も会社が源泉徴収してくれるし、健康保険にも加入できる。
 従って、安定を考えたときには小さい会社でも正社員として雇用されればそれで勝ちであるといえる。

 もう一つ重要なファクターは潰れないっていうやつだ。
 これはちょっと難しく、過去の数十年で潰れた大企業というのは色々とある。従って、正社員の身分を失うという特権階級からの転落を考えたときに一番注意しなければならないのは会社がなくなるっていうインシデントだ

 さて、この記事では皆さんには折角入った素敵なJTC僻地工場ライフを楽しくサバイブするためにいくつかの注意点をJTCの会社の構造をキーとして、 JTCの正社員という現代社会に残された階級をいかに維持するかを考えていきたい。

 この記事は知ってる人は知ってる与太記事であるが、知らない人には知らないことであると考えられ、投げ銭程度の金額で有料エリアを定めて、そこで核心部分について記述したいと思う。実際ここの有料エリアに書かれてることは世の中の多くのおじさんは知ってることであるから、身近なおじさんを捕まえてもいいかもしれないが、もしこの記事の有料パートをご覧いただければ幸いだ。
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JTCの組織の構造

 ある組織について考えるときには色んな分け方かがあるかと思うが、ありがちな書き方で製造業のJTCの構造を描いてみようと思う。代表的なのはこんな感じだと思う。

```mermaid
flowchart TB
  subgraph 本社
    ceo["社長"]
    back_office["人事総務経理"]
    plan["企画"]
    sales["営業"]
  end
  
  ceo --> back_office
  ceo --> plan
  ceo --> sales
  ceo --> doinaka_factory["ド田舎工場"]
  ceo --> hekiti_factory["僻地工場"]
  ceo --> kougai_factory["郊外事業所"]
```

 世の中の立派な大学の学生さんや、大学院の学生さんはこの中にR&Dがないじゃないかって思うかもしれないが、それらは本社の中に入っていたり、企画部門の中に押し込まれていたり、僻地工場にあったりする。そしてそれらの工場の中にはそれぞれ設計部とか、製造部がある。大体こんな感じだ。

```mermaid
flowchart TB
  hq["本社"]
  subgraph 僻地工場
    president["工場長"]
    design["設計"]
    rd["研究開発"]
    manufacturing["製造部"]
    qa["品証"]
  end
  hq --> president
  president --> design
  president --> rd
  president --> manufacturing
  president --> qa
```

 このように僻地工場は工場長が長として運営されているので、めっちゃ偉い。JTC僻地工場勤務時代には工場長が大変威厳があり、厳しい方だったので、僕は異様に工場長検出機能が発達してしまい、50mにいたとしても工場長がいるのを空気の緊張感で察知してすぐに逃げられるように準備していた。
 しかし、工場ではめっちゃ偉い工場長も自身は本社に対して工場という植民地の提督のような立場でもある。僕たち労働者が身を粉にして働いた稼ぎは一旦本社に 巻き上げられ 諸々計上されてそれが全社の儲けとして再分配される。

 ここで注意すべきなのはこれらの僻地工場たちとか事業部とかは会社にとっては大事な大事な資産であることに変わりはないのだが、上の記事で述べた通りそれらは会社の本体ではなく、交替可能な何かでしかなく、景気が悪くなると僻地から撤退したり、別の会社に売却される可能性がある

 つまり、僕たち理系の多くはJTCにとっては交替可能な植民地のような僻地工場に配属され、そこでいつ本社の クソ野郎ども 偉い人たちに売却されるかビクビクしながら暮らすことになる。じゃあ本社で働きたいかって、別に僕はそんなことは全くなかったのだが。
 ともあれ、理系院卒の多くはこの記事のようにJTC僻地工場勤務に配属され、ソルジャーとしてキャリアをはじめ、それからJTC僻地工場すごろくを進めて偉くなっていく。ごく一部本社の企画部門とか、営業部門に配属されたり、本社のR&Dに配属されるがそれはごくわずかである。そしてそういう部署に配属されると将来JTCすごろくを進めるときにちょっと困ったことになることがある。

 どちらにしろ理系院卒でJTCに入ると僻地工場にドナドナされ、そこから這い上がっていかなければならない。こう書くととてもJTCはひどい会社のように思うかもしれないが、僕はそんなことは思わない。何故ならJTCは大学とか大学院を出ただけのまだ何者でもない若者を雇って金を払いながら研修を受けさせてくれる超絶生っちょろいお人好しな会社だからだ。
 諸外国の就活はこういう訳にはいかないらいいのだが、それはまた別の話。

 ちなみに研究で凄い実績上げてるのにまだ何者でもない若者とは何事だと思われるかもしれないが、会社での評価は論文の引用数ではなく、会社の売り上げ、利益のへの貢献度であり、研究でめっちゃ儲けてるなら別だが、そうでないなら会社としては何者でもない若者と思うしかない。ただ将来凄いぼろ儲けをしてくれる可能性に賭けている。
 正直もう今の時代はこういうやり方は愚かな投資だと思うのだが、若年層の失業率への影響を考えたらこういうセーフティーネットも必要なんじゃないかと思っていて、僕は新卒一括採用賛成派だ。

正社員がただの人になるとき

 まずこの記事の最初でJTCの正社員は特権階級だと述べた。
 しかし、現代は不確実な世の中であるからその階級もいつまで維持できるかはわからない。我々はたとえ特権を手に入れたとしてもそれを失ってしまうことがありうる。
 主には以下の2パターンがある。

  • 会社を辞めるとき。

  • 会社がなくなるとき。

それぞれについて簡単に説明していこう。

会社を辞めるとき

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5,298字
JTC僻地工場、某AIベンチャー、某ロボティクスのベンチャー企業で管理職をやって、採用サイドから応募者と会うことが多く、そのときの経験からこれから就職活動を始める人、すでに就職活動中の人の参考になりそうなものを発信しています。

就活について元JTC僻地工場の管理職、某AIベンチャーの管理職、を経て某ロボティクスベンチャーの管理職をやってるおじさんが考えてみました。

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