母のノリ弁に感謝を込めて
母親の作る弁当は絶対にうまい!
それがなぜだかわかるかい?
「そこに愛が詰まっているから」
なーんて綺麗ごとではなく、子どもが好きな物しか入っていないなんだよ。
卵焼き、ウインナー、ミートボール、僕の弁当にはいつも決まってこれらの好きなものが入ったいた。
そりゃうまいはずさ。
僕の嫌いなマヨネーズ・ゆで卵・レバーみたいなものはどこにも入っていない。
なんなら小学生時代は野菜全般が嫌いだったから、野菜は何も入っていない。
だから、弁当を残すことなんか一度もなかったし、常に弁当はおいしかった。
母親の作る弁当がうまい理由は、好きな物しか入っていないからが正解だ。
こんなふうに僕はずっと思っていたのかもしれない。
高校生の頃、僕は毎日弁当だった。
私立の付属校で学食派と弁当派に二分されていた。
6:4くらいの割合で弁当派が多かったかな。
そんななか僕は弁当派で、且つ弁当は8割同じ弁当だった。
米の上にかつお節とノリをしいて、さらに米をのせてかつお節とノリ。
2段積みのノリ弁当で、おかずには小学生のころから変わらない、大好きなおかずたちが並ぶ。
残り2割が昨日の残り物や朝作れる簡単な物。
これが毎日のラインナップだ。
基本的に好きなものしか入っていないから、いつも美味しい。
しかし、当時の僕は反抗期真っただ中だ。
弁当に対して何一つ感謝もしなければ、また同じものかと思うこともあった。
でも、必ずおいしくてすべて食べきる。
残すことなんかは一度もなかった。
ただ、弁当があることが当たり前と思っていたんだね。
好きなものが入っているんだからおいしいのも当たり前。
親が弁当を作るのも当たり前。
弁当に感謝できるようになるのはずっと後の話だったりする。
よく一緒に弁当を食べるメンバーは決まっていた。シャイすぎて周りは男ばかりだった。
だから、弁当の中身なんてみんな気にしていない。
・・・と思っていた。
だけど、僕の弁当を見て、ある友達がこう言ったんだ。
「お前の弁当いつもおんなじだな」
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