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認知バイアスとは?その仕組みと影響

こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingoです。皆さんは「認知バイアス」という言葉を聞いたことありますか?あまり聞き覚えのないワードかもれませんが、皆さんの生活の中に密接に関わっている現象なので、今回はこの認知バイアすについて解説したいと思います。
日常生活において、私たちは膨大な量の情報を処理しています。しかし、その情報処理には無意識のうちにバイアス(偏り)がかかることがあります。このバイアスのことを「認知バイアス」と呼びます。認知バイアスは、意思決定や判断に影響を与え、時には誤った結論に導くこともあります。この記事では、認知バイアスの基本的な仕組みや種類、そして日常生活における影響について詳しく解説します。

認知バイアスの基本的な仕組み

認知バイアスは、脳が効率的に情報を処理しようとする際に発生する無意識の偏りです。人間の脳は限られたリソースで膨大な情報を処理しなければならないため、さまざまなショートカット(認知的ヒューリスティック)を使います。これらのショートカットは通常は有用ですが、時には誤りを引き起こすことがあります。

認知バイアスは、以下のような状況で特に顕著になります。

・不確実性が高い状況
情報が不完全であり、完全な判断を下すのが難しい場合。

時間の制約がある状況
迅速な判断が求められる場合。

・情報の過多
 処理する情報が多すぎる場合。

認知バイアスの主な種類

認知バイアスには多くの種類があり、それぞれが異なる状況で発生します。以下に、代表的な認知バイアスをいくつか紹介します。

確証バイアス

確証バイアスは、自分の信念や仮定を支持する情報を重視し、それに反する情報を無視または軽視する傾向です。例えば、ある政治的意見を持っている人が、その意見を支持するニュースばかりを選んで読むことがあります。これにより、自分の信念が強化され、偏った視点を持つようになります。

利用可能性ヒューリスティック

利用可能性ヒューリスティックは、直近に思い浮かぶ情報や事例に基づいて判断する傾向です。例えば、ニュースで飛行機事故が報道されると、飛行機の安全性に対する不安が増大することがあります。実際には飛行機事故の発生率は低いのですが、印象に残る出来事が判断に強い影響を与えます。

アンカリング効果

アンカリング効果は、最初に提示された情報が後の判断に強く影響を与える現象です。例えば、商品の値段が「通常価格」の表示と共に割引価格が提示されると、割引価格が非常にお得に感じられることがあります。この場合、最初の「アンカー」として提示された通常価格が判断の基準となります。

帰属バイアス

帰属バイアスは、自分の成功は内的な要因(能力や努力)に帰し、失敗は外的な要因(運や環境)に帰する傾向です。一方で、他人の成功は外的な要因に、失敗は内的な要因に帰する傾向があります。例えば、試験で良い成績を取った場合、自分の努力の結果と考えますが、悪い成績だった場合は試験問題が難しかったと考えがちです。

現状維持バイアス

現状維持バイアスは、現在の状態を維持しようとする傾向です。変化や新しい選択肢を避け、現在の状況に固執することがあります。例えば、投資の分野では、新しい投資先を見つけるよりも、既存の投資を続けることが多いです。

後知恵バイアス

後知恵バイアスは、出来事が起こった後で、その結果が予測できたと信じる傾向です。例えば、試合の結果を見た後で「あのプレイヤーが活躍することは予想していた」と感じることがあります。実際には予測は難しいことが多いのですが、結果を知った後ではその予測が容易に思えるのです。

認知バイアスがもたらす影響

認知バイアスは、私たちの日常生活や意思決定に大きな影響を与えます。以下に、その具体的な影響をいくつか挙げます。

意思決定の質の低下

認知バイアスが存在することで、意思決定の質が低下することがあります。例えば、確証バイアスにより偏った情報を元に判断を下すことで、誤った結論に導かれる可能性があります。ビジネスや個人的な選択において、このようなバイアスが意思決定の質を損なうことが多いです。

対人関係の問題

認知バイアスは対人関係にも影響を与えます。例えば、帰属バイアスにより他人の行動を誤解しやすくなり、誤った評価や偏見が生まれることがあります。これにより、人間関係の摩擦や誤解が生じやすくなります。

ステレオタイプの形成

認知バイアスはステレオタイプの形成にも寄与します。例えば、特定のグループに対する偏見や先入観は、確証バイアスによって強化されることがあります。これにより、不公平な扱いや差別が助長されることがあります。

認知バイアスを克服する方法

認知バイアスを完全に排除することは難しいですが、その影響を最小限に抑えるための方法があります。

自己認識を高める

まず、自分自身がどのような認知バイアスに陥りやすいかを認識することが重要です。自分の思考パターンを振り返り、バイアスが働いている可能性を考えることで、意識的にバイアスの影響を減らすことができます。

多様な視点を取り入れる

自分の意見や信念に反する情報や視点を積極的に取り入れることで、確証バイアスを減少させることができます。多様な意見を聞き、異なる視点から物事を見ることで、よりバランスの取れた判断ができるようになります。

論理的思考を強化する

意思決定の際には、感情に流されずに論理的な思考を心掛けることが重要です。事実に基づいたデータや証拠を重視し、論理的な推論を行うことで、認知バイアスの影響を最小限に抑えることができます。

反省と振り返り

意思決定や判断の後には、そのプロセスを振り返り、反省することが重要です。どのようなバイアスが働いた可能性があるかを検討し、次回以降の判断に生かすことで、バイアスの影響を減少させることができます。

まとめ

認知バイアスは、私たちの日常生活や意思決定に大きな影響を与える無意識の偏りです。確証バイアス、利用可能性ヒューリスティック、アンカリング効果など、さまざまな種類が存在し、それぞれが異なる状況で発生します。認知バイアスの影響を理解し、その影響を最小限に抑えるための方法を実践することが、より良い意思決定や対人関係の構築に役立ちます。自己認識を高め、多様な視点を取り入れ、論理的思考を強化することで、認知バイアスの影響を軽減し、よりバランスの取れた判断ができるようになるでしょう。

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