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スキーマとは何か?

こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingoです。今回は認知行動療法やスキーマ療法など心理療法でも、とても重要な概念である「スキーマ」について解説してみたいと思います。

そもそも「スキーマ(schema)」の言葉の意味は”図式、図表、図解、概要、大要”であり、IT関連ではデータベースの構造などで使われている言葉ですが、心理学の分野では、個人が持つ心の中の「枠組み」や「フレーム」と言われる概念であり、私がクライアントに説明する時には「その人の信念や価値観でありその人を作り上げている核のようなもの」とお伝えすることが多いです。

スキーマは、私たちが情報を処理し、世界を理解し、経験に意味を与えるためのフレームワークであり普段あまり意識して思考することなく、自動的にスキーマによって自分にとって”良いこと”なのか”悪いこと”なのかなどを判別しています。
つまり、普段からみなさんそれぞれ自分のスキーマというメガネを通して世界を見ているということです。この記事の中ではこの心理学的な意味でのスキーマについて詳しく説明していきます。

1. スキーマの概要

スキーマは、認知的な構造であり、私たちの経験や情報処理に影響を与える枠組みです。スキーマは、以下の要素から構成されています。

  • 概念
    スキーマは特定の概念やカテゴリーに基づいています。例えば、家族、友人、仕事などの概念があります。

  • 特性
    スキーマには、それに関連する特性や属性があります。例えば、家族のスキーマには、愛情、サポート、関係性などの特性が含まれます。

  • 関連する情報
    スキーマは、それに関連する情報や知識を含んでいます。例えば、家族のスキーマには、家族の構成員や過去の出来事などが含まれます。

2. スキーマの役割

スキーマは、私たちが情報を処理し、世界を理解するための枠組みを提供します。以下は、スキーマの主な役割です。

  • 情報処理の効率化
    スキーマは、情報の取捨選択を可能にし、私たちの認知負荷を軽減します。例えば、家族のスキーマがあれば、新しい人を家族の一員として認識しやすくなります。

  • 経験の意味付け
    スキーマは、私たちの経験に意味を与え、それらを理解するためのフレームワークを提供します。例えば、家族のスキーマを持っていると、特定の行動や出来事を家族の関係性と結び付けることができます。

  • 情報の記憶
    スキーマは、情報の記憶を促進します。スキーマに関連する情報は、より長期的な記憶に留まりやすくなります。

  • 新しい情報の解釈
    スキーマは、新しい情報を受け入れる際に役立ちます。既存のスキーマに新しい情報を統合することで、情報を理解しやすくなります。

3. スキーマの種類

スキーマには、さまざまな種類があります。代表的なスキーマの種類を少し紹介します。

1) 自己スキーマ
自己スキーマは、個人自身に関する情報や信念を含んでいます。例えば、自己価値感や自己イメージなどが自己スキーマに含まれます。
2) 対人関係スキーマ
対人関係スキーマは、他人との関係に関する情報や信念を含んでいます。例えば、信頼、親密さ、対人関係の安全性などが対人関係スキーマに含まれます。
3) 仕事や学校に関するスキーマ
仕事や学校に関するスキーマは、仕事や学校に関する情報や信念を含んでいます。例えば、仕事の責任感や学業成績に関するスキーマがあります。
4) 世界のスキーマ
世界のスキーマは、世界や社会に関する情報や信念を含んでいます。例えば、社会のルールや文化的な信念などが世界のスキーマに含まれます。

4. スキーマの成長

スキーマは、新しい経験や情報によって少しずつ育っていきます。さまざまな経験をすることで、新しい価値観を追加したり、信念の内容が変化することがあります。以下は、スキーマの成長に影響を与える要因です。

  • アクセス可能性
    自分のスキーマを理解し把握していることで自分のスキーマにアクセスができる状態であれば、スキーマの成長もしやすい。新しい情報がスキーマに矛盾する場合、自分自身でスキーマをより自分らしく成長させていくことができます。

  • 重要性
    経験や情報がその人にとって重要であればあるほど、スキーマの成長が起こりやすくなります。

  • 継続的な経験
    同じ経験が繰り返される場合、自分にとっての普遍的な感覚としてスキーマの進化が起こりやすくなります。

5. スキーマと心理的健康

適切に機能するスキーマは、メンタルヘルスに重要です。しかし、偏ったスキーマは、精神的な問題や心理的苦痛を引き起こす可能性があります。例えば、否定的な自己スキーマや対人関係スキーマは、自己肯定感の低下や人間関係の問題を引き起こすことがあります。
まとめ

スキーマは、私たちの経験や情報処理に影響を与える重要な概念です。適切に機能するスキーマは、情報の処理や理解を助け、健康的な心を保つために役立ちます。しかし、偏ったスキーマは、精神的な問題や心理的苦痛を引き起こす可能性があります。スキーマに関する理解を深めることで、自己理解やメンタルヘルスの向上に役立ちます。
つまり自分とって適したスキーマを持つことで、さまざまな状況を受け取る際に心理的負担を軽減することも可能だということです。

しんしん心理研究所では皆さんのメンタルヘルスを高めるためにご自身のスキーマを知るワークも開催していきますので、気になる方は以下のWebサイトものぞいてみてください。

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