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ネグレクト

ちょっと、悔いと言うか、心残りな事が、
ありまして…それを書きたいと思います。

私個人の見解であり、行動であり、
そして、解釈だと強く言わせていただきます。
長文になってしまいました…すみません。

これは、とあるシングルマザーのお話。

ある時期、住み込みで、
パチンコ屋でしばらく働いていた。

そこに、マイと言う女の子が働いていた。

マイは、18歳で子供を妊娠して、
結婚して、数年して、離婚していた。

それから、ほどなくして、
同じ、パチンコ屋の若いバイトと、
いつの間にか、付き合っていた。

まだ若いから、まぁいいか。
と思っていたが、どうやら、
あまり、よくない方向に、いっていた。

つまり、子供が邪魔なのだ。


マイの子供は、5歳であった。

まだ、親を必要とする年頃。

でも、二人は遊びたい年頃。

そこに、子供がいる事によって、
なかなか遊ぶ事が出来ないと言うのだ。


そのうち、子供を家に一人置いて、
デートに明け暮れていたのだ。

それを、初めて知った出来事で、
私の判断と行動であり、それが、
心残りとなっている要因があったのだ。

マイと彼とマイの子供、
同僚一人と私で、キャンプを、
しようと言う事になったのだ。

パチンコ屋は、早番と遅番があり、
早番終わりに、キャンプに行く。

そのまま次の日の遅番に出ると言う、
かなりハードなキャンプだった。

はじめは、子供も楽しそうに、してはいた。
でも、マイは、彼と二人の世界に入ってる。

事件は夜中になる。

マイの子供が、しゃがんで泣いているのだ。

どうした?ママは?

と聞くと、まさかの言葉を言うのだ。

…ママ…ママ…いなくなった…。
いつも…いっぱい…いなくなる…。
…お家じゃないと…がまん…できない…。
ママ…ママ…怖いよ…やだよ……。

そう、言うのである。

私は、マイの子供の手をぎゅっとつなぎ、
一緒にテントを探しても、あの二人はいない。

まさかと思いながら、駐車場まで、行く。

どうか車だけでもいい、あってくれと願った。

だが、彼の車がなかったのだ。

マイの子供は、車種までわからない。
多分色や形で、覚えてるのだろう。

何回も、駐車場を回って、ひたすら、
マイの彼氏の車を探した。

急にうつむき、涙を我慢していたが、
声にならない声で、ポロポロ泣いていた。

大丈夫だよ。
ちょっと、買い物に行ったのかな?
おじさんが側にいるから、怖くないよ。

マイの子は、
泣きながら、私にしがみついていた。

とんとんと、子の背中を優しく撫でる。

しばらくして、
マイの子供は、泣き止み、
落ち着いたのか、私の腕の中で眠っていた。

5歳児って、こんなに軽いのか?
よく見れば、マイの子供は小さく細かった。

静かに、同僚を起こして、事情を話す。

…やっぱりな。

と同僚は言うのだ。

どう言う事だ?何があるんだ?
と聞いてみた。
同僚は、実は…。と情報を教えてくれた。

あの二人が夜中に、
遊びに行ってるらしいんだ。

目撃したってヤツも沢山いたし、
一緒に遊んだって言うヤツもいたんだ。

でも、マイの子供はいないし、
夜中だし、もしかして、
子供一人を、置いているんじゃねーかって。

バイトのヤツが問い詰めたら、
子供を寝かしつけたら、
二人で遊びに行ってるって言ってたそうだ。

まさか、こんな時でも、そんな事するなんて、
思ってなかった…でもあり得るなって。

どうせ、俺たちに、子供押し付けて、
二人で遊びに行くつもりだったんだよ。

同僚は、焚き木に、木を焚べながら、
燃えさかる火を見つめながら、語った。

マイの子供は、コアラみたいに、
私の胸の中にしがみつきながら寝ている。
その寝顔には涙の跡が白く残っていた。

私も、焚き木を見つめながら、
そうか…。
コイツ、家だと我慢してるって言ってた。
まだ5歳だぜ?
夜中に一人で、誰もいない家で、我慢して、
マイ達の帰りを、ひたすら待ってたんだな…。

もしかして…マイが仕事の時も、
コイツ一人置き去りにされてたのかもな…。

そう、呟いた。

ふと、自分の幼少期を思い出す。

私も母子家庭で、
昼間はいつも一人、家で過ごしていた。

でも、かあちゃんは男を作る事は、
なかったし、夕方には帰ってきてくれ、
これでもかって、ぐらい愛情表現を私に、
してくれた…酒には溺れていたが…。

あの時の私は、
そんなかあちゃんが大好きだったな。
私が家事一般をしていたから、時間なんて、
あっという間だった。
でも、それが当たり前で、寂しいとか、
我慢とか…なかった。

まあ、一度、かあちゃんが帰ってこなくて、
すごく不安で心配で、寂しくて泣いたっけ。

だが、マイの子供は、愛に飢えている。
明らかに、愛情が注がれてないのだ。
邪魔者扱いされて、それでも、
マイを、母親を、求めて、泣いているのだ。

しばらく無言で、
同僚と二人で、焚き木の火を見つめ、
私の胸の中で、眠る小さな命の存在を、
どうにか、ならないのかを考えていた。

いつの間にか、あたりが明るくなってきた。

マイ達二人は、まだ帰ってこない。

せめて、マイの子供が起きる前には、
帰ってきて欲しいと願っていたが、
もう、時間は過ぎて、子供は起きた。

今でも、あの時の、子供の顔が鮮明に残る。

目覚め、顔を上げて、私の顔を見て、
一瞬にして、絶望感を漂わせた顔である。

私は、同僚に宣言した。

これから、コイツを児童相談所に、
連れて行こうと思う。
このままだと、コイツは人間不信に、
なるか、飢え死になるしか、ないと思う。

そう、同僚に言うと、オレもそう思う。
今から行こうぜ、オレ見てられないよ。
こんな、泣くのも我慢してる姿。

そして、最後の決断として、
昨日から、連絡が取れない二人に、
電話をして、その態度次第で、
連れて行くか、電話で相談だけにするか、
それを決めて、マイに電話をかけた。

電源が切れていた…。

あまり、深刻な顔をすると、
マイの子供が怯えてしまうかもしれない。
だから、なるだけ明るく、振る舞って、
マイの子供に、話しかける。

なあ…実はお前と一緒に行きたい所が、
あるんだけど、いいかな?

そこに優しいおねぇーさんが、
一緒に遊んでくれるぞ!
楽しいから、一緒に行こう!

マイの子供は、泣くのを我慢している。
そして、もうママは帰って来ないと、
子供心にそう、思ったのだろう。

同僚と二人で、
マイの子供を連れて、児童相談所に行った。

入り口で、私達の身元を証明して、
決して、誘拐してはいない事を、
手続きをして、なんとか事なきを得た。

子供が遊べるスペースがあり、
マイの子供は、そこでおねぇーさんと、
遊びながら、色々と会話をしていた。

私は、児童福祉士と言う人に、
同僚に聞いた事や、同僚も、子供を、
置いて遊んでいると言うのを聞いたヤツの、
証言を確認していた。

すると、やはり児童相談所にいくつか、
通報があり、訪問にも行っていたそうだ。

だけど、確信が掴めなかったらしい。

そして、今回のキャンプの出来事を、
細かく、思い出しながら、話した。

マイの子供と遊んでいた、
相談員のおねぇーさんが、
子供から聞き出した、情報を、
児童福祉士と共用していた。

そして、マイに電話を何度かかけたが、
まだ電源を切られたままであった。

数時間、
相談員やら、児童福祉士さんやら、
色んな人達との、話し合いと言うか、
会議らしき、時間が設けてられた。

私達は、先程の遊べるスペースで、
マイの子供と遊んで待っていた。

お昼過ぎに、結論がつきましたと、
やってきて、マイの子供は、一時施設に、
預ける事になった。

マイとは、連絡次第、面会して、
話し合いをして、今後の事を話し合うと、
言う事だった。

私は悩んだ。
マイと子供を離す事が、
良かったのか…あの子はマイを求めていた。

マイもその彼も、パチンコ屋には、
出勤しなくなった。

そのかわり、嫌がらせが続いた。
無言電話に、いわゆるネットで、
私の事の悪評を沢山、書き込みもされた。

そして…空き巣にあった。
パチンコ屋の2階に下宿があり、鍵は、
あってないモノであった。

パチンコ屋で働いてるから、
裏口のドアの暗証番号も知っている。

さすがに、店のお金は盗みはしなかった。

荒れに荒れた部屋には、
何か凶器で、壊された家具、家電が、
あっちこっちに、無残に置かれてた。

やる事が、幼稚すぎて、笑ってしまった。

もちろん被害届は出した。

心当たりは、マイか彼しかない。

そのぐらいは、覚悟していたし、
それに比べたら、マイの子供の方が、
辛く悲しく、苦しんでいたんだと思えた。

いちを、被害状況を、
児童相談所に相談してみた。

すると、
マイの子供について、経過を、報告してくれた。

マイとは、なかなか連絡が取れなかったらしい。

やっと話し合いを設けたが、
マイは子供を育てるのは、無理だと言ったそうだ。

子供は、離婚した実の父が、
引き取らせて欲しいとの事で今は、
父親の実家で、父親と祖父母と、
一緒に、暮らしているのだそうだ。

定期的に、父親の所も訪問していると言う。

まだ、夜中に急に夜泣きするのだと言う。

ややしばらく、嫌がらせは続いたが、
こっちは前もって警察に通報していたので、
マイ達二人は、警察に連れて行かれた。

ネグレクト。

今もあの時の絶望感の目をした、
マイの子供の顔が、目に浮かぶ。

シングルマザーは、大変である。
近くに頼れる親などいれは、いいが、
誰もいなくて、苦しんでいる親子がいる。

男に、依存してしまう人もいるだろう。

子供がいなければ…
と思ってしまうかもしれない。

これは、私の実体験であり、私の見解で、
私の解釈だと、もう一度強く言いたい。

ネグレクトにも、それなりの理由がある。

どうしても、子供を愛せない人だって、
いるだろうし、親からネグレクトされて、
自分もそうなる環境が、連鎖されている。

そんな、背景があるのかもしれない。

手のかかる子供を育てるのは大変だ。

ネグレクト、したくてする訳ではない。

必ず、葛藤はあるはずだと、思うのだ。

でも、取り返しのつかない事になり、
後戻り出来ないで、いるのかもしれない。

私の考えは間違ってるかもしれない。
私の見解は、あくまでも私個人のモノである。

でも、幼少期の私はいわゆる、
ネグレクトに当たるのではないだろうか。

母子家庭で、かあちゃんは耳が聞こえない、
頼る人もいなければ、孤独の中にいたのだ。

かあちゃんは、
仕事も上手くいかず、誰かれ構わずケンカする。
酒に溺れて、すぐに私に暴力を振るっていた。

包丁を振り回し、髪の毛を引きずり回す。
なんども、殴られ、蹴られ、傷だらけになった。

そして、
家事一般をやらされ、家に監禁されていた。
滅多に外に出る事はなかった。

顔色を伺って、かあちゃんに笑って欲しくて、
頑張って言う事を聞いて、生きてきた。

こう、聞くと、まさしくネグレクトである。
児童虐待かも、しれない。

でも、私は愛には飢えていなかった。

それは、かあちゃんがそれ以上に、
愛情表現をこれでもかと、してくれたからだ。

かあちゃんはただ、不器用なだけて、
暴力も、私に愛があるからこそのもの。

酒に逃げて、溺れて、そうしないと、
かあちゃんは、自分を保てなかったのだ。

ネグレクトだとしても。

当時、ネグレクトなんて言葉もなかった。
だから、それが当たり前だと認識していた。

私の子供心からしたら、
かあちゃんが全てで、幸せだと思ってた。

そんか、かあちゃんが大好きなのだ。

マイの子供は、父親がいて良かった。
マイの子供は、もう立派な大人になっている。

結婚して、子供もいるかもしれない。

どうか、まともな大人になってて欲しい。

私の決断が、行動が、
ただの、おせっかいだったのか。

もしかしたら、違う方法が、あったのかも。
よそ様の子供の運命を、変えてしまったのだ。

それが、悔いとなり、心残りとなって、
私は、葛藤し続けているのだ。

だが、私以上に、
マイが悔いて、後悔しているのかもしれない。

この世の中に、どれほどのネグレクトや、
幼児虐待が潜んでいるのだろうか…。

考えても、答えなんてない。

何が言いたいのか、
わからなくなってしまった。

えーっと…死に際に、
ふと思い出してしまったのだ。

実際、生き返ったのだか…。

あの時の出来事が、あの子の顔が、蘇ったのだ。

ただ、生きている今、あの時の、
マイの子供がどんな顔をしているのかを、
知りたいと思ったのだ。

絶望感に満ちた顔から、どう変わったのかを。

ただ、それだけなのです。

そして、勝手ながら、ここに書く事により、
悔いと後悔をさらけ出して、私の中で、
解き放したかったのです。

賛否両論あると思います。

それも、
重々承知の上で書かせていただきました。

こんな、
暗い私のわがままな、
内容を長々と書いてしまい…

誠に申し訳ありませんでした…。

反論もあると、思います。
それを、覚悟で書かせていただきました。

私は…何者なんだろうか…。







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