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初めてのメンタル不調(精神科のお薬について)

はじめに

うつ病患者歴10年以上、産業カウンセラー、メンタルヘルス研修教材開発者としての投稿です。多くの方から相談を受けておりますが、その中で実際に行っている内容になります。もちろん例外や、状況の違いもあるので全員に100%該当するわけではありません。他の方、専門家の方へのご相談も併せてご判断ください。

「薬怖い」「飲んでいいの?」「不安」という方へ

「心の問題・気の問題」として捉えると対応や理解が難しくなるものの一つが、薬です。
・依存性があるのではないか?
・悪影響があるのではないか?
として飲みたがらない方も多くいらっしゃいます。

しかし、皆様腎臓が悪くなったら薬飲みますよね?
風邪になったら薬飲みますよね?

同じように、脳も腎臓や気管といった臓器と同じです。当然同じように薬が結構効きます。


「いや、うつ病の薬は普通のお薬と違うんじゃないか?」「副作用怖い」「依存するんじゃないか?」という方へ

実は、腎臓の薬にも、風邪の薬にも、若干ですが副作用や依存性が起こる可能性があります。
デメリットが起こる可能性は他の薬も同様にあるのです。

ですので、他の臓器の病気の時に薬を飲む方は、抵抗なく飲んでいただいて問題ありません。

宗教的理由や、志向性によって、どんな病気になっても薬に飲まないという方はもう仕方ないです。

そうでないなら、薬物治療はオススメ出来る治療法の一つです。


「薬の飲み過ぎでニュースになっているのを見たことあるから怖い」

薬害を気をつけなければいけないレベルは、
1.スーパーの大きめのビニール袋いっぱいに薬を処方される。
2.(うつ病なのに)抗うつ薬ではなく、向精神薬をいきなり提供される。

このレベルでなければ通常は薬害を気にしなくて大丈夫です。
むしろ、治療が遅れるデメリットのほうが大きいと言えます。

完全に副作用のない薬はありませんし、
完全に毒にしかならない薬もありませんが、
使い所と量を間違えなければ、メリットを享受する事が出来ます。

また、現在の精神科の処方の基本方針は
単剤処方(同じ効果の薬は一つのみ提供)】です。

あれこれいっぱい薬を出すと、どれが効いたかわからない。
なので、一つずつ提供するのがスタンダードになっています。
(抗うつ薬1つ。睡眠用の薬1つ。など効果が別の薬を複数はあります。)

いきなりこれを破るような病院であれば、次の病院に移って頂いたほうが良いです。


それでも「病院が信用できない」という方へ

日本は「医薬分業」という制度を行っています。

これは医療はお医者さんがして、薬の提供は「薬局」が行うというものです。通常は面倒な制度と思われがちですが、この制度による大きなメリットがあります。

それは【不法に薬を(大量)提供することが難しい】ということです。

お医者さんが診断だけでなく薬の提供まで行うとすると、このお医者さん一人あるいは病院一つが、不法をしようと思ったら実行できてしまいます。

しかし、日本は医薬分業のため、いち医者orいち病院だけでなく、薬局まで巻き込まなければいけません。

しかも、患者はどの薬局に行ってもよいので、近くの薬局だけではその不法行為がバレてしまいます。

ですので、医薬分業のため日本では適正でない薬の提供が難しいのです。
これは故意だけでなく、単純なミスも防ぐようになっています。(薬局は患者にとって適切な薬ではないと判断すると医者に確認します。)

薬の提供を異なる専門家がダブルチェックするという仕組みなのです。

※実際に、日本での精神科による薬漬けの事件は、ど田舎で薬も医療もある一箇所でしか提供していないという病院で起きました。(つまり医薬分業されていなかった)

と薬についてめっちゃ書きましたが、診断受けて、出すか出さないか決まります。つまり処方されない可能性もある。
ですので診察前にそこまで気にしなくても大丈夫だと思います。

カウンセリングと精神科の違いは?

日本の医者が出来る精神治療のスタンダードは、薬物療法です。
これは、眠れない人には眠れる薬を、不安な人には不安防止の薬をと言った具合です。
(表面的な)症状を抑える対症療法です。

言い方を変えれば、問題が発生した【原因には触れない】とも言えます。

例えば、仕事のストレスで眠れなくなったとします。
薬を使い眠れるようになりました。
しばらくして薬なしでも眠れるようになったので、仕事に復帰します。

しかし、仕事のストレス自体が消えたわけではありません
そのストレスに晒されるうちにまた眠れなくなることは十分にあり得ます。

薬物療法とはこういうものです。
症状に対してアプローチしますが、症状が出るようになった原因にアプローチするわけではないのです。

考えてみたら、当たり前です。
医療は、骨折した人の骨を治す事を行いますが、その骨折した原因の不安定な足場まで直してくれるわけではないのです。


逆にその原因に対してアプローチするのは【心理療法(カウンセリング)】です。

心理療法は、主に対話を用い、患者の認知・情緒・行動などに働きかけ、
そこに適応的な変化を図ることを目的とする。
対処療法である薬物療法とは明確に区別される。(Wikipedia)

カウンセリングを受けたことがない方に、よく言われることの一つ

「話してなんとかなるなら、居酒屋で友達に話すよ」

これは大変な誤解です。

心理療法の最難関資格は「臨床心理士」です。(こちらは制度改変途上ですので変更がありますが)心理系大学院を出て+臨床経験(職務経験)が数年ないと受験資格すらありません。

単純に知識を得るだけでなく、それを活用することが前提です。
・人の悩みに寄り添ったり、
・話を促したり、
・価値判断なしにその話を聞き続けたり、
・(極端な場合は)死にたいという人と対峙する。

そういうハードな人間の関わりをする特殊な訓練を受けた人たちなのです。
居酒屋で友達同士が話すような内容とは全く違います。

なので、医療+カウンセリングを同時に行うことを強くおすすめします。

※カウンセラーの資格は多々ありますし、難易度レベルは全く違います。
カウンセラーの練度が気になる方は、ぜひ取得資格をお調べください。
もちろんカウンセラーの腕や相性もあります。

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