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拝啓 ダニエル・スモールウッドさま

こうやってお話をするのは随分久しぶりなこととなりました。世の中は少し長めの休暇期間に入っていますが、いかがお過ごしでしょうか?

私はというと、もっと休みを満喫すればいいのにと思いながらも、部屋で自分のことについて考えています。ずっとじゃないです、今日だけです。あの頃の日記とかを不意に取り出して、覗いてしまったせいかもしれません。適当なページを開いて少しだけ目を通してみたところ、その頃の私も今の私も大して変わってないじゃないかということに気がついて、これは読み返してみなければと思ったんですね。20代前半の私も、あと1年で30代になろうとしている私も、30代半ばの私も、今の私も、結局はずっと同じことを望んでいて、こういう自分になりたいという像が決まっていて、それなのに、自分自身はほとんどそれに近づけることもなくさほど変わっていなかったという事実だけがそこにあったんです。正直にいうと、そのことに気づいたのは今回が初めてではないです。この十数年もの間に、こうやって日記を開くたびに、何度でも気づいていたのです。それなのに何も変わっていない。すごく恐ろしいことですよね。どんな恐怖体験よりも恐ろしい事実です。
在りたい自分の姿とか、本当に自分がしたいこととか、そういった類いのことを考えるのは私だけではないかと存じますが、ダニエル・スモールウッドさまでもそのようなことを考えることはありますでしょうか?

好きなことも、やってみたいことも、私にはあるんです。だけど、私の「好き」は、本当にそれを好きな人に比べると、情熱とか好きの度合いが少ないんじゃないかと考えて、私は本当はそれが好きなのではないかもしれない、などと考えたりもします。すごく余計な考えです。きっと好きなのです。十数年も同じことを日記に綴っているのだから。

まったく成長してないかと言われたらそれとも違います。やりたくないことをやらないようにしたり、仕事を辞めてみたり、ちょっと小難しい資格を取得してみたり、少なからず何かに挑戦したり、ゼロではありません。ただ、自分の求めてるものに近づいている気はまったくしないのです。これまで歩いてきた道の上で出来上がった思考回路のクセとか性格の本質みたいなものが凝り固まっている可能性も否めません。すぐに結果を求めてしまうのもそのひとつです。すぐに結果を求めるから何も成せていないような気になるし、自分にがっかりするのかもしれません。

昔、私の父親が言いました。悩んだって何も解決はしないし時間がもったいないので、悩んでるヒマがあったらアイスでもペロペロ食べながらのほほんと過ごしたほうがよっぽどいいって。気が楽になりました。良い父親です。
数年後、同じようにこの日記を開いた時に、私は変わっていたいです。書き足す内容が、これまでとは少し違っていたいのです。晴れた日には青い空を喜び、雨の日には静かな音楽をかけ、じっと外を眺めては再び訪れるであろう晴れる日に備えて向き合いたい。月が満ちたり欠けたり、星が流れたり隠れたり、一日として同じ日はないのですから、きっと私自身だってずっと同じではないはずです。生活は続きます。だから、長い目で考えて自分のことを信じようかと思います。自分のことを信じることが一番難しいです。何も結果が見えてないわけですから。でも、まだ見えてないだけです。

随分と長くなってしまいましたが、最近の私について少しでもお知らせしたく、便りをしたためました。ダニエル・スモールウッドさま、これまでに一度もお会いしたことはありませんが、いつの日かお会いできることを心待ちにしています。

〜P.S.〜
どんなフレーバーのアイスがお好みですか?お悩みの際にはお送りします。

                                しの

Enjoy your life with colorful ice cream!

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