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人類の空想的超未来

霊魂が身体から離れて自由になることは人類の最大の課題だろう。宗教的にも、死ぬと霊魂が肉体を離れて、別の肉体について生まれ変わり、輪廻転生を繰り返すという、霊魂の不滅が説かれている。魂が生きている間に離れれば幽体離脱である。 

今の科学の常識では心と体は不可分の関係で、身体の死とともに心もなくなると考えられている。しかし、心が永遠に存続することは、人類の最大の願いである。今の時点では、本人は亡くなっても、形見や遺品に魂の痕跡が残り、不死の代わりとして、残された人にとって故人は永遠であろうとする。

心が身体から自由になりたいのは、不死の願いだけではない。心が身体に宿ることによる様々な束縛に疲れてしまったからだ。

以下、空想的超未来である。 
人類は、いつの日にか今以上に飛躍的な進化を遂げるだろう。痩せ細った頭でっかちな宇宙人のようになった人間の精神は、さらなる進化を遂げて、コミュニケーションは音声を発せずにできるようになっている。個体を持ちつつ、精神は他の精神と直接つながっている。ここまで進化したのなら、人類は肉体に宿ることを止めて、新たな宿を探し始めるだろう。

最近の人工頭脳の発達で、それが見かけだけでも人間のように振る舞うことができるようになると、今度は、人工頭脳の中に自分の脳の働きを移すことができるのではと考えたくなる。将来、電子の世界の中で人間は永遠に生きることができるようになるかも知れない。

さらに進んで、心が全く別の物質の中で存続するようになるだろう。夢のような超現実世界だ。仮に複数の人間の心が共生する世界には、個があって個はないだろう。意思を決定するものは何か。先ず、それぞれの個が意思を持つ。意思と他の意思は自然につながっている。似たような意思が集まり、少ない意思は影をひそめる。次第に意思は集約されていき、やがてひとつの意思が形成される。心がひとつになる。

人類は、肉体的存在である限り、その欲望には限りがなく、飢餓や戦争に苦しみ続けるだろう。遠い未来において、肉体から自由になり、新たな住処を見つけた人類の精神は、巨大な精神エネルギーと化して、宇宙を自由に羽ばたいていく。


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