小学館の学年別雑誌
私が子どもの頃には、小学館から『小学一年生』をはじめとする学年別の月刊誌が刊行されていた。毎月刊行日が決まっていて、毎月必ず一緒に住んでいる伯母が買ってきてくれた。その日になるとバス停で小学一年生を買ってくる伯母の帰りを待っていて、バスを降りた伯母から雑誌をもらっていた。
ある時、バス停を降りた伯母が渡してくれなかっので「ねえ、買ってきてくれた」と尋ねたら急に買い忘れたようで、「ごめん忘れちゃった。明日買ってくるわ」と言い、その言葉通り、次の日に買ってきてくれた。今から思えば、発行日だけ迎えに行くというゲンキンな子どもだった。
小学2年の時に伯母は家を出た。その後は母が買い続けてくれた。漫画だけでなく読み物も多い雑誌で、特に付録には力を入れていた。紙を切抜いて組み立てると船や自動車が完成した。南極観測船宗谷もあった。プラスチック製でないので環境に優しいものだった。漫画では、寺田ヒロオの少年野球をテーマにした『背番号〇』が収録されていて面白かった。
伯母は、引っ越した後も姉と私を可愛がってくれた。小学4年の夏休みに、今はない谷津遊園に姉と私を連れて行ってくれた。歩きながら疲れた疲れたと言っていた。その秋に急に亡くなった。訃報が入ったとき父親が亡くなったんだってと驚きを隠さなかった。
『小学一年生』から『小学六年生』まで刊行されていて、学年が上がるに従い、母はその雑誌を買い続けてくれた。漫画が主の『少年画報』や『少年』という雑誌と比べると教育的だということから親たちも買いやすものだったようだ。
そんな思い出の雑誌を、最近、本屋で見かけなくなったと思っていたら『小学一年生』だけが出版されていて、他のものは廃刊になっていると知った。時代は変わっているのだなと感じている。いろいろなものが、ひとつひとつ消えていく。
2023.3.23
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