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母の短歌

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母が生前に作った短歌をまとめたものです。
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#伯父

母の短歌 筆談の兄との会話は弾みたり話が何よりの馳走と言いつつ

母の短歌 筆談の兄との会話は弾みたり話が何よりの馳走と言いつつ

 筆談の兄との会話は弾みたり 話が何よりの馳走と言いつつ

 耳遠き兄との会話の筆談に チラシの余白を埋めつくしたり

母は、4人兄弟姉妹の末に生まれ、2人の兄と 1人の姉がいた。次兄は昭和20年6月に沖縄本島南部で戦死した。姉は数年前に亡くなり、あとに12歳年上の長兄が残っていた。姉が亡くなったときに長兄は、とうとう二人だけになったなとしみじみと言ったらしい。そのときのことを母はこう歌った。

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母の短歌 沖縄慰霊の日 戦地より嫁がぬわれを案じいし

母の短歌 沖縄慰霊の日 戦地より嫁がぬわれを案じいし

 戦地より嫁がぬわれを案じいし  
 ハガキ出で来ぬ 玉砕の兄の  

戦死した伯父を思い作った母の短歌である。

退職したら、母と沖縄に行こう。そう思っていたのは、以前から、沖縄で戦死した伯父のことを母がよく話していたからである。三つ年下の母をキミちゃんと呼んで可愛がってくれたという。母は、何かあるとよく「昇治郎さんが生きていたらな」と呟いていた。そんな大切な人だった。

伯父は、昭和19年7月

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