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三宅香帆さんの「それを読むたび思い出す」

最近読んだ書評家の三宅香帆著「それを読むたび思い出す」がとても刺さったので書き連ねてみたいと思う。

この本は著者の三宅香帆さんが今までの半生をエッセイとして今の三宅さんから見る地元高知の事、高知にいた時の地元の事、大学時代に住んでいた京都のお話が書かれている。
地方出身者で京都(本著ないにも出てくる鴨川デルタは個人的にも特別な場所です)が大好きな自分にとってとても共感が深いお話ばかりでしたが、特に刺さった2つの事に触れたいと思う

地方(田舎)のオタクとショッピングモール

本著内の最初で三宅さんはお仕事の旅先でイオンモールについ行ってしまう話と高校時代のショッピングモールの思い出とブックオフを中心とした古本屋チェーン店が通えたお陰で読書(文化)体験が出来ていたお話をされていて
イオンモールのお話のエッセイには次の文が書いてあった。

「 私にとっての地元は、いくらでも時間を潰せる本屋であり、やたら広いトイザラスであり、県内唯一の映画館である TOHOシネマズであり、試しに弾いていいとされる電子ピアノが置いてあった楽器屋であり、家族と何回も行ったカプリチョーザだった。  地元のイオンにはなんでもあった。宮脇書店も、タワレコも、ゲームセンターも、 TOHOシネマズも、ステラおばさんの喫茶店も、マクドナルドも、回転寿司も、中華も、なんでも入っていた。」

—『それを読むたび思い出す』三宅 香帆著


この文章を読んだ時に学生時代から無意識に無くしていた感情を思い出して泣いてしまった。

そこに行けば、本屋さんとヴィレッジヴァンガードがあり、島村楽器があり、マクドナルドがあり、ミスタードーナツがあり、たまにプラモデル専門店やアニメイトやらしんばん、映画館やヒーローショーが行われるイオンホールがあって
場所によっては今日見る映画のチケットのお金より高い往復の電車代を出して週末に行ったり
車を持って行けるようになった嬉しかった思い出

そう地方のジャンルにとらわれずおそらくどんなオタクや学生、少なくとも自分にとってはショッピングモールというのはオアシスみたいなところだったし
今もそうではないかと気付かされた。

「オルタナティブ私」

そしてもう1つ強烈に刺さったのが「オルタナティブ私」という考え方(妄想)だ。
三宅さんがジブリ映画の「魔女の宅急便」を見返した際に「オルタナティブキキの狭間で揺れる話なのか」という気づきから
都会に生まれた自分、18歳で大学の京都に行かずにずっと高知にいた自分をよく考える(妄想)するというお話だ。

そのオルタナティブ私・イン・都会は、きっとひとりで根暗に本なんて読まなかった。きっと、ひとりで本なんか読まず、もっとたくさんの友達とBLや深夜アニメにきゃいきゃいと盛り上がり、同人誌とか買いに行っちゃったんじゃないだろうか、と。

—『それを読むたび思い出す』三宅 香帆著

私もよく「都会に生まれていれば、、」「もっと早く産まれていれば、、」とよく妄想をする
環境や土地が違えば少しは違う自分だったかもしれないと思う反面、今の自分がここにいれる事の嬉しさも感じるからこそこの妄想はやめられないのかもしれないと思っている。

最後に

この本の中では最初に書いたように大学時代を過ごされた京都の事や"本を読む事"についてなど書かれています。
どれもこれも共感の嵐だったので、是非手に取って読んで頂きたいと思います。
最後に私の大好きな鴨川デルタの写真を載せて
終わりにしたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました

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