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写真のアスペクト比

写真作品の活動とともに、昔から画像というものについて研究・考察しているのですが、中でも全く解決しない問題が「アスペクト比」です。
アスペクト比とは、画像の縦横比率のことです。

例えば一般的な写真は3:2や4:3のアスペクト比です。
流行りのインスタグラムは原則1:1です。縦長4:5も人気のようです。
何を悩むのかというと、どのアスペクト比が理想なのかということなのです。
好きなので撮影すればいいじゃん!っていうのが正解なのですが、残念ながら正解ではないのです。だから悩むわけです。
少なくともデジタルが主流になり始めた20年ほど前から悩んでいます。

最大の原因は多数の異なる出力対象です。
写真プリントならばそのまま3:2や4:3が使えるので大丈夫ですが、ご存じのように写真を写真プリントとして出力する機会はどんどん減っています。
これはネット環境の普及だけが理由ではありません。
テレビやPCなどの画面が16:9になったり、縦長A4サイズの写真集が格安で製本できるようになったこともその理由の一つです。

アスペクト比の問題は恐らく絶対解決しない問題なのです(結論)。

写真は写る範囲やアスペクト比がほんのちょっと変化しただけで、全く別の印象を与える作品になってしまいます。
それは写真が風景を「切り取る」作品だからです。
ところが今述べたように、現代において出力対象は多数存在します。
最初からその出力対象用のアスペクト比で撮影すれば解決するのですが、そうはいきません。
「この写真をネットに掲載して、同じく写真プリントにも利用して、なおかつインスタグラムに投稿して、最終的に写真集に製本しよう!」なんてことが普通に起こり得るからです。

最初に述べたように、撮影時にファインダーを覗いた時のアスペクト比で、「これだ!!」と思って撮影するわけです。
トリミングすればいいじゃん、という話ではないのです。

さらに複雑なことに、出力時のデザインも写真に影響を与えます。
例えば同じアスペクト比であっても、上下だけに空白がある場合、画面いっぱいで空白がない場合、全体に空白を設ける場合、これらはすべてイメージが変わってきます。
空白の色の違いでも、イメージは全く異なってきます。
これら「枠」は、作品を見たときの空間認識に影響を与えます。

今回アスペクト比の話をした理由は、インスタグラムを使用するかどうかで長年悩んでいるからです。
そろそろ投稿した写真が増えてきて、自分でも何が何だかわからなくなってきたので、整理したものを皆さんに見てもらいたいという欲求があります。

ネット上で常設個展を開けたらいいですよね。

これは、ネット上に美術館を作ることは可能かどうか、というかつての私の研究の悲願でもあります。
今後VR技術の進歩に伴って、VR芸術やVR内に美術館を構築するといった試みが行われることでしょう。
ただし現時点ではPCの処理速度や解像度の問題で、まだ少しだけ早いと思います。
どこの国が一番最初にネット上にVR国立美術館を造るのか、非常に注目しています。残念ながら、未だにそういった方面でVRの研究は行われていないようですので、この方面には大きなビジネスチャンスがありそうです。

この「note」は、作品を公開するのに素晴らしいツールなのですが、残念ながらギャラリーとして観る手段としては、いまひとつです。
常設写真個展を「note」内で再現できると最高なのですが、実際これほどネットが普及しているにもかかわらず、note以外を見ても、写真個展に特化したサイトは見当たりません。
写真個展に限らずネット美術館で重要なのは、見せる側の質とその美術館の集客力(知名度)です。
noteは、その両方を兼ね備えた潜在能力を持っていると思うのですが、うまく活用できていないようにも見えます。

そこでインスタグラムでしょ??

何年か前にインスタグラムで実験したことがあります。
そして出会った最大の障壁が、今回のテーマ「アスペクト比」なのです。
インスタグラムはスマホでの撮影と鑑賞が前提となっているため、画面があまりにも小さすぎて作品鑑賞には向いていません。
そして画面の小ささが制約となって正方形や縦長作品が主流になります。
人間の目は横長の楕円状に視野が開けているため、インスタグラムの写真は全て窮屈なイメージを与えます。人間の本能に反する制約を抱えているため、残念ながら今後も作品公開の場として理想ではないのです。
早い話が、風景写真と最も相性が悪いわけです。

結局ネットにおける写真鑑賞は、PCやテレビが最適で、いずれはVR鑑賞になるのかなぁと思ったりするわけです。

ね、最初に述べた通り、解決しないでしょ?
悩むなぁ。。

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