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随想

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記事一覧

2022-23年

■十二月某日  今日だけは、爪を切りたくなかった。  わたしは、迷信を知りながらも、信じ…

心郷きい
1年前
2

無情

   ずうっと、気分が悪いまんま、過ごしている気がする。ずっと、ずうっとよ。あんまり言い…

心郷きい
1年前
3

ことばに色をつけるということ

#自分にとって大切なこと 。  自分にとって大切なこととは、ことばに色をつけることです。…

心郷きい
3年前
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誰にも合えない真夜中のはなし

 誰にも合えない真夜中がある。  誰にも言えない白昼夢もある。  或の高架下で、おともだ…

心郷きい
2年前
8

無機質な庇護欲

 はじめは『妹』というタイトルにするつもりだった。つまりは、そういうこと。  わたしは、…

心郷きい
2年前
6

安心と云う断章

 わたしは、誰かさんを安心させるために生きつづけているわけではないことを、生まれてから幾…

心郷きい
3年前
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凍んでしまうまえに

 このままでは、本當に凍んでしまうから、わたしは、どうしても、生きなくてはならない。  筆先までもが凍んでしまうまえに、わたしは生きなくてはならない。おくすりを飲んで眠ろうとしても、指さきからみことのりがくだる。起き上がるころには忘れてしまっていたとしても、わたしが造りあげた記録は其処に、うなぞこに揺蕩うから、やっぱり、生きなくてはならない。歩まなくてはならない。  そうは云っても、どうやって生き存えたらよろしいのだろうか。これは永らえるための整地ではない。存えるための戦略だ

震える指さきの話

 きのう、日記を書こうと思った。  九月のはじまり。これから、これからもまいにち、毎日を…

心郷きい
3年前
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わたしのおじいちゃん

 おじいちゃんが死んでしまう!  わたしのなかでは、その話題で持ちきりだった。わたしのこ…

心郷きい
3年前
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ことばの価値について

 提題、#はたらくを自由に。  吾々は、いきてゆかなくてはなりません。  ええ、わたしたち…

心郷きい
4年前
10

ゆたかさって、こころだ。

#ゆたかさって何だろう  ?!  提題のとおりに考えてみたとき、わたしは、裕福な奥さまや、…

心郷きい
3年前
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月の果てまで逃げ切ってやる

 月の果てまで逃げ果せたい。わたしは、わたしの好きなひとたちの手を繋いで月の果てまで逃げ…

心郷きい
3年前
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左脚の噺

 告白いたします。告白いたします。  あたくしの左脚には、水子が憑いてゐます。    「貴…

心郷きい
3年前
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おしまいは風船

 ひとつの世界のおしまいは、あでやかな風船が弾ける音だった。  わたしの世界のなかで、風船とはしあわせの象徴だ。ふんわりと浮かんでは、いづれ、ぱつんと悲鳴をあげて、なんにもなくなってしまう。それでも、あか、き、あお、みどり。色とりどりの風船がわたしたちに微笑んでくださる日和は、うんとうつくしい。  まだ、数えられるくらいの、何個目かの風船が無くなったのは、さっちゃんとおててをつないでいられた、小学二年生の頃だった。  あの頃のわたしには、いまよりもたくさん風船が見えた。やさし