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生きるって大変で単純で

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執筆者:かお

「はぁー、死にたい」

そんな言葉が口を開けば出てしまい、口を閉じれば涙が出る。もう死にたい、もう嫌だ、もう消えたらな。頭の中に浮かぶ消したくても消えない言葉を、受け入れては否定して、抱きしめては突き離す。

そんなことをしている間に時計の針は、八時十五分を過ぎようとしていた。もう登校時間だ。

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これは、小6娘のくちゃくちゃの沢山のプリントの中から偶然見つけた作文。そう、うちの娘は不登校だ。

死にたい、の綴りを連絡帳やプリントで幾度も見つけ、「なんで学校に行かなくちゃいけないの?」と毎朝娘に聞かれる。

そして、学校の先生はじめ皆さんに「学校に行きたくない理由はなんですか?」と聞かれる。シングルマザーだからか。転校したからか。忙しくて愛情を注げなかったのだろうか。

自分の何がいけなかったのか、もう考えすぎて、訳が分からない。

似たような事が、小学校に上がる頃にもあった。

昼間お漏らしの症状が娘にはあったが、原因が分からず、母子支援施設・泌尿器科・小学校・小児精神科・児童相談所などに相談したが改善しなかった。

ある支援員に「外への相談よりも、お母さんが娘にちゃんと向き合っていないからそうなるのでは?」と言われた。私は娘にたくさん我慢させてきたのではないか、こんな小さな背中に重荷を背負わせてしまったのではないかと思った。自分を責め、娘に謝った。

しかし良くなる事はなかった。私自身も落ちこみ、ここに居ない感覚を感じるなど不安定になった。

そんな時、放課後児童クラブの先生に「お母さんは悪くない」と励まされ、小学校にあるガラス張りのクラブ室で大泣きした。またスクールカウンセラーに「立っているだけで大変だったはずだよ。娘が母を助けようと思うことは悪いことじゃない。謝るのは止めよう」と言われた。顔をあげたら、窓の外に高い青空が見えた。そして、娘の症状は徐々に改善していった。

周りに責められ具合が悪くなり、そして周りに励まされ助けられた。

いま、今度は自分で自分を救いたい、強くそう思う。

娘が学校に行きたがらない原因は探せばいくらでもあるが、結局分からない。そして学校でうまくやっていく事が全てか?

違う。

たくさんたくさん考えて、ぐちゃぐちゃになって、開き直って、

娘も私自身も、いまやりたい楽しい事をしよう、そう思った。
娘をそっと抱きしめ、そして自分自身もそっと抱きしめる。

そして、この4月、娘は中学に入学した。登校前の、学校になぜ行くの?疲れた、死にたい、の言葉を聞かない日は無いが、今年の目標には「自分を見つける」と書いてあった。

涙と汗と埃にまみれた娘の顔が、なんとか前をみているように思う。いまこの瞬間のやりたい楽しいを積み重ねていく、それだけで良い気がしてきた。

生きるって、大変。でも、単純で、楽しいを積み重ねていけばいい。いまはそう思う。

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