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タイムトラベルしてみたいな

お昼時間、いつものように近所のお弁当屋さんで並んでいると、高齢の男性が声を掛けてきた。


「毎日ご苦労様です、運動不足になりがちなので気をつけてくださいね!」


年齢のわりには少し派手目の短パンを履き、薄いブルーの半袖シャツと麦わら帽子。80歳くらいの高齢男性。勿論面識はない。でも、どこかで会ったことがあるような、そんな雰囲気の方でした。


「これから先の未来は今よりもずっと良いですよ、あなた方の世代はまだまだこれからです。いやぁ、羨ましい」


そう言い残して高齢男性は足早に店を後にして行きました。
僕はもう50過ぎた中年。まだまだこれからだという言葉が少し嬉しかった。普段はいつも若手の同僚に掛けている言葉を、今日は僕が掛けられたのですから。


会計待ちをしている間、手に持っているスマホでTwitterのタイムラインを眺めていた。そこには外国人のお金持ちが宇宙旅行をするらしい、そんな話題が飛び交っている。


宇宙旅行かぁ。僕も行ってみたいなぁ。
死ぬまでの間にそんな事が実現できるのかな。


現在、宇宙旅行を果たすためには、数千万円の費用がかかるという。
数千万円かぁ。財布の中には2千円とちょいしか入っていない。
トホホである。宇宙どころか、隣の県くらいが限界かな。


宇宙旅行や火星への移住計画は、子供の頃、漫画で取り上げられる度に胸を踊らせていた。でも、あれから30年たった今では、現実の話としてTwitterでも話題になっている。科学ってめっちゃ凄いな。


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でも、宇宙旅行や火星移住ができたとしても、やはり少し不安です。未知の感染症や病気が潜んでいるかも知れませんし。新型コロナウィルスで四苦八苦している昨今、果たしてそんなリスクを回避できるのだろうか。


そうであれば、僕はタイムトラベルが良いな。
同じ地球なので、感染症や病原体のリスクは宇宙に比べて相当低いはずだ。


ドラえもんの道具のように、タイムマシーンができるのかな。
もしかしたら、もうあるかも知れません。知らないのは僕たちだけで、世界のお金持ちはとっくに楽しんでいる事だって考えられます。


同じ数千万円の費用がかかるのであれば、僕は未来や過去に行ってみたい。
未来がどうなっているのか気になるし、過去の時代を自分の目でみてみたい。白亜紀にスリップして恐竜を見たり、エジプト文明に行ってピラミッドの建設を見たり、聖徳太子にだって会ってみたい。やってみたいことは山のようにあります。


実際にYouTubeを見ていると、タイムトラベラーの実例が紹介されている。
アルカイックな100年くらい前の写真の中に、明らかに不釣り合いなTシャツを着た男性がいたり、携帯電話と思しき物体を掛けながら話す婦人がいたりする。スマホっぽい物体だって写っている。


トリックなのだろうか?
いや、トリックだとは思えない。正直な気持ち、思いたくない。では本当なのかと頭の中が錯綜してしまう。中年になっても再び胸が踊っている。


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でも、僕は未来を見ることよりも過去に行きたい。
過去にあった誤解や後悔していることを解決させたいな。


僕は親父の死に目に会えませんでした。
と言うか、弱っている親父を相手に文句を言って苦しめた。その数時間後に死んでしまうと分かっていたら絶対にしなかった。


過去の自分を止めたい。いや、文句を言った自分の後に、もう一度親父に会い訂正したい。「ごめんなさい」とだけ伝えたい。


絶望の淵に立ち、自分を見失っていた高校時代。
そんな自分を励ましてやりたい。


そう言えばさっきの高齢男性。
もしかしたら未来の自分なのかな。何となく初めて会った気がしなかった。
いや、息子かも知れないな。単身赴任で寂しく独居生活をしている父親を励ましに来たのか、或いは、未来に希望があることを伝えに来たのか。


そうだとしたら、何だか少し嬉しくなります。



最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
素敵な夏を満喫しましょう!🌱


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