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アクセルやハンドルじゃない、ブレーキが大切なんだ!

学校や職場でやたら勢いがあって注目を集める人がいる。
飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続けるスポーツチームもある。


一般的に、強くて美しく感じる物の多くは、アクセルワークやハンドリングのスキルが大きく関わっている。視聴者や聴講者達は、そのスピード感やスリリングなコーナリングを目の当たりにして興奮しているのです。


常にマイペースな僕は、ほんの少しだけ羨ましく思えたりしますが、反面、何となく違和感も感じます。


別に強がっている訳ではない。僕に勢いがない訳でもない。
ただ、ブレーキを上手く使っているだけなのです。
敢えて、ブレーキ上手って言っておこう。


車の運転と人生の運転はとてもよく似ている気がします。
曲がり角やスピードの出し過ぎで重要になってくるのは「ブレーキ」です。
このブレーキが下手な人は、しばしば大事故に繋がる事だってあります。その証拠に、F1ドライバーはブレーキ上手だと言われているのです。


スピード狂の人やハンドリングに凝っている人はいずれ事故を起こします。
車の運転も人生も、事故なく安全運転を続けていくためには、適切な時にブレーキをかける勇気が必要なのです。


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病気だってそうです。
僕は随分長い間、製薬会社に勤めています。そして現在深く携わっているのががんの分野です。オンコロジー分野とも言います。


一般的にはがんに罹ってしまうと化学療法を実施します。しかし、従来の化学療法とは違い、近年では自分の免疫を利用してがん細胞をやっつける新しい治療ができるようになりました。


一般的にがん免疫療法と呼ばれています。簡単に言ってしまえば、これもブレーキに関わる治療方法なのです。


元々人間の身体には免疫作用が備わっており、例え身体の中にがん細胞が出来たとしても、自分の免疫細胞が早い段階でがん細胞を見つけ出し、やっつけてしまう仕組みがあるのです。


ところが、がん細胞もアホではありません。この免疫細胞の攻撃から逃れる術を使うことが出てしまうのです。そう、免疫の勢いにブレーキをかけてしまうのです。まるで忍者みたいにです。「忍法ブレーキの術」って感じで。


このがん免疫療法は「免疫チェックポイント阻害薬」と言うお薬を投与することで、がん細胞が仕掛けた術(ブレーキ)を外すことが出来ちゃうのです。ブレーキを外すことで、再び自分の免疫細胞が発動してがん細胞をやっつけ始めます。


つまり、新しいがん治療は「ブレーキ」をコントロールする事と言っても過言ではありません。ブレーキを程よくコントロールすることで、自分の細胞でがんと戦うことができる。これって凄いですよね。さすがにノーベル賞を受賞するだけのことはあります。開発した科学者は本当に天才です。


世の中には勢いや美しさだけでは不十分です。
全体をマネジメントするためには「ブレーキ」こそ大事なのです。
地味に見えるのかも知れません。しかし、冷静な判断力を軸に全体を俯瞰して最適な速度で進めていれば、きっと素敵な実を結ぶのだと思います。


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食欲の秋。
お腹が空いてきました。


最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
食欲の秋、読書の秋です。思いっきり楽しんじゃいましょう。🍁


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