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別々の道を歩む元同僚らと涙の再会

昨日まで降り続いていた雨が、今朝になって嘘のように上がっている。まるで僕たちの久々の再会を歓迎してくれているようで、朝から清々しい気分。


寝る間を惜しんでゴルフに熱中していたのは、今から15年以上も前の話。当時は年間に60ラウンドするくらいのゴルフ馬鹿でした。ゴールデンウィーク前、当時のゴルフ仲間から連絡があり、随分久しぶりに再会することになりました。場所は当時足繁く通っていた岐阜県のゴルフ場。実に十数年ぶりの来場でした。


実際のところ今回は3名でプレーしたのですが、ゴルフ場にエントリーしたのは4名。当時からいつも仲良くプレーし、何でも相談し合える4人組。でも、昨年末にそのうちの一人は天国に旅立ってしまいました。ゴルフの面白さを教えてくださった大先輩のコキさん。


そんな先輩を忍んで「追悼ゴルフ」と言う事にして、ようやく再会に至った訳です。新型コロナウィルスの影響でなかなか再会出来ずにいましたが、やっと念願が叶いました。


事前にゴルフ場に説明しておいた事もあり、3名のプレーでしたが、ちゃんと4名として扱われました。勿論お金は取られませんでしたが、ちゃんとロッカーは大先輩のコキさん分も用意されている。


「既に皆さんお揃いですよ!」
その様に受付で案内されると、遠くから聞き覚えのある声がしました。


「よお、久しぶり!!」
「コキさんのロッカーも用意されてるんだな、びっくりしたわ!」



元同僚の二人だ。早々にゴルフ場に到着していて、既に軽く練習を済ませ準備万端の様子。相変わらずやる気満々の様で、全く気が早い。


「スタートまで少し時間があるので、3人でお茶でもしましょう」と最年少の元同僚が提案すると、もう一人の先輩が笑いながらこう言いました。


「4人だ、コキさんも来てるから」


朝イチのロッカールーム、十数年ぶりの再会を果たした初めての会話が「4人だ、コキさんも来てるから」でした。3人とも目に涙を浮かべながら、うなづくだけで次の言葉が出てきませんでした。


人に心配をかけることを嫌っていた大先輩のコキさん、最後まで自身の病気のことを人に知らせることはありませんでした。皆、奥様からの喪中葉書で知ることになったのです。


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十数年ぶりにラウンドするゴルフ場、とても久々ですが1ホール毎に当時の思い出がいっぱい詰まっている。あの時のショットはこの辺りまで飛んでいて、何番アイアンで攻めただとか、あの時はこんなミスがあったね、コキさんはこの池に捕まってたな、こんな会話が尽きることはありませんでした。


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ゴールデンウィークのゴルフ場、コロナ禍ではありましたがいつもより若干混んでいる。前の組みのプレーが終了するまでの間、3人で芝生の上に座り空を眺めていました。


風もなく爽やかな五月晴れ、僕たちの再会を祝福してくれている様です。当時頻繁にプレーしたこのゴルフ場、芝の色、山の景色、空の色、風の香り、何一つ昔と変わっていません。


当時の僕たちは同じ会社に勤めていた同僚。でも今は其々別の会社で活躍している。コキさんが定年退職で会社を去ってから、僕たちもバラバラになってしまいました。


皆、コキさんと最後に会ったのは12年前。それから僕たちも別々の道を歩みはじめ、其々の土地で、其々の仕事をガムシャラに熱中して来ました。そんな僕らを遠くから見守り続けてくれていたコキさん。


「コキさん、ズルいよ、僕たちに一言も言わずに天国に行っちまうなんて。まだここにいる3人とも借りを返していないよ」


次のティーショットを待つ間、ふと横に座っている最年少の同僚を見ると、空を見上げながら涙を我慢している。きっと同じことを考えているんだな。


暫くの間、3人とも音の無い世界を彷徨い、ただ風の香りを楽しんでいた。
全てのプレーが終わった時、待っていましたとばかり、再び雨が降り始めました。コキさん、会えて嬉しかったよ。またお会いしましょう。🌱


最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
引き続き、よろしくお願いいたします。🍀


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