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【課題別レポート】コロナ禍におけるひとり親世帯の子どもの状況

シングルマザー支援に取り組むしんぐるまざあず・ふぉーらむおよびジェンダー政策の専門家、研究者らによるシングルマザー調査プロジェクトチームは、本日オンライン記者会見を行い、課題別レポート「コロナ禍におけるひとり親世帯の子どもの状況」を発表しました。本プロジェクトでは、昨年2020年7月に大規模調査を行い、8月からは毎月パネル調査を開始しています。これまでの毎月調査からは、新型コロナ感染症が拡大する以前から、経済的に苦しい状況にあったひとり親世帯の子どもたちの暮らし向きは、非常に厳しい状況にあるということが明らかになっています。

「 コロナ禍におけるひとり親世帯の子どもの状況」報告書全文をダウンロードする(PDF)

米などの主食がかえないことが「よくあった」「ときどきあった」と答えた人は東京30.6%、東京以外41.6%、肉・魚が買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と回答した人は、東京・東京以外どちらも約半数にのぼっています。子どもの体重が減少したと回答した世帯は東京で特に高く、昨年8月、9月には体重が減少したと回答した小学生の割合が10%を超えていました。最新の3月調査でも東京9.3%と、調査を開始してから、約1割で推移しています。

また、食料などに加えて、子どもの生活用品が買えない、学習についていけない状況も非常に多いことが明らかになっています。調査を開始した昨年8月以降、約半数が「子どもの服や靴」や「子どもの玩具・文具・学用品」を買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と回答しています。また、3月調査では、小学生の子どもがいる世帯のうち「学校の学習についていけない」ことがあったと回答した割合は3割超、「学校に行きたがらなくなった、行かなくなった」と回答した割合は2割超、「習い事をさせてあげられない」と回答した割合は約6割でした。学習面に関しては、集中して学習をするスペースがない子どもが半数以上を占めています。経済的な困窮や学習環境の不足から、教育格差の広がりが懸念されます。

親の経済状況に関しては、月収12万5000円未満と回答している割合が東京で約5割、東京以外で約4~5割となっています。この割合は昨年8月のパネル調査開始以降継続しています。就労収入がコロナ拡大前より減少したと回答した人の割合も、東京で約5割、東京以外で約4~5割で推移しています。それに伴い、貯蓄額が10万円以下の世帯は東京3割超、東京以外4割前後であり、ともに貯蓄0円の世帯は調査開始以降増加傾向にあります。そのような状況の中で、住民1人一律10万円の「特別定額給付金」は「子どもの学用品や子どもの費用」(東京73.3%、東京以外72.5%)や「月々の家賃や住居費の支払い」(東京73.3%、東京以外74.2%)「月々の生活費の支払い」(東京69.6%、東京以外72.4%)に最も多く使われています。

シングルマザー調査プロジェクトのメンバーで、しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子は、「わたしたちしんぐるまざあず・ふぉーらむは、昨年3月以来、のべ2万5000世帯7万人以上へ食料支援をし、計120トン以上の米や、そのほかの食品を送って命をつないでもらってきました。この調査によって、コロナによって、絶対的な貧困が拡大していること、非正規や飲食・サービス業などに多く従事しているシングルマザーに収入の減少が長期にわたっていることにより、子どもたちの生活、成長、学びに多大な影響があることがわかりました。これは人々の想像を超えています。」と述べ、早急に必要な施策として以下を挙げました。

1. 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金を速やかに支給すること。
2. 今後も新型コロナの変異ウィルスの感染拡大が危惧される中、子どもたちの命を守るためにはさらなる支援制度の延長や、給付金の再支給、生活保護制度の緩和が必要であること。
3. 緊急事態宣言下での一斉休校は、給食がないことによる影響が甚大であること、また学びを止めることへの影響などから、学校が感染拡大の原因となっているというエビデンスがない限り、一斉休校を回避する方策をとること。

【湯澤 直美(立教大学コミュニティ福祉学部教授)のコメント】
新型コロナウイルス感染症以前からの生活困窮状況に加えて、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて家計が急変し、収入が児童扶養手当の対象となる水準に下がった世帯も増加しています。しかしながら、児童扶養手当は前年の所得に応じて算定されるため、このような世帯はすぐに支給対象とならず、児童扶養手当の空白期間を余儀なくされます。このような問題は、コロナ渦のもとで顕在化していますが、コロナ以前から存在していた制度的課題です。暮らしの実情に応じた制度運用ができるよう、今こそ、さまざまな制度的課題を洗い出し、改善を図っていく必要があります。

【石本 めぐみ(NPO法人ウィメンズアイ 代表理事・NPO法人「人間の安全保障」フォーラム理事)のコメント】
本調査からは、新型コロナ感染症拡大以降、体重が減った小学生の割合は、多い時で10%を超えており、今年2月以降また増加傾向にあることが明らかになりました。通常は体重が増加していくはずの小学生にこのような重大な事態が起こっている背景として、平常時から子どもの発育や教育にとって公正とはいえなシステムが、コロナ禍による非常時に、過酷な状況を子どもたちにもたらしていると考えられます。入学・進級などで学校に通うために保護者が負担する教育費の高さは、平常時から多くのシングルマザーや所得水準が低い世帯にとって大きな負担でした。また、時給や日給で働く多くの非正規雇用のシングルマザーの収入は、お盆や正月などで仕事が休みになると収入が減り、夏・冬休みなど子どもが自宅にいる時期には、食費や光熱費などが増大します。給食がない時期の食事や冷暖房の使用は命に関わりますが、児童扶養手当には、夏季・冬季加算はありません。子どもたちを守るための可及的速やかな対応が求められています。

※これまでに発表している「7月初回調査 速報レポート」もダウンロードしてご覧いただけます。


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