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声が世界を抱きしめます 谷川俊太郎 詩・音楽・合唱を語る

「声が世界を抱きしめます 谷川俊太郎 詩・音楽・合唱を語る」
2020年7月購入

 2020年、コロナ禍により合唱活動が次々と止まるなか、一つのアナウンスが目に留まりました。
 「広島県合唱連盟創立60周年記念作品として、谷川俊太郎の作詞による新曲を信長貴富氏に委嘱する。タイトルは『合唱』」

 早速この本を購入しました。この本は谷川俊太郎を迎えて行われた2017年の合唱講座の記録と、2018年のインタビューから構成されています。また新作を含む24篇の詩が収録されています。

 詩「合唱」は冒頭に載っています。一部を引用します。

ひとりで歌っています
小鳥のさえずりとともに
・・・
ふたりで歌っています
互いの声で歌を織って
・・・
みんなで歌っています
見えない声をオーロラが
・・・
合唱の声は人間を超えて
宇宙の始まりに近づきます

素晴らしい合唱曲になる予感がしました。初演の動画がYoutubeで公開されています。

そして私は2022年の合唱団大洗で実際に歌うことができました。

さて、谷川俊太郎の「声が世界を抱きしめます」には、合唱に関する谷川俊太郎の様々な発言が書かれています。一部を引用します。

p22
「僕が音楽に感動した一番最初は、信時さんの《海ゆかば》ですね。」
「僕は《海道東征》という曲も好きなんだけど、ご存じ? 信時潔さんが紀元2600年の記念に作った相当膨大なカンタータですね、シンフォニーとコーラスがあって。」(対談の中地氏はこれについては答えず話を変えてしまう)

p44
「それからもう一つの問題は、コーラスになった場合、日本語が聞こえないというのがすごくあったんですね。今それはだいぶ少なくなったけど。当時はまったく、コーラスでは自分の書いた詩が聞き取れない、それがすごく残念で。」

p70
「近代から現代にかけての美術の中で、うんと若い頃からクレーの画集を見ていて、一種の親近感を一番感じたのはクレーという絵描きさんで。」

p170
「詩を書くときにもことばの「音楽」がちょっとぎこちないと感じるときには書き直すんです。そういう意味で、詩というのは語と語の関係において、音符と音符の関係に近いような音楽性をもっているはずだと思っています。

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