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「PERFECT DAYS」を観て感じた、ヴェンダースの波長。

ヴィム・ヴェンダース?
モチロン、知ってますよ。
「ベルリン・天使の詩」、「パリ、テキサス」、「時の翼にのって」とかね。

僕は若い頃からの映画ファンだったんで、
彼の作品は10代の頃に、ちゃんと観ましたよ。

・・・でも。
全く内容を覚えてないんすよね・・・。
ただ、観たというだけで、記憶には残っていない。

そんな2023年。
そのヴェンダースの新作が、役所広司主演で、この日本の東京を舞台に撮影されたというのだから、これは観ておかないといけないと思い、観てきました。

124分。
それは、素晴らしい体験でしたね。
ヴェンダースが、今の東京を撮ると、こんな絵になって映るんだなぁと、そのひとつひとつのシーンやカットが、とても新鮮で。
主人公・平山の日常の、細やかな色彩感を、とても鮮明に感じる事が出来たと思いました。
それは、細やかなものだから、気づける人と、気づけない人が居ると思うし、どう感じるかも、人それぞれだと思う。
でも、自分には、とても波長の合うものだったなぁと思います。

東京の町外れの古い家も、淡い紫の照明と、オレンジの門灯が光ることで、こんなにも美しい情緒を感じるんだなぁとか、銭湯の桶の色や、シャンプーのボトルの色とか、そういう細かいところの色彩に、監督の拘りの部分が感じられたし。
その反面、多分、天候なんかは自然に任せたんじゃないかなぁと思えるくらい、雨の日は、ちゃんと空は曇っていて、晴れの日の木漏れ日が美しくて。

そうだ。
自分も、そういう日常の細やかな色彩を、最近になって感じるようになってきたなぁと。
だからこそ、なんか、凄く良くわかって、納得が行って、肌で心地良く感じられたという、そんな作品だったと思います。

今、この歳になり。
この2024年の年明けに、この映画を観られて、とても良かったと思います。
その瞬間というのは、人生で一度きりなんですよね。
当たり前の話なんですけど、その価値を、とても感じる。
そんな、木漏れ日に触れるような、素敵な体験をさせて貰いました。

役所広司さん。
とても素晴らしかったなぁ。
語らずとも、表情だけで、その人の感じていることが、とても優しく、柔らかく、伝わってきて、見事な演技でした。
いや、演技というより。
そのまま、そこに居るだけという。
その普通で自然なことに、演技を超えたものを感じるような、
そんな日常に寄り添った行動と、言葉と、表情が、とても印象に残りました。
これはやっぱり、役所さんじゃないと出来ないよなぁと、そんな唯一無二な存在感。
流石でした。

今日は、日曜日。
朝、8時からの上映に向けて、いつもより早起きして映画館に向かって。
途中、とても美しい朝日が見えてきたんで、車を停めて、その写真を撮ってきました。
それから、映画を観た後。
作品の中でも煌びやかに光る、朝の光を見て、
自分も同じように、感じられる、その事を、とても嬉しく思った、そんな一日でした。

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