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湯けむりの里 柏屋(栃木・川治温泉)宿泊記*2015年8月

穏やかな時間の流れにほっこりする、老舗温泉旅館

「湯けむりの里 柏屋」は、日光温泉郷・川治温泉にある大正15年創業という老舗の宿です。

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日光市街地方面から国道を北上し川治温泉郷に入ると、すぐに柏屋の看板が見え、木立の合間から重厚で堂々とした佇まいの正面玄関が見えてきます。

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玄関で予約の名前を告げると、正面奥にあるロビーのソファへと案内され、水羊羹とお茶をいただきながらゆったりとチェックインしました。その後、客室係のスタッフの案内で部屋に入り、そちらで食事の時間やアレルギー、苦手食材の有無、朝食後の布団の上げ下げの希望などを訊ねられました。

[客室]コンパクトで機能的な和室

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今回宿泊した部屋は一番リーズナブルな「月見亭」の10畳の和室です。畳が団地間サイズあるかないかの小さいタイプでしたので、一般的な10畳よりやや狭い印象でした。

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窓からは男鹿川の流れが見渡せて非常に景観は良いのですが、川向いの共同浴場「薬師の湯」の混浴露天風呂が丸見えで、人が入っているのがわかる時は、外の風景を見るだけでも少し気を遣ってしまいました。

[温泉]露天風呂からの鉄橋の眺めが最高!

荷物をほどいて一段落したところで、早速温泉大浴場へ行ってみました。今年の3月にリニューアルしたばかりだそうで、天井が高く開放的で、清潔感もあり心地よい空間です。泉質は弱アルカリ性の単純温泉、源泉温度は36.3度と低いため加温しているそうです。

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浴場入り口の横にフェイスタオルとバスタオルがたくさん積んであり、こまめに補充もされているので、部屋からタオルを持って行く必要がなく、手ぶらで気軽に行けます。脱衣所には、クシとシャワーキャップ、歯ブラシも用意されています。浴室内は壁に沿って洗い場が9つあるので、多少混雑していたものの、空きが無くて体が洗えないということはありませんでした。

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広々とした内湯の他、外に出ると源泉温度のままで掛け流しの「ぬる湯」と、加温した露天風呂があります。露天風呂からは、山間に架かっている鉄橋を走り抜ける野岩鉄道を眺めることができます。

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2両編成のかわいい列車で、昼間はほのぼのとした雰囲気です。夜になると、真っ暗な天空に明かりの点いた列車だけが浮かび上がり、まるで銀河鉄道のような幻想的な光景が見られるということで、脱衣所には列車が通過する時刻表が貼られていました。この鉄橋と列車は、ロビーや客室からも見ることができますが、温泉に浸かりながらぼんやりと眺める贅沢なひとときはまた格別です。

[庭園]緑豊かな遊歩道の先には足湯が

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お風呂上がりに敷地内の庭園「四季の森」を散策してみました。木々に囲まれた遊歩道を進んで行くと、視界が開け展望台に出ます。

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展望台には足湯が併設されていて、雄大な自然を前に足湯に浸かってリラックスできます。散歩に出る前にフロントで足湯を利用したいと伝えれば、足ふきのタオルを貸してくれます。お湯はほぼ源泉に近い温度でぬるく、私がこれまで経験してきた足湯のイメージ=熱くて浸かった足先だけ真っ赤になる、ということはありませんでした。

[食事]地元産の川魚をはじめ、和洋折衷のコースに舌鼓

夕食は食事処「彩雲」でいただきます。

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栃木産の食材を活かした料理が多く、特に地元川治で獲れた岩魚の炭火焼きは、川魚の繊細な風味が際立つ塩加減・焼き加減で、大変美味しかったです。

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先附けは冷製パスタだったり、最後には宿の名物というビーフシチューが出たりと、一辺倒な和食コースではなく創作料理もバランスよく提供されていました。

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朝食も同じく「彩雲」にていただきました。栃木産コシヒカリのごはんや、宿の自家製味噌で作った味噌汁、地元のお豆腐屋さんの湯豆腐など、朝食も地産地消のこだわりを感じるやさしい和定食でした。デザートのヨーグルトやフルーツ、コーヒーなどは朝食会場の片隅にバイキング形式で提供されていて、セルフでいただくことができます。

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53室という規模ながらも館内は広々としているので、当日はほぼ満室だったようですが、ゴミゴミした印象はまったく無く、設備、接客などすべてにわたって余裕を感じました。特にスタッフは宿泊客ひとりひとりにきちんと気を配っている印象で、若い女性スタッフが多く、皆笑顔が印象的で温かみのある接客をされていました。

客層は小さい子供連れのファミリーや、中高年の“女子会旅”のような方が多く見受けられ、みんなでワイワイ楽しむ温泉旅行という目的でこの宿を選んでいるようでした。創業90年近い老舗で落ち着いた雰囲気でしたが、かといって尊大に構えるようなことは無く、大人も子供も誰もが楽しく癒しの時間を送れる、そんな温かみのある宿でした。

※写真と内容は2015年当時の情報です。ご了承ください。


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