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母性

【母性】
『湊かなえ』



なう(2024/08/19 18:17:14)

※ネタバレ、自分語り、自己憐憫

著作を読む前に別の作品を読んでおり、先にそっちの感想を書きたかったんだけど、そっちの作品が結構お腹いっぱいになる内容だったから休憩を挟む感じで感想を書く前に読んだ一作。

結論、ここ最近読んできた中で一番キツかった。
手記として語られていく形態に加えて内容が全部おどろおどろしい苦痛のみの内容。
ただただこんな醜いものを読み続けなくてはならないのか……と読み進める都度思っていた。
先が気になる!というより、読み進める度、いやもういいよ……。と疲れきっていた。
後に調べるとこの作者はイヤミス(イヤ~な読後感を味わえるミステリー小説)作家として有名らしく、憂鬱な読後感であったり、読んだ後に気分が落ち込むような小説は好きだと思っていたけど、こういうのじゃないんだよなあと思った。

自分の母親や家庭環境と照らし合わせたり、感情移入したから辛いというより、まず最初の時点からなぜ避妊をしていなかったお前が子供ができたことに怯えるのかとか、(主人公が母親に依存していることに対してのモヤモヤなどはもう置いておいて)二人目が出来た時も避妊はしておらず~って、アホかい。としか思えなかったし、自分の所有物のように早速子供を望んでいるにも関わらずとんでもない流産の仕方してそれに対して激昂するでもなく、(元々望んでいた理由が理由だったからなのかもしれないが)……ただただ読み進めているとイライラするだけだった。

依存に関しては仕方ないことというか、心の弱さからしてしまった行為なのはわかるけど、それを正当化して被害者ぶっている手記にただひたすらイライラする。
自己憐憫がひどくて、どの登場人物にもでもお前も悪いからなあと可哀想に思えなかった。
身近にいたら喝をいれたくなるくらいもだもだしたし、これが私よりも学力があって常識人として描かれているのだから尚更プライドが高く低学歴で捻くれている私はイライラする……。

前半中盤で散々心を開けないけどなんだかんだ家族のことを考えている不器用な夫みたいな立ち位置にあった父親すらも最終的に不倫をしていて救いようがないし、一人の人間が可哀想で~とか、みんな悪くないのに~とか、ではなく、なんか登場人物全員が悪い所があって、全員正座して責められろ!と思わせてくるというか……。

胸くそ悪い系って、善人がただひたすら可哀想な目に遭うから心を痛めるようなイメージだけど、この小説に出てくる登場人物たちにおいてはまあ因果応報だろうよとしか思えず……そのくせ最後にはハッピーエンドで無理矢理終わらせようとするのだからどうしたもんか……と。。。

せめて胸糞で終わらせて欲しかった。

唯一同情できるというか、気持ちを寄せられるのは娘に対してかなあ。。
自分が娘という立場でしか生きたことがないからかもしれないけど、大体の人間の性格や感情の芽生え方なんかは家庭環境で決まると思っているから、娘がこういう(総じて)発想をしてしまったり考え方をしてしまうのは致し方がないことなのだと解釈できた。

ただ現実は非情で、それはあくまで子供の頃にだけ許される話で、成人してしまったら甘えになってしまうのよ。
だから母は駄目なのだ。

自分がこういう考え方をしないと自分を赦せない環境下で育ってきた自覚があるから、母親に嫌悪を抱いたのだと思う。

総じて、私は本の世界ならではのファンタジーや妄想の世界が大好きだけど、現実性がないと極めてつまらないと感じてしまう質なのだと思った。
どんなホラー小説なんかも、あからさまにそんなこと有り得ないだろうを感じると、途端につまらなくなるというか……。
今回の作品に関しても、普通ならそれは許せないだろ、そこは譲れないだろ、を当たり前に通過して、そらそうなるだろという結末を悲観していることが多かったから、ついていけずただ疲弊した。

まあ……息抜きに挟んだ作品だったのでよかった。
本気で楽しみにして読んでいたら肩透かしを喰らった気分になっていただろう。

ここまで散々な物言いで書いてるけど、だからこそ、著者の他の作品が気になった。

イヤミス作家ということで、きっと全てがこんな感じなのかもしれないとは思うけど、他の作品はまた違った方向性でとんでもない名作を生み出しているのかもと謎の期待というか、ドキドキが生まれた。

また何かの休憩に著者の作品を挟もうかな。

著者、著作が大好きな方が読んだらお前に何がわかるんだよってぶん殴られそうな感想ですみません。

この作品を読んでこんな感銘を受けましたみたいな感想を逆に聞きたいので、メールででも感想送ってください。

以上。