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話を聞いてみたくなる大学とは?

とある合同大学進学説明会で、目にした光景と、「保護者の生の声」から得た学生集客のヒント。大学広報担当の方の参考になれば、というお話です。


会場で聞いた受験生・保護者からの生の声

「志望校もまだ決まっていなくて…」
「まだ高2生ですが、今何をすればいいでしょう」
「なかなか勉強しないのですが、どうすればいいでしょう」
「高3。総合型選抜出願し、一次結果待ち。受かれば二次で小論文、ドキドキです。」
「息子は高2で、〇〇大学志望といっておりますが、さてどうか。親としては不安です。」

明確な志望校があるというより、できたら受験悩み相談を聞いてほしい方が大変多い印象でした。お子さんが何をしたいか、何に向いているか、どうやって大学選びをすればいいか、相談に乗ってほしい方が目立ちました。

今回の合同進学説明会、資料参加も含めると、参加大学は100校以上。
何千人もの保護者・受験生が集まるビックイベントでしたが、並んでいる列は、一部の人気大学に集中。なぜ大学のブース間でこのようなギャップができるのか。どこの大学の話を聞きに行こうか迷ってそうな保護者・受験生の方に聞いて回ってみました。

「第一志望の大学、個別ブースで相談が済めばとりあえずOK。他にも興味のある大学はあるが、よく中身を知らないので逆に何を聞けばいいか分からず、相談もしにくい」という方が多かった。

「誰も相談に行ってなくて、担当者がただ座ってるだけの雰囲気だと、何となく座りにくい」という声もあった。

そこで、たまたま立ち話で、相談を受けた保護者の方に、「それなら、この大学の方が話を聞いてくれますよ」って、私が案内しました。

大学の担当者には事前に以下のようにアドバイスをしました。

(自大学の学部説明を一方的にするのではなく)まず生徒や保護者の悩みがないか聞いてあげてください。もしおすすめの学部を聞かれたら自分の大学のことではなく、ご自身が受験生だった頃のように「学部選びのポイント」について解説してあげてください。そしたら自然と向こうから大学のことについて質問してくれるようになるはずです!

気がつけば担当者と受験生・保護者が楽しく会話している様子が見られました。そして不思議なように次々受験生が訪れるブースになっていきました。このようなちょっとしたきっかけが必要なんですね。

他にも、へぇ、すごいって感じた光景も見ました。いわゆる有名大学ではない専門職的な大学なのですが、担当の方の笑顔が素敵で、アドバイスすること自体が楽しそうにすら見えました。「なんだあの大学、話の内容が面白そう、聞いてみたい」と、そこには大勢の人が集まっていました。

話のきっかけ作りのアイデア

私がこの説明会をざっと観察していて、ちょっとしたきっかけさえあれば、ずいぶん違うのかなと思いました。以下のようなアイデアも有効かなと思いました。

「こんな質問をお持ちの方に、説明しています。」など、「事例ボード」を見えるように配置する。「一般的な学部選びの基準」を積極的に説明し、まずは悩みを聞いて差し上げるという、カウンセリングのスタンス。自分自身から決して自分の大学ばかりを宣伝しないことがポイント。そのスタンスでも、相談者自身から質問が出ますので自然と自大学の話につながるものです。

他には、カラーで手作りのちょっとしたかわいいチラシに「学部選びの基準」などを作って置き、「ご自由にお取りください」とするなどでもいいかと。手作りの作品は自然と参加者の目にとまるものです。

まずは、自分の大学の説明をするのではなく、「受験生、保護者の方が聞いて喜ぶ、悩み相談」をし「それから自大学のことも必要に応じて説明する」といった感じぐらいがちょうど良く、好印象です。

さいごに

私がインタビューした感じでは、半数くらいは高2、高1でした。中には、中学、小学生の兄弟姉妹も一緒の家族連れの方々もいました。とにかく、皆さん、志望校を絞り込む前の段階の方が多い印象でした。

とりあえず最初は自分の知ってる名前の(有名な)大学に足を運んでみようと考える参加者も多いでしょう。でもこうやって合同大学進学説明会に来ている参加者は「本当は色々な大学の話を聞いてみたい」と思っているはずです。聞きたい大学が1つだけならその大学に行って話を聞けばそれで済む訳ですから。つまり担当者にとってみれば2つ目、3つ目の大学に足を運ぶきっかけ作りが大事なんです。それだけでいいんです。

大学の事を知りたいというより、「楽しみながら、学び、過ごせる大学に通いながら、将来の投資になる」ってことを感じたい、のではないでしょうか。いかに生徒・保護者目線に立って話ができるかが重要です。

私は、当日は「返さなくてもいい」奨学金特集の資料を配布していました。奨学金情報を載せたこのような資料は保護者のニーズとピッタリ合致。ずいぶん感謝されました。宣伝したい情報の前に、相手が知りたい情報のことを考えることも重要ですね。

生徒、保護者の方にとっては、わくわくさせてくれる、お喋りしてて楽しかったと思うブースなら、とても印象深い大学として記憶に残り、志望校の一つに加えてもらえるのではないでしょうか。できる工夫はいくらでもあるんだな、そう感じさせられた一日でした。

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