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おれのソロホリデー

 先日、奧さんが泊まりがけで帰省した日とぼくの休日が重なり、めちゃくちゃ久々のソロホリデーとなった。
 赤ちゃんがいて奧さんがいて、みんなで過ごす休日はめちゃめちゃ楽しいし、休日のたびに楽しい思い出と写真が増え、しあわせな気持ちを得ることができる。それはそれとして、ひとりだから出来る過ごし方もあると思う。
 思いがけず去来した、けっこう大きな塊のひとりの時間。家族を気にせず好きに使うことのできる時間。「自由」と言い換えることもできるかもしれないけど、貴重な自由を前にするとなんか、いい過ごし方しなきゃ! と萎縮するので、これは、自由とぼくとのバトルである。

 その当日の朝、家事を片付けてから、昼ご飯にサンドイッチを作った。そんなにテキパキやったわけではないので、とっくに昼過ぎだけど、サンドイッチとドリップしたコーヒーを入れた水筒を持って、大阪城公園に出かけた。
 公園にほど近い駅前のスーパーでビールを買った。

 ぼくにはかねてからやりたいことがあった。
 大阪城公園の一角、フリスビー飛び交いワンが会釈を交わす芝生広場に、ひとつの、腰より少し高いくらいの切り株がある。
 以前、奧さんと子どもとピクニックしたときに、その切り株に缶ビールを乗せて一杯やっているおじさんがいたのだ。ブラウンのコートにハットという紳士な装いで、ひととき、切り株を立ち呑みカウンターに見立てて呑んだあと、ほどなく去って行った姿が印象に残っていた。

 そのおじさんの行いをいつかやってみたかったので、今日やった。切り株に缶ビールを置き、作ってきたサンドイッチ(玉子サラダサンドと二日目のカレーサンド)を広げ、一杯やった。

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 この日は快晴で気温も高かったので、ビールがめちゃめちゃ美味かった。平日なので、人出は適度だけど、子どもが遊んでいたり、赤ちゃんとママが木漏れ日の下、レジャーシートで休んでいたりする風景の殴りつけるようなのどかさが最高に趣きある肴となったし、自作サンドイッチうまかった。
 ぼくはあのときのおじさんと違いけっこうな時間滞在した。
 スマホで友だちに教えてもらった「タテの国」というマンガを読んだ。家で10話ほど読んだあたりから抜け出せなくなりこの時点でたしか118話まで連載されていて、しかも配信元のジャンプ+で全話無料で読めるので、日が傾いて、この場所が日陰になり風が冷たくなるまでいた。


 「タテの国」というまんがが、折り重なる時間と次元を股にかける大冒険活劇であるため、ぼくはこのとき、あのときみたおじさんは未来のぼくだったのだ……と本気で思った。そのあたりで退散した。

 この公園は咲き始めた桜も見物で、歩きながら目を楽しませてくれた。いいベンチがあったので、立ち呑みのあと、休憩。ビルの隙間から西日が差し、まだ暖かい。

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 奧さんからLINEがきて、帰省先の近くの公園を散歩していてちょうど桜をみていたらしい。ぼくは淹れてきたコーヒーで、奧さんはコンビニで購入したコーヒーで、電子乾杯した。

 帰りに商店街に立ち寄り、居酒屋のテイクアウト弁当を買った。焼き魚の弁当だ。
 帰宅してから、いいちこハイボールを開け、焼き魚を崩しつつ飲んだ。

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 めちゃめちゃ美味い。なぜなら、このときの焼酎ハイボールや焼き魚のひとくちひとくちが、立ち塞がる「自由」の圧を撥ねのけ、「自由」の旨味を全身で享受せしめたことを示す祝福であったからだ。
 ひとりの休日を楽しみきる。毎回こうはいかない。独力で楽しく過ごすことができるかどうか、というのは、家族が増えとしても重要だと思う。
 それは人生を楽しむことの足腰だ。楽しむちからでいうと、1歳の娘のそれは桁違いで、あらゆるものに目を輝かせ、森羅万象を楽しむ気概すら感じるが、ぼくもなかなかのもんだぞ、と思う。
 おとなにはおとなの楽しみ方があるのだ。
 めちゃめちゃ楽しくこの日すごしたぞ!
 どーよ!?

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