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【ラジオドラマ#2】『枕詞』【台本】

SE 革靴の足音
部下(以下、B)「あのー、部長。なにか御用ですか?」
部長(以下、A)「いやッ、用ってほどでもないんだけど」
B「いいですって、そういうの。何の仕事ですか?」
A「今やってくれてる企画のほう、順調に進んでる?」
B「はい、課題もまだあるんですけど、でもまあなんとかなると思います」
A「あー、ソッ。ならいいんだけどさ。(早口)本当に無理だったら断って欲しいんだけど」
B「なんですか?」
A「杉本くんがさ、今日休んでるじゃん」
B「はい」
A「頼んでた、(間)ほら新しく営業かけてくれたところの会議の資料、まだなんだよね。お願いできないかな?」
B「まあ、いいですけど」
A「良かったー。いや、変な話さ、杉本くん、そこまで資料作るの上手くないでしょ、君がやってくれることになって結果的に良かったよ」
B「あ、ありがとうございます」
A「ぎゃ逆にだけどさ、杉本くんに頼んでたら会議、あんま盛り上がらなかったかもね」
B「そこまでではないと思いますよ」
A「本人は張り切ってる割に中々進まない。困ったもんだね」
B「(苦笑い)」
A「正直言ってさ、言ってることとやってることが食い違ってることあると思わない?」
B「たしかに、言ってることが食い違っていることあると思います」
A「杉本見切り発車な所あるから」
B「違います。部長、“が“ですよ」
A「私のどこがっていうんんだ」
B「まず『用ってほどでもない』って言いましたけど、十分用事じゃないですか。それが用と言えるか決めるのはこっちなんですよ。『本当に無理だったら断ってほしんだけど』で断ってるところ見たことあります?自分が上司なの忘れてるでしょ」
A「まあ君の言い分もわかる、でも(怒)日本語は言いたいことと言ってることが食い違う言語なんだよ。早い話、パワハラだって言いたいのか」
B「そこまでではないですけど、ただ気をつけて欲しいところではあります」
A「今のは『早い話』だったよな」
B「そういうこと言ってんじゃないよ」
A「まあ、心に留めておくよ」
B「なら、よかったです。では、失礼します」
A「ちなみなんだけどさ、それ締め切り明日だから」
B「それそれそれ」

メンバーが一人二役で演じた音源がYouTubeにて、公開されます。
ぜひ、ご覧ください。

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