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奥田英朗「罪の轍」〜幼児誘拐事件

奥田英朗さんは大好きな作家さんのひとりです。

推しさん主演の
「ララピポ」という映画があります。
その原作者。

大好きな映画で大好きな小説。

ララピポ パンフ

推しさん主演だからではないです。

たぶん推しさんも、
主演に抜擢された時
この世界観好きだなって
思ったと思う。

底辺で、地を這うように生きてる人たちに
スポットを当てた作品。

そういう物語を描く作家さん。

・・・・
この小説は
昭和30年代に起きた
幼児誘拐事件を元にした刑事ものです。

登場人物、一人一人の心理描写をしながら
全体のストーリー展開も面白い。

あの頃はまだ逆探知もうまく出来ず

もちろん携帯もない、
無線すら十分でなく

身代金受け渡し場所に堂々と現れた
犯人をみすみす取り逃がす大失態。

そして、
容疑者の複雑な家庭環境と、
壮絶な幼児体験。

最初は
容疑者はただバカなだけで、
窃盗はするけど
人殺しなんてしない、
心優しい青年だ、なんて思わせながら、

実はその裏に隠された
人間の残酷。

同情ではない。

ただただ
人間の深さに頭をたれる。

作中、傷痍軍人や、ルンペンと
呼ばれる人が出てきます。

小さい頃、
道端でお金をもらう
そういう人たちを見た記憶があります。

戦争を知らないけど
戦争を引きずっている世代。


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