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ディズニーの苦境

こんばんは。The Economistの5月9日号からもう一つ、気になった記事を共有します。日本でも、新型コロナウィルス感染拡大の最も早い時期から休園しているディズニーリゾート。ディズニーは一大複合メディア企業なのですが、近年拡大を続けていたテーマパーク・リゾート部門を突然襲ったパンデミックの影響はやはり甚大なようです。

英語原文は、以下からどうぞ:

以下、マイバージョン和訳です:

ディズニーの苦境:パンデミックで裏目に出たパーク・リゾート部門の拡大戦略
2020年5月9日

今となっては遠い遠い銀河系の昔、正確には2020年2月、ボブ・アイガー氏は大成功を収めた会社のトップを退任した。2019年の映画興行収入ランキングトップ10のうち7本はディズニー作品だった。またディズニーは、Netflixに対抗するストリーミングサービスであるDisney+のサービスを開始したところだった。690億ドルの負債を抱えた21世紀フォックスの買収も完了したばかりだった。アイガー氏がトップを務めた14年間で、同社の株価は5倍に上昇した。ところが5月5日、アイガー氏は召喚されたジェダイのように経営の現場に戻り、第1四半期の決算発表を行った。その中身は配当の停止と、新型コロナウィルスの影響による純利益の前年比91%減少であった。

新型コロナウィルスの感染は、すべての大手メディアグループに広がった。映画館は閉鎖され、広告収入はダウンし、撮影は中断され、スポーツのテレビ生中継もない。しかし、ディズニーほどひどい打撃を受けているところはない(下図参照)。Netflixは、外出規制下にある消費者の登録数が大きく伸びている。AT&Tとコムキャストの経営は、成長率は鈍いながらも頼りになるケーブルと携帯電話事業で安定している。一方ディズニーは、長年の繁栄の理由がそのまま裏目に出た。アイガー氏の下でディズニーは世界で最も有名なメディア大手となり、またメディア分野をはるかに超える企業に成長したのだが、皮肉にも、事業の多角化はパンデミックの影響をまともに受ける分野で進んでいたのだ。

10年前、ディズニー・チャンネル、スポーツ専門チャンネルESPN、ABC放送などを含むディズニーのメディアネットワークは、ディズニーの各種事業からの営業利益の3分の2を占めていた。2019年はその割合は半分であった。有料テレビ事業の衰退を受けて、ディズニーは別の事業に投資してきたのだ。その一つが映画スタジオで、ルーカスフィルム(スターウォーズを所有)やFoxなどの買収によって利益は増加してきた。これは、映画ファンによるライトセーバーやアイアンマンの玩具購入など、同社の消費者向け製品ビジネスを後押しした。しかし、映画館が閉鎖された最後の四半期には、ディズニー・スタジオの利益は前年同期比で8%減少した。新作の公開が7月まで延期されたことで、次の四半期業績はさらに悪化しそうである。

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21世紀フォックスの買収は別として、アイガー氏がディズニーを率いた時代に最も拡大した事業がテーマパークとリゾートであった。これらへの2019年の設備投資費は41億ドルに上り、ディズニーが2012年にルーカスフィルムに支払った金額を上回っている。6つのパークと4つのクルーズ船(加えてバハマのプライベートアイランド)は、2019年のディズニーの営業利益の3分の1を生み出したが、この割合は10年前のほぼ2倍である。2020年2月にアイガー氏に代わってCEOに就任したボブ・チャペック氏はこの部門のトップであった。ところがテーマパークとリゾート事業は、ソーシャルディスタンスの影響を特に受ける。パークが閉鎖され、クルーズ船運航が停止したことで、このセグメントの四半期利益は58%の急落となった。

上海ディズニーランドが先陣を切って5月11日に再オープンするが、入園者数は従来の30%以下に規制される。パーク内ではミッキーマウスにハグするのは禁止され、フェイスマスクの着用も義務付けられる。ディズニーショップでは、ミッキーやR2-D2をモチーフにしたフェイスマスクが4枚入り19.99ドルで販売されている。

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ディズニーリゾートは、雇用のすそ野も広いと思います。たくさんの雇用が、たくさんのお客に支えられているのに、ソーシャルディスタンスでそれが大きく制限される。。。本当に、胸が痛みます。

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