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チームやコミュニティの話の前に、「孤独力」を養おう

チーム流行り、コミュニティ流行りの昨今。みんなでやれることの力は大きく、これらの話は重要です。

僕は高校卒業までネクラで友達がほとんどいない人生を送ってきました。体も病気で部活もやっていなかったので、チームやコミュニティでの良き思い出はありませんでした。

大学で自分の性格を変えるために、落研(落語研究部)に所属して、お笑いをやりたい先輩後輩とネタを作って毎週練習したり、週1で舞台に立ったり、かけがえのない時間を過ごしました。これが僕にとって初めての、楽しいコミュニティに所属した経験でした。

その後、会社に入り、今度は初めてのチームに所属し、同じ目標に向かって10人ほどでおもちゃを作って売る仕事の日々が始まりました。年によっていいチームもあればうまくいかないチームもありましたが、大ヒット商品が出たとき、それは「チーム力」の賜物以外の何物でもありませんでした。この経験は後に独立起業していろいろな会社のチーム作りをお手伝いできるようになった根源となりました。

いろいろな経験に恵まれてきた自分ですが、究極のコミュ障から大人になって意外にも集団活動がうまくいったのは、自分が知らないうちに長年育んできた、「1人で行動したり楽しんだりする力」すなわち孤独力という土台があったからだと考えています。

皆さんは、たくさんの仲間とつながりたいですか?
それとも、1人でいるのがラクだけど、ときどきは仲間と一緒にいたい、とか?
SNSのつながりは広くたくさんあった方が良いですか?・・・

いろいろな性格の人がいるでしょう。時代として、ネットワークが広い人が有利であるという考え方もあると思います。

僕は、期せずして1人で過ごす時間が長い人生を送り、そのおかげか、まずは何でも自分でやり抜こうとする性格と能力が身に付いていました。

これは、組織の管理職などになって、人を動かしながら仕事をすることが必要な立場になると、「何でも自分でやろうとするな」などと否定されることもある性質です。でも僕は、まず自分1人で動いてみる孤独力こそが、その人ならではの新しい価値を作るために重要な力だと思っています。個人的欲求に基づいて行動した結果、その人に蓄積されていく能力が個性になり、そんな孤独な個人が集まって助け合い、弱みを補完し合うことで、大きな集団力が生まれます。最初から、人と一緒にいることが好きすぎたり、人の力を借りることが上手すぎたりすると、逆に誰かに頼られたときに自分が貸してあげられる地力がない人になってしまうかもしれません。

ただずっと孤独に行動をするわけにもいかないので、次に大事なのは、チームやコミュニティの話の前に「2人力(ふたりりょく)」だと思っています。2者、つまり1対1で付き合い、対話して、仕事したり遊んだりする能力です。

今の僕の仕事はほとんど、2人力で作られています。たくさんの様々な「自分と誰か」というペアで、企画をやっています。僕が元来コミュ障だから、一緒にやれる単位として2者が限界なのかもしれませんが、たとえ2人でも、全く同じ考えがあるわけではなく、それがすり合っていいものが生まれると、いつも感動します。

自分1人で行き詰まったことは、まず誰か1人に相談すればいい。例えば会社で10人のチームがあったとしたら、一丸となってやるよりも、全員じゃなくてもいいから、まず気の合う人と、1人、また1人と、いろいろなペアを作って仕事をしていったらいいと思うのです。その先に、自然発生するのが、チームだったり、コミュニティだったりするのかもしれませんが、それ以上に、「ペア」って、面白いです。多人数と同じくらい奥が深くて、大きな可能性を秘めているのが、2人力なのです。

ペアで仕事をすることのメリットには、最初から大勢の力を期待しない状態で、それでも幅広いユーザーに歓迎される企画になるかどうかを、2人だけの澄んだ目で見ることができるという点もあります。例えば昨今コミュニティ流行りになる一つの理由に、「大勢で宣伝したら、波及効果が高い」というイメージがあります。ちゃんとしたコミュニティ運営をしている人はそんなことはコントロールできないことをわかっていると思いますが、何か商品を作って「うちらもコミュニティ作ろうぜ」みたいなことを言ってあまり上手くいかないというのはまさに「あるある」です。その前に、たとえ1人孤独に作ったとしても、世界に波及するような仕事に挑戦してみることはとても重要です。1人でやって売れない物は、大勢でやっても売れないし、1人で売れるものを作れたら、その周りに人は自然に集まってきます。自分が立てた旗に魅力があれば、「コミュニティ作ろうぜ」なんてセリフは出てきません。

よく、誰かと協業すると、「あの人も入れない?」「あの人も巻き込んで・・・」と言い出す人がいますが、僕は「まず2人でやろうよ」と言います。大勢いればいいというものでもありません。僕は、よく知らない人と複数で集まったりして、時には毎月お金を出し合ったりして、何かをやろうとするなんて、正直疲弊して仕方ありません。大勢でやろうとせず気づいたら大勢になっていたのなら、それがいいんじゃないでしょうか。

大勢で機能したときの力は大きいし、成し遂げたときの感動もひとしおです。でもそれ以上に、誰かと2人でやる仕事って、すっごく楽しいし、勉強になるし、感動するし、プロジェクトが終わっても、その人と人生の友達になれるんですよね。ただ1人の相手と向き合うことって、大切だと思います。

この「孤独力」→「2人力」の話は、僕の価値観のみによる話かもしれません。でも、似ている人もたくさんいるのではないでしょうか。

だから、1人で遊んだり作ったり勉強したりするのが大好きで、何よりもまず孤独力を養って、毎晩AmazonPrimeで「孤独のグルメ」ばかりリピートして見ている僕は、

あなたと。
あなたと。
あなたと。
あなたと。
今読んでくれている、「あなた」と。

いろんな2人で、何を仕掛けることができるか、やっていきたいです。そんなふうに働く人生は、とても幸福だなあと思います。

※ちなみに株式会社ウサギの社名の由来は「寂しいと死んじゃうから」です。





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株式会社ウサギ代表。おもちゃ・ゲーム系プロダクト/遊び系新規事業の開発。∞プチプチ、アンガーマネジメントゲーム、OQTA、気泡わり専用アラビックヤマトなど。全国で講演。近著に『企画のメモ技』(2018)Twitter→ https://twitter.com/simpeiidea

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