見出し画像

チームやコミュニティの話の前に、「孤独力」を養おう

チームやコミュニティという言葉が流行っているこの頃。共創とかコラボレーションの時代と言われ、他者とつながればつながるほどいいよね、と思われがちです。

僕は高校卒業までネクラで友達がほとんどいない人生を送ってきました。体も病気で部活もやっていなかったので、チームやコミュニティでの良き思い出はありませんでした。

大学で自分の性格を変えるために、落研(落語研究部)に所属して、お笑いをやりたい先輩後輩とネタを作って練習し、舞台に立ち、かけがえのない時間を過ごしました。これが僕にとって初めての、うれしいコミュニティに所属した経験でした。

その後おもちゃ会社に入り、今度は初めてのチームに所属し、同じ目標に向かって10人ほどで仕事をする日々が始まりました。年によっていいチームもあればうまくいかないチームもありましたが、大ヒット商品が出たときは、チーム力の賜物以外の何物でもないと感じました。この経験は後に独立起業していろいろな会社のチーム作りをお手伝いできるようになった根源となりました。

いろいろな経験に恵まれてきた自分ですが、究極のコミュ障から大人になって意外にも集団活動がうまくいったのは、自分が知らないうちに長年育んできた、「1人で行動したり楽しんだりする力」すなわち孤独力という土台があったからだと思います。これは今振り返るとほぼ確信を得ています。

皆さんは、たくさんの仲間とつながりたいですか?
それとも、1人でいるのがラクだけど、ときどきは仲間と一緒にいたい、とか?
SNSのつながりは広くたくさんあった方が良いですか……?
時代として、ネットワークが広い人が有利であるという考え方もあるのかもしれないし、もちろんリアルでもネットでも友達がたくさんいるのは嬉しいことです。

僕は、期せずして1人で過ごす時間が長い人生を送り、そのおかげか、まずは何でも自分でやり抜こうとする性格と能力が身に付きました。

「この人、自分がないな」と思われると、集団には歓迎されづらくなる可能性があると思います。

まず仕事の話でいうと、組織の管理職などになって、人を動かしながら仕事をすることが必要な立場になると、「何でも自分でやろうとするな」などと否定されることもあります。でも僕は、まず自分1人で動いてみる孤独力がなかったら、他者と働くなど出来ないんだろうと思います。孤独力こそが、新しい価値を作り周りと連携し信頼されるために重要な力だと思っています。個性が集まって助け合い、弱みを補完し合うことで、大きな集団力が生まれます。最初から、人と一緒にいることが好きすぎたり、人の力を借りることが上手すぎたりすると、逆に誰かに頼られたときに自分が貸してあげられるものがない人になってしまうかもしれません。これからのAIなどのテクノロジー時代は、時間を忘れて自分の得意分野に没頭できる人が求められるんだろうなとも思います。

ただ、ずっと孤独に行動をするわけにもいかないので、次に大事なのは、チームやコミュニティの話の前に「2人力(ふたりりょく)」だと考えています。2者、つまり1対1で付き合い、対話して、仕事したり遊んだりする能力です。

僕の仕事は現在、ほとんど「2人力」で作られています。たくさんの様々な「自分と誰か」というペアで、企画をやっています。僕がもともと大勢で動くことが苦手だったこともあり、一緒にやれる単位として2者が限界なのかもしれませんが、たとえ2人でも考え方や得意技に違いがあるので、それがすり合っていいものが生まれると、いつも感動します。

自分1人で行き詰まったことは、まず誰か1人に相談すればだいたい解決する方向へ向かいます。自分のありかたがわからないこともあると思います。そんなときはだれか「1人」に相談すると、自分が見えてきます。例えば会社で10人のチームがあったとしたら、一丸となってやるよりも、全員じゃなくてもいいから、まず気の合う人と、1人、また1人と、いろいろなペアを作って仕事をしていったらいいと思います。その先に、自然発生するのが、チームだったり、コミュニティだったりするのかもしれませんが、それ以上に、「ペア」って、面白いです。多人数と同じくらい奥が深くて、大きな可能性を秘めているのが、2人力です。

ペアで仕事をすることのメリットには、最初から大勢の力を期待しない状態で、それでも幅広いユーザーに歓迎される企画になるかどうかを、2人だけの澄んだ目で見ることができるという点もあります。例えば昨今コミュニティ流行りになる一つの理由に、「大勢で宣伝したら、波及効果が高い」というイメージがあります。ちゃんとしたコミュニティ運営をしている人はそんなことはコントロールできないことをわかっていると思いますが、何か商品を作って「うちらもコミュニティ作ろうぜ」みたいなことを言ってあまり上手くいかないというのはまさに「あるある」です。その前に、ある意味孤独に1人で、世界に波及するような仕事を作ることに挑戦してみることは重要です。1人でやって売れない物は、大勢でやっても売れないし、1人で売れるものを作れたら、その周りに人は自然に集まってきます。自分が立てた旗に魅力があれば、「コミュニティ作ろうぜ」なんてセリフは出てきません。1人で自分の世界を持って颯爽としている人は魅力的で、人に追いかけられます。

よく、誰かと協業すると、「あの人も入れない?」「あの人も巻き込んで・・・」と言い出す人がいますが、僕は「まず2人でやろうよ」と言います。大勢いればいいというものでもありません。僕は、よく知らない人と複数で集まったりして、時には毎月お金を出し合ったりして、何かをやろうとするなんて、正直疲弊して仕方ありません。大勢でやろうとせず、気づいたら大勢になっていたのなら、それがいいんじゃないでしょうか。

大勢で機能したときの力は大きいし、成し遂げたときの感動もひとしおです。でもそれ以上に、誰かと2人でやる仕事って、すごく楽しいし、勉強になるし、感動するし、プロジェクトが終わっても、その人と人生の友達になれるんですよね。ただ1人の相手と向き合うことって、大切だと思います。

この「孤独力」→「2人力」の話は、僕の価値観のみによる話かもしれません。でも、似ている人もたくさんいるのではないでしょうか。

だから、1人で遊んだり作ったり勉強したりするのが大好きで、何よりもまず孤独力を養って、毎晩AmazonPrimeで「孤独のグルメ」ばかりリピートして見ている僕は、

↗あなたと。
↘あなたと。
↖あなたと。
↙あなたと。
今読んでくれている、「あなた」◎と。

いろんな2人で、何を仕掛けることができるか、やっていきたいです。そんなふうに働く人生は、とても幸福だなあと思います。

※ちなみに株式会社ウサギの社名の由来は「寂しいと死んじゃうから」です。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?