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関係性が移ろう中での難しい選択

 台湾総統選に関する先日のNHKの番組で、大陸の台湾政策の一つに、台湾の学生向けの優遇制度があることを知りました。

 一番大きな優遇措置は、台湾のテストの成績からすると入れないようなレベルの大学でも、台湾の学生には敷居を低くして入学を認める制度であり、その他、奨学金制度なども充実しているようです。

 当然ながら、台湾政策の一環であるため、こうした台湾の学生に大陸の思想教育をほどこしたり、台湾寄りの言動を取れないような締め付けも行われているようです。

 レベルの高い大学に入ることは、一般的に言えば、より質の高い教育を、レベルの高い学生と一緒に受けられるだけでなく、出口としての就職においても有利です。

 大学入学時点で圧倒的な個人としての実績を有していたり、高校生のころから起業して、大学を乗り越えて一気にビジネスの世界に乗り込んだりするような、一部の超人的な人を除けば、大学はレベルの高いところを目指すのは、どこでも同じなのだと思います。

 ただ、大陸と台湾の関係の不安定性を考えると、学びの環境だけを考えて台湾の学生が大陸の大学の選択するのは、一種の「賭け」であると思います。

 推薦入学の場合、学力面で劣っていてもスポーツなので秀でたものがあれば、学力ハンデが補正されるのでしょうが、台湾出身ということが評価の補正につながるとも思えないですし、大陸も今は、大卒の就職が大変厳しいとのことであり、かといって台湾に戻ったところで、大陸の学歴が評価されない可能性もあるので、学びの環境は良くても、出口を考えると、むしろ台湾の大学に入った方が良かったということになりかねないように思います。

 一方で、大陸と台湾の関係性の変化の中で橋渡し役を担えたり、高いスキルを身につけることで、第三国で活躍し、結果的に安全保障上のリスクに対し、家族全体でリスク分散を図ることができるかもしれません。

 学歴の序列の厳しさは、国や地域によって違いはあると思いますが、ある意味「勝ち目」のないところで序列の下位にあって、なかなかチャンスを得られないのであれば、序列の外に出ていく、これは魅力的にも見えますが、桎梏からときはなたれた解放感を味わえるのは一時的であり、あとは、拠りどころのない荒野で、一人勝負することになります。

 自分が学生時代は、皆と同じベクトルの中で勝負しており、比較的、自分の思い描いたパスラインの通りに大学までたどり着けたわけですが、人生観や価値観も今に比べてはるかに未熟であったことを考えると、こうした流動的な関係性の中で選択を迫られるのは、きついですね。

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