見出し画像

詰め詰めのスーツケースから取り出す

 昨日と今日にかけて、3回にわけて引継ぎをしましたが、それでも終わらず、明日、4回目の引継ぎをします。

 この、引継ぎの作業というのは、無理やりぎゅうぎゅうに詰め込んでいたスーツケースから、モノを取り出すようなもので、一つ取り出すと、それなりにかさがあり、すべて取り出すと、部屋がモノであふれてしまう、そんな感じです。

 一つの業務を引き継ごうと取り出すと、そこにはいろんな物語があって、結果、現状の姿になっている。僕はことの経緯を時系列で理解しているから、その理解の上に立って、今の進め方があるのを当たり前のように思っているんですが、これをいざ、他人に伝えようとすると、ほぐしていかないと到底理解できない。
 
 ただ、時間も限られており、全部を解きほぐすと大変なことになるので、今に至るルートを最低限説明しています。
 節目節目にも、当然ながら枝分かれはあり、なぜ、別な選択をしなかったかというところにも、物語が宿っていますが、そこを開くと、また時間がかかってしまうので、それはおいおい、理解してほしいと、一旦蓋をして、引き継いでいます。

 多くの課題解決のミッションを、パラレルに抱えている状況では、一つ一つの課題を突き詰めていたら、時間は足りませんし、敵は迫っている状態なので、まずは武器の使い方を身につけてもらうのが急務。
 
 細部に宿る物語がわからないと、地雷を踏むおそれがありますが、まずは攻勢をしのぎ、こちらから反攻する際に、そこは勉強してもらう、そんな感じで引継ぎを進めています。

 お釈迦様の一切経をほどくと、宇宙になるというような話を聞いたことがありますが、自分の濃密な2年間を、ほどいてみると、いかに詰め詰めで乗り切ってきてきたかを実感しましたし、どれだけ多くのことを、いちいち意識しなくても、即応できるようになっていたかを、知らされました。

 そういう、体で覚えている反応を、人に伝えようとすると、毎日やっているネクタイの結び方を、人に教えるのが案外難しいように、自分でも「なんでこういう反応してるんだっけ?」と自問自答して、納得できる答えを呼び出すのに、時間がかかったりもします。

 結局、仕事というのも、金の延べ棒をのみこめば、それで素晴らしい仕事ができるわけではないように、武器を持っただけで使えなければ、ガラクタ持っているのと変わらないが如く、自分と一心同体になって、自在に使いこなすことができる。

 そこまで至るには、実地で覚えるしかない。教えることはできても、それを取り込めるかは別。ただ、知らないよりか、知っておいた方が、自分のフォームも修正できるし、燈炬にはなりえる、なればこそ、まずは知るところからはじめなければならない。

 このへんも、再認識させられました。

 いずれにしても、自分の仕事を開いてみて、あまりの詰め込みぶりに愕然、ある人から「心残りはあると思うけど、おそらくあと一年、同じことしてたら、確実に心身を蝕んでいきますよ。2年で十分でしょう。」と言われたこと、まさにその通りかもしれません。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?