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引っ越しを機に社会の人手不足を実感

 引っ越しにあたり、いつものようにネットで一括見積もりをお願いしましたが、即レスがあったのは1社で、他からのレスはありませんでした。

 2月中旬の転居であり、引っ越しシーズンではないので、休みとはいえそんなに混み合ってはいないだろうと考えていましたが、引越業界や昨今の人手不足に加え、時間外労働を規制する2024年問題を控えており、震災復旧、被災地の転居需要によるトラック不足もあるようで、かなりの高値を示されました。

 最終的には値引きされて、ある程度のラインで落ち着きましたが、相手の営業トークでもあるので額面どおり受け止めるわけにはいかないものの、運輸業界の人手不足はつとに聞いていたところでもあり、さもありなんとは思いました。

 季節の波動需要の大きい引っ越しに対しては、期間限定で人を確保する必要があり、今はそうした人の確保が一番難しい状況であるため、今後、3月、4月といったハイシーズンについては、引っ越し難民も出るのではないかと感じました。

 今は、各業界が賃金水準の引き上げで人手確保に躍起になっている状況にあり、観光業界は特に不足感が強く、需要はあるけれど人手が足らないので受け入れ客数を制限しているようです。時給単価も観光地のニセコや箱根などは都内並みの水準まで上がっているようです。

 先日の日経でも、将来的には大工が大幅に不足し、特に状況の深刻な地方は、二、三十年先には、一戸建てを建てられなくという特集記事があり、いよいよ社会のシステムが人材が枯渇して、回らなくなるという時代に入りつつあるように思います。

 ある程度は、デジタル技術の進展で省力化を進めることはできると思いますが、テクノロジーの進化が実用化段階でのボトルネックの克服に時間がかかっていることに加え、マイナンバーでさえ難渋している、社会の仕組みや法制度の対応の遅さもあり、人手不足の加速化にまだ間に合っていない状況にあるように思います。

 ただ、仮にこうしたテクノロジーの進化でブレイクスルーが起こり、仕組みや制度が追いついても、専門性に紐づけられたファシリテートやコーディネートの能力や、人間性が求められる、いわゆる「人材」が必要な分野は、残り続けることになるでしょうが、人口が減少すると、こうした人材になり得るリソースも減っていくことになります。

 特に自然体では人口減少が進む地方については、移住定住の促進で人材を引っ張ってくることが地方創生の一大ビジネスになっていますが、そもそも雇用や高等教育の条件が不利であるため、そうした条件不利をも問題としないようなスーパー人材以外は、地域を牽引する人材を持ってくることは難しい、自分の身に置き換えて考えると、そのように思います。

 地方の人材不足には、公務員で人材たり得るレベルの職員に、柔軟に副業を認めて地域の担い手になってもらう仕組みを作り、一人で2役3役担ってもらうことが必要で、副業議論は曖昧にして、消防団とボランティアで活躍してもらおうというのは、公務員の個人的な公益心に期待する、虫の良い発想です。

 大体、人材レベルの職員は、役所内でも忙しいため、そういう人材レベルの職員こそ、時間外勤務を厳しく規制して、第二、第三の役割を地域で担ってもらい、然るべき報酬を支払うことが、結果的に人材確保にもつながるのではないでしょうか。

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