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悪夢に仮託して心の叫びを代弁する

 日曜日から月曜日にかけての僕の睡眠は最悪で、表題のとおり、寝ない方が精神的に追い込まれなくて済む、という状態でした。

 最近は、睡眠導入剤を服用しても2時間から1時間おきに目が覚める状況でしたが、そこに悪夢が輪をかけて僕の心を侵襲し、寝てうなされて、起きては現実で抱えるしんどさに悪夢の残滓が溶け込んで、オレンジジュースにタバスコを入れたものを飲まされて目覚めた感覚で、後味の悪さたるや、この上ありません。

 前半はフルスロットルが想定される一週間を前にして、この夢のダメージは心を萎えさせるのに十分なパンチ力がありましたが、逆に考えると、そういうしんどさを前面に抱えているからこそ、防御反応的に持てるエネルギーを削ぎ落し、暴走によるオーバーヒートをふせごうとしているのかもしれません。

 心は悪役にもなれるし、自分に悪役という配役も割り振れる。まずは心の隔壁の中に入る言い訳が必要なのですが、、自作自演ができる心であれば、配役を割り振り、わかりやすい追い込み役を仕立てつつ、それに追われる自分という構図の中で、あらゆるしがらみから逃れられる、隔壁の中に入り込むことができるようになります。

 もちろん、一度、隔壁の中に入れば、最小限のアクセス以外は断ち切られてしまうため、世間に出て再接続することは大変になりますが、ネットワークのハブにあって、役目を果たしながら心のメンテをするのは、現実的には不可能です。

 自分以外の人間や社会、組織にとっては、隔壁に逃げ込むことは良しとはできないのでしょうが、そこは一度きりの人生、家族のためでも、社会のためでもなく、自分のために生きることを第一に考えないと、早い段階で精神が破綻をきたし、あるいは肉体的にも限界を迎えてしまいます。

 メンタルの負荷は、いかにタフに見える人でも、確実に心身を蝕んでおり、僕の周囲でも、50代で亡くなる人が何人かいるのですが、病名は確かに全然違うにせよ、ストレス過多の環境にあって、最後に大きな病気を招いて亡くなったようなケースが多いように思います。

タフな人ほど、見た目の強壮さとは裏腹に、内部が抉られ、蝕まれ、ある日突然、表層の底が抜けて自分の内面にある虚ろな空洞を目の当たりにした刹那、その空間に吸い込まれて命を閉じている印象です。

 生きるということは、食て寝て起きてネット見てだけでは成立せず、精神の安定を得るには、他者からの存在の肯定や承認、社会における自身の存在価値の確認といった、評価軸の杖が必要であり、その杖欲しさゆえに、組織や社会の物語に騙されて、余人を持って代えがたいと考え、力を尽くす、これは否定できないですが、
過度の負担により命を削ることとのバランスは、心の問題で正解がないゆえに非常に難しく、なればこそ、週初の悪夢に仮託することで、自身の心の叫びを天からの声と受け止め、セルフコントロールする言い訳を、つくっているのかもしれません。
 

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