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音楽の力

 昨日も母のところでギターの練習をしました。ドレミは出せるようになったので、簡単なカエルの歌からはじめてみました。

 まだまだ、ぎこちないものの、それとわかる感じでは弾くことができました。やはり、楽器で何かを表現できることは、楽しいですね。

 もう一つ、大きな収穫として、このギターを弾くことで、母が元気になるんですよね。
 一人暮らしで、どう転んでもこの先、楽しいことがないという思いに落ち込みがちな母に対し、今の僕は、母が人生に希望を持ち、望むような青い鳥をあげることはできません。結局は、頼ってきた父がいなくなったことの喪失感が根源ですし、その穴を埋めることは難しい。

 今は投げやり気味な荒んだ感情からは一時的に脱却し、母は母なりに、穴を小さくする努力をしているようですが、僕に比べれば手持ちのツールは少なく、年齢的な気力低下もあり、穴の中を見て、ため息をつくしない、そんな時間が多いようです。

 かといって、常に何らかの希望めいたものを渡し続けるのは、毎回、違うネタの手品を見せるようなもので、その仕込みは結構大変で、僕にとっても負荷のかかることであり、簡単ではありません。

 その点、楽器を演奏すると、一時的にせよ、気持ちは明るくなるようであり、僕にとっても、楽器が少しずつできるようになる喜びもあり、結果的に、楽しい時間を共有することができます。
 一方的にエネルギーを与えるより、喜びの時間を共有できるほうが、場の雰囲気が明るくなり、持続可能となります。

 よく、戦場とか、難民キャンプといった、ある種、人間として極限状態の困窮に置かれているときに、手持ちの楽器で曲を奏でる、あるいは歌を披露するような場面がありますからね。
 思えば、僕の「推し」であるマクロスシリーズも、戦場の歌姫が繰り出す、歌の力が、ストーリー展開のメインになっていますし、母も、みんなで歌をうたうような場所が、今は一番心が安らぐとのこと。

 音楽にそうした力があることを、今さらながら実感しています。


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