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言葉を空中で手直しするのは難しい

 今日は、年に1度、年度末に開催される、あるプロジェクトの一年を振り返っての成果と課題を話し合う関係者会合があり、僕が今日は都合が悪いことから、次席の人に出席してもらうことになり、昨日、代理出席する人に対し、その場で話をする内容の指導をしていました。

 基本的には、プロジェクトの進捗管理をするメンバーではなく、アドバイザー兼スポンサー的な役割のため、プロジェクトリーダーの総括を受けて、挨拶に毛の生えた程度で発言をすれば足りるのですが、担当の作成した文案は非常に硬い。

 また、プロジェクト参加企業、団体間において、立場の差はあるものの、有力なメンバーに馬鹿丁寧な物言いである一方、そうでないメンバーに対する物言いが上から目線であり、本来、ねぎらうべきプロジェクトリーダーに対する物言いもくどくて、その他のメンバーに対するさりげない言及もなく、全体的に、担当がこの一年の付き合いの中で感じた力関係と貸し借りの関係といった、自分の思いを直で反映させ過ぎであり、聞いていて何となく耳障りなところがあり、出来が良くありません。

 僕が出席する場合、こうして担当に作らせる挨拶文書は、だいたいこんなものなので、さっと目を通して、本番では要素はつまみつつ、その場の発言を踏まえて話をするのですが、今回は代理出席のため、ここで原稿を直しておかないと、そのまま棒読みされる可能性もあり、棒読みで上から目線だと、相当引っかかるはずなので、それなりに手を入れる必要があります。

 文章の添削で済めば、その方が簡単なのですが、そもそも、ここのセンテンス全体がだめでしょという感じだと、添削のレベルを超えて、丸ごと入れ替えのようなことになり、ただ、そこを外すと全体のバランスも崩れるため、限られた紙面の中で再構成するのは難しくなります。

 やむなく、紙面を離れて口頭で再構成するのですが、これは、グラグラする不安定な場所でブロックを取り外し組み替えているようなもの。空中に文章を浮かばせて、そこで文字の入れ替え加除を行うことになり、なかなか難度の高い作業です。

 ここまでくると、あとはデータをもらい、自分で1から作り直した方が早いのですが、それをやると、手直しの過程が伝わらなくなるため、
ここは我慢して、ディスカッションを続けます。僕の代理で行く人間に、ある程度、意図が伝わったようなので、あとは責任校正で、任せることにしました。
 
 このへん、一期一会に近い場面で、何をこちらから伝えるのか、1回でこちらの考えをどこまで行き渡らせるのか、関係者全員が聞いている中で話すべき内容は何か、個別に話した方が伝わるのではないか、こうした視点で多角的に検証したうえで、単に挨拶を求められたとしても、話す内容と順番については、厳選、吟味を重ねることが、次にもつながるように思います。

 今回のことに限らず、一つのケーススタディを題材に、少し踏み込んで議論を重ねておいた方が、応用が利きますし、その場での派生的な対応も可能になります。このへん、余裕がない人は、ともすれば「あいさつ文」だからと、やっつけ仕事になりがちですので、むしろ限界突破の契機にできるかを考えることが、リーダーには求められるように思います。

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