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K-POPのデザイン1: ミンヒジン

K-POPアイドルのクリエイティブを語るにおいて、まずはじめに名前が上がるであろうミンヒジン氏。彼女の仕事と、その中で個人的に好きな作品、その他それに関連して私が思う事について書こうと思う。
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ミンヒジン|Min Hee-jin|민희진
・1979年生まれ
・SMエンターテイメントの元クリエイティブディレクター
・2002年 SMエンターテイメント入社 → 2019年 退社
・2019年7月 BigHitエンターテインメントにChief Brand Officerとして合流

SMエンターテイメントは、韓国大手芸能事務所のひとつ。所属歌手は、BoA, 東方神起, SUPER JUNIOR, 少女時代, SHINee, f(x), EXO, Red Velvet, NCT など。ザックリいうと日本でいうジャニーズみたいな感じ。
移籍したBigHitエンターテイメントはBTSが所属している事務所。今イケイケの事務所。移籍理由は新生ガールズグループのプロデュースのためで、当時かなり話題になった。これから紹介するようなクリエイティブが、BTSの妹分グループで展開されると皆が想像したからだろう。

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個人的に好きな作品

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f(x) - 4Walls
K-POPアイドルは活動時期によって世代に分けられる事がある。そしてK-POPのデザインにもその世代というものがあるとしたら、それは4Walls以前と以後に分かれるのではと思うほど。それまではMVのセットも含め、ギラギラしたもの、結構装飾過多、ゴージャス系が多かった。その当時のミンヒジン氏作品も、コラージュや宝箱のようなイメージ(少女時代やSHINee初期など)で作られたものが多かったように思う。
さらに、5人だったf(x)から1人脱退して初めてのリリースが今作だが、その脱退メンバーが良くも悪くもガーリーでお姫様のようなイメージが強かったため、5人の時では出すことが出来なかった「洗練された大人」のイメージのディレクションが可能になったのではないかと推測する。f(x)というグループは個性あるSMアーティストの中でも突出した世界観があり、SHINeeと並びミンヒジン自身の試行錯誤が色濃く出ているグループだけに、当時は彼女の中でもパラダイムシフトがあったのではないか。

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EXO - Monster
K-POPアイドル多しと言えど、これほどのダークさを表現できるグループと制作陣はなかなか無い。K-POPアイドルのヘアスタイル・メイク・アクセサリーもビジュアル表現の一部だとするなら「Monster」は、その細部に至るまで徹底した“コンセプトアイドル”だ。MVのサムネイルがなぜこのカットなんだというツッコミは置いといて、一見の価値あり。この世界観に興味をもった人には後述の「Obsession」も推したい。

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Red Velvet - Perfect Velvet
f(x)の活動が減っていく中、ミンヒジン氏の制作欲を叶えていったのは、夏らしいテーマから90年代アメリカン・ホラーのようなコンセプトにもマッチする Red Velvet だったと思う。まずこの「Perfect Velvet」のメインビジュアル(画像左上)。得意のコラージュであるが、どうやればこのような一見アイドルのビジュアルを最大限活かしていないように見えつつ最終的に世界観を発揮する構図が思いつくのか。。それ以外のビジュアルにも可愛い衣装でありながらアダムスファミリーのようなヒリヒリとした感覚を持つコラージュやフォトディレクションが多く目立つ。気になった人はタイトル曲の「Peek-A-Boo」MVもどうぞ。
f(x) - Pink Tape Art Film
ミンヒジン氏自身から企画された初の映像作品。タイトル曲を聞いた際、コンセプトをうまく表現するには必ずそれに合う映像が必要と会社に提案したという。持ち込み企画のため低予算で制作されたそうだが、その条件下でも意図を理解しつつ試行錯誤してくれる監督を探した結果、当時映画科に在学中だった実の弟やその友人と一緒に制作することに。
メランコリーなイメージを持つ、無国籍で正体不明な学生の不思議なオムニバスを描いた内容。f(x)だけの愛の物語を解きほぐしたかったという。冒頭ナレーションもメンバーによるもの。ミンヒジン氏の知名度を上げた作品。
"Love exists but with an absence of eternity. At the first moment of a lovers encounter, there's an affirmation of love. Psychologically lunacy, emptiness, panic, delusion that the moment will last forever... I'm seized by the desire. I hide behind my back... And postpone all answers."

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W Korea
ファッション誌の企画。ミンヒジン氏のお気に入りSMアイドルのSHINeeテミン・EXOカイ・f(x)クリスタルを起用したもので、2人の青年と1人の女性でありながらカップリングは3通りという、関係性厨としてはご褒美のような作品。(3人とも同年代で練習生時代から仲が良かったらしく、カイとクリスタルは実際その後交際関係に。テミンとカイは2019年SuperMという各グループのセンター級を集めたグループ結成でメンバー同士に)
3人の男女の青春群像を描いた映画『the dreamers』のオマージュではないかとファンの間で推測がなされた。

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ミンヒジン退任後のSM

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EXO - Obsession
アイドルらしからぬダーク且つアニメキャラクター並みのスタイリングは、EXO個人の容姿と個性によって成立する無二の作品とコンセプトだ。EXOは各メンバーが特殊能力を持っているという設定なのだが、このMVではその設定が(笑)のような嫌味ある感じではなく各シーンのモチーフとして、さり気なくだが的確に採用されている。

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Red Velvet - Psycho
今回は言及していない楽曲面を含めても、世界観・衣装・フォトディレクションが歴代でいちばん素晴らしいと思う。後任ディレクターにミンヒジン氏の遺伝子が受け継がれつつも新しい試みがなされる喜びがある反面、Perfect Velvet 時を少し想起させるようなサイコホラー感がある分、これを彼女が手掛けていたらと思わずにはいられない。

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バックグラウンド

祖父の影響で子供の頃から絵に関心がありデザインに身近な環境で育つ。一時期オーディオディレクターに興味を持ち学生時代に放送部の活動をするも、写真への愛情を捨てられず最終的には視覚デザインを専攻。下の兄弟も視覚デザイン、映画演出を専攻。
大学3年の休学中に広告代理店でインターンを経験。その後進路に悩み、違う仕事をしたいと考えるように。ある日テレビでBoAのティザー映像を見て、大衆音楽に関心は無かったがジャケットデザインは魅力的であり、自身が好きなことや新しい試みを大衆に見せたいと思い、採用に応募。

「私とは遠くても世間とははるかに近い場所でした。そこで消耗的ではなくインスピレーションを与えるグラフィックの仕事をしてみたかったんです。特に韓国のアイドルという特化したジャンルを通じて、私の世界を発揮できれば、皮肉ながらもビリッと刺激になるのではと期待しました。」

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哲学

退任までアルバムのデザインだけでなく、舞台衣装、MVなど全体的なビジュアルを統括していたが、2002年入社時は社内にそのような部署は無く、新しい試みが成功するごとに徐々に制作システムが確立していったようだ。
2009年、全体コンセプトを提案しながらアルバムを制作する過程が会社に認められ、SUPER JUNIOR「Sorry Sorry」や少女時代「Gee」の時から、総合的なビジュアルディレクションを一任されるようになる。SHINee, f(x), EXO, Red Velvet, NCT はデビュー時から担当。* NCTは途中から外部やSMの別ビジュアルディレクターが担当している(後述)。

「ビジュアル全体を統括するディレクターがいなかった時代は、それぞれ各々の仕事をするしかありませんでした。音楽がいくら素敵でも、舞台衣装が似合わないと良い結果が出るわけがない。逆に舞台衣装がいくら素敵でも、音楽と似合わなければ無駄でしかない。正確なコンセプトを立てて、(衣装やカメラマンなどそれを実現できる)パートナーを見つけ、すべてのイメージが有機的に連結されるようにすることが重要です。」
「私にとって優れたデザインとは、単にジャケットを美しく装飾する作業というよりも、ミュージシャンあるいは制作者の意図や解釈が伴わなければならない作業です。そういう考えで仕事をしてみると自然になかったことも作ることになり、関わることが多くなりました。何でも初めては難しいものでその次から初めてより容易になるものです。じっとしていては何も変わりません。意図することを正しく成し遂げるためには、声を出して実行に移さなければなりません。」

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アーティストのロゴについて
「アーティストを象徴するロゴやキャラクターを作成することもありますが、毎回イメージ変身をするグループでは、固定されたロゴを活用したイメージを作り出すことがむしろ制限を与えることにもなります。
ある時は制服を着た強い感じ、またある時は少女的な感じなのに、同じロゴを適用すると正確なコンセプトを伝達するのは難しいです。ただしSMすべてのミュージシャンが同じではありません。EXOの場合はグループが追求する哲学の価値を込めて多様に活用できるように、基本的な図形を元に毎回デザインしたロゴを使用しています。」
アートディレクターについて
「アートディレクターはアートの概念を超えた段階までの仕事に関与して、アルバムが発売されるまでの全てをすると言うけれど、コミュニケーターの役割もしながらデザインも上手く広報とマーケティングまでする方法を知っておくべきです。この仕事に幻想を持っているならば絶対そうではありません。友達と遊んで、作業に時間をかけていなかったら今の仕事をしている自分はなかったでしょう。仕事に忠実で、孤独でも我慢して耐えることができる人間が良いアートディレクターになることができるのです。」

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まとめ

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次回

思っていたより長くなってしまったので、以下は次回に持ち越し投稿する。

Reference:
이때싶 민희진 SM 시절 작업 총정리
Creative×Logic=∞
© SM ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

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コメント (1)
すごく勉強になりました。あまりフォーカスされない部分を細かくわかりやすく教えてくださり、ありがとうございます!
自分はSMファンで、レドベル推しなので、この記事めっちゃ楽しかったです!!!
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