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AMEFURASSHI、アメフラ、3B 新旧楽曲を融合したライブ 「AMEFURASSHI FALL IN LOVE TOUR 2022」(2部)@KANDA SQUARE HALL

「AMEFURASSHI FALL IN LOVE TOUR 2022」初日の第二部を見た。前回のツアーが新アルバムを引っ提げてのアルバムツアーであったため、まだ節目となるライブでは未発表であった新曲「グラデーション」の披露はあるだろうと予想されたが、どんな方向性のライブになるのだろうということが予想しにくかったのだが、なんと「グラデーション」以外の新曲「Love is Love」も初披露され、さらに3Bjunior(3B)時代の楽曲やアメフラっシ時代の楽曲のアレンジや振付を一新してのパフォーマンスも見せ、新旧楽曲を融合したライブを見せてくれた。
アメフラは設立時から3Bの解散を経てアイドルを続けたいメンバーにより発足した経緯があった。そのために3Bの遺伝子を受け継ぐというコンセプトがあった。ただ、最近はAMEFURASSHIへの改名、パフォーマンスもKPOP寄りのガールクラッシュにシフトしたこともあり、カッコいいガールズグループのイメージが強調されたため、あまり3Bのことは言及されなくなっていた。
ライブを見終わって考えたのは今回のツアーのテーマのひとつは過去と未来の融合ではないかということだ。それを象徴するのが「Sneaker’s Dlight」だ。もともとは3Bの楽曲なのだが、私は3Bをフォローはしていなかったこともあり、初めて今回この楽曲がかかった時にはファンクな曲調とショーアップされたダンスにフィロソフィーのダンスの楽曲などを連想して、「LOVE is LOVE」に続く新曲だと勘違いしてしまった。実はこれが「Sneaker’s Dlight」だったと知った後で動画サイトで3Bjuniorのライブ映像を確認してみたのだが、印象はまったく違っており*1、原曲の骨格を生かしながらももはや別物といってもおかしくない楽曲に変貌していた。

「Sneaker’s Dlight」(3Bjunior.ver)

 アルバム「Drop」にはいい曲が集まっており、グループとして大きな武器を手に入れた感があったが、実は前身の3Bjuniorには代表曲の「勇気のシルエット」「Fragile Stars」やグループ内のユニット曲など名曲が多いことがファンの間では知られていた。AMEFURASSHI(当時はアメフラっシ)はそうした楽曲も含め受け継いでいくグループとして誕生したため、以前はグループのオリジナル曲が少ないこともあり、折に触れて旧楽曲も披露していたが、最近は外部に向けてグループのイメージを「カッコいい」に全振りしたプロモーションをしてきたこともあり、アメフラ、3Bの旧曲を披露する機会は限られていた。「Sneaker’s Dlight」が面白かったのは単に昔の曲を懐古趣味でカバーすることにとどまらず、いわばAMEFURASSHIver.としてアレンジしなおして、ダンスも一新、今のAMEFURASSHIが歌うのに相応しい曲にリメイクして見せたことだ。
 一方、アンコールで披露された「ひとつよろしくどうぞ」はもともと3Bの自己紹介曲だったものを歌詞を全面リニューアル。26人が登場したのが、4人まで減ってしまったのをスタッフと観客を歌詞に取り入れて歌った。
アメフラっシ(5人)時代の楽曲で曲はいいのにあまり歌われていなかった「差し出された手をあの時握ってたら運命変わってたかな?」が4人で歌う新バージョンで復活したのが、なかなか胸熱なことだった。この歌が歌われなかったのはおそらく、この歌がグループを辞めた大平ひかる(ひっか)がメインボーカルだった曲だからだ。もともとはひっかと愛来によるバラード曲で、曲ごとに歌唱メンバーが変わる当時の「変幻自在」を象徴するように萌花とゆづはなによる「From Letter」と対をなすような役割を果たしていた。
 「さっしー」という愛称でファンに呼ばれていることからも人気曲であったとは思うのだが、メンバーにとってもファンにとっても喉に刺さった針のような存在になっていたのは間違いない。あいらもえかという組み合わせで何度か歌われたことはあったものの、セトリに定着しなかったのはメンバーの間にも何となくそういう意識があったからではないかと思う。
 以前に歌った時には大平ひかるのパートをそのまま鈴木萌花が引き継ぐ形になったため抵抗感が大きかったと思われるが、今回は歌いだしを優月が担当して、ほかのメンバーがソロ歌唱を歌い継いでいく形に変えたので、かなり印象が変わった。4人曲に変更されたことで今後は歌う機会も増えてきそうだ。
 前回ツアーの時にはなかった新曲は「グラデーション」とこの日発表された完全新曲の「Love in Love」。「グラデーション」はスタプラ得意の白と黒(モノクローム)の画面に色が加わり鮮やかな色彩の色合いが展開されているという楽曲(ももクロでいう「モノクロデッサン」、TEAMSHACHIの「colors」に近いかもしれない)。

 「Love is Love」はLDHっぽいダンスミュージックだが、パフォーマンスとしてはマドンナのMVで知られるヴォーギング ( Voguing )を取り入れたダンスが特徴。AMEFURASSHIのダンスパフォーマンスの面白さはストリート系のダンス技法が中心にはあるが、曲ごとにその曲に合わせた様々なジャンルのダンスが取り入れられていることだ。今回取り入れたヴォーギングとはマドンナのMVで有名になったが、雑誌VOGUEのモデルがするようなポーズを次々とつないでいくことから、こう呼ばれるようになった。

やはり、ダンスが売り物であったももクロにももっといろんな種類のダンスを取り入れてほしいという思いが以前はあったのだが、当時の石川ゆみの振付の方向性は「ももクロらしさ」を重視したもので、それゆえ既存のダンステクニックなどは前面に出さなかった。当時は踊れないからと勘違いしていたファンもいたようだが、「Lady May」などを見ると踊れたけれど踊らなったというのがはっきり分かる。一方、ANNAの振付はメンバー個々のダンスの能力を存分に生かしていくとともに「ダンスの多様性」を見せていくもので、「シン・魂の公開稽古」でいろんなジャンルのダンス講師を毎回呼んでパフォーマンスにフィードバックさせることを繰り返しているのも、そうした試みを通じて対応できるムーブとテクニックの種類を増やして、ハイスキルと多様性を見せていきたいという狙いがあるからであろう。

東 京 2022年10月9日(日) KANDA SQUARE HALL
1部 open 12:45 / start 13:30
2部 open 18:15 / start 19:00



*1:実は3Bjuniorの解散ライブでもやっているので聴いたことはあるはずだが、記憶が飛んでいた。

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