ポップダンス、ブレイクダンス……。アイドルの新たなダンス挑戦が魅力的。アメフラっシ 「シン・魂の公開稽古第三回公演」@新宿ルミネゼロ
愛来が足をケガのニュースが急きょ飛び込んできたのでどういう感じだろうと心配しながらの参戦。この企画は単独の自主的イベントからプラットホームを変えて、継続しているもので現在のフォーマットになってから第三回。会場も徐々に大きくなり、今回は客席250~300席の新宿ルミネゼロでの開催。
ゲストは第一部は予想通りにももクロのももクロマニアのマラソン大会の監修などでもおなじみの谷村真理。長時間のライブでも持ちこたえられるスタミナづくりという実践的な主題で、「ファンからすると意外かもしれないが、スタミナには不安がある」という愛来をはじめ各メンバーともに興味津々。対処法も心肺機能を高めて酸素を取り入れて、ATP(アドノシン3リン酸)にするために必要な体内のミトコンドリアの量を増やすためにはどうしたらいいのかという実践的なもので、「スタミナには不安がある」という愛来をはじめ、メンバーも興味津々。
とはいえ、細胞内に存在しているミトコンドリアを芋虫みたいなやつと言っていたメンバーもいた(愛来?)し、どれだけいるのかについて二匹とか誰かが発言していたので、明らかに実態を把握はしていないだろう(笑)。
バラエティー的にはミトコンドリアを増やすのに「空腹の時間を作る」というのを挙げられて「絶対無理」という落胆した顔を見せた後、「イカ、タコ、貝類を食するといい」という次の選択肢に本当に嬉しそうな顔に変わった小島はなの表情が印象的。早くも「シーフード食べるぞ」という意欲が満々で笑ってしまった。
その次のクイズタイムショックではメンバーはももクロ以上の天然ぶりを発揮。ゆづは自信満々に「イタリアの首都はパリ」などと夏菜子ばりの答えを連発していたがガールクラッシュなカッコいいグループとして売り込んでいくのならこれはまずいぞ(笑)。とはいっても隠そうとしても当分無理なので、これは普段は阿保なのにパフォーマンスをやらせると滅茶苦茶カッコいいというギャップ萌えを狙っていくしかないか。
心配していた愛来のケガはダンスは大事をとって休んでいたが、普通に歩けたりはするようで、松葉づえとかでパフォーマンスになるかもとの予想もしていたのに比べると不幸中の幸いだったといえそうだ。
「シン・魂の公開稽古」の私にとっての最大の魅力は実は第二部のパフォーマンス稽古である。現在のところは1回目はANNA先生の課題をメンバーが踊り、終了後論評。私の批評家としての専門分野は現代演劇とコンテンポラリーダンスで、アイドルに興味を持ち始めたきっかけもももクロのパフォーマンスを見てそこにダンスパフォーマンスとしての新たな可能性を感じたからで、ももクロがいろんなジャンルのダンスやパフォーマンスに挑戦するという企画も本当は見たかったのだが、やはりそういうことに興味を持つ人は少ないからかそれが実現することはなかった*1。それもあってアイドルのパフォーマンスの重要な部分を担うダンスに焦点を当てた企画として期待しているのである*2。
少しだけ過去の稽古を紹介してみることにしたいが、第一回の講師は日ごろアメフラっシメンバーを指導している宇津木安奈(ANNA先生としてファンには知られている)。彼女はメンバーを3Bjunior所属の時代から指導しているから、彼女とメンバーの関係はPerfumeとMIKIKO、ももクロと石川ゆみとの関係のように深い関係で、ももクロとはかなりテイストの違うアメフラっシ特有の動きは彼女が手塩にかけて育て上げてきた結晶だと思っている。
とはいえ、この企画の面白さは歌よりも分かりにくいダンスの場合のそれぞれのメンバーの個性の違いがはっきりと分かることで、それをANNA先生自身が分析して解説してくれるというのはあまりないことではないか。この企画ではメンバーのパフォーマンスの前に講師が自ら踊ってパフォーマンスをみせてくれるのも特徴で、フリコピ勢などダンスに興味のある人には興味深い企画ではないか。
第二回のパフォーマンス稽古で取り上げたのはポッピン(ポップダンス)で、これはストリート系のダンスの中では代表的なもののひとつ。これについては下の映像を参考にしてほしい。
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第三回のこの日に取り上げられたのがブレイキン(ブレイクダンス)で何となくある程度何とかなるだろうと思われたポッピンより相当以上にハードルが高いのではないかと思われた。さすがにアクロバティックな技術をこなす身体能力が必要でそのため、そもそも男性と比べてこの分野の女性ダンサーは少ないとも思われたのでどうなるものかと思ったが、さすがに頭で回転するような高難度のものはすぐには無理だが、課題として与えられたそれなりの技をこなしていたのには驚かされた。今回ケガでパフォーマンスに参加できなかった愛来はおそらくメンバーの中では一番こういうダンスにもフィットできそうな気がしたのでそれが今回は披露できなかったのが心残りであったろうが、曲がりなりにもこういう企画が成立するのはメンバーのダンスの基礎技術がかなりしっかりしていることがあるからだとも思う*3
少しだけ気になっているのは今のところダンス関係の講師の人選がANNA先生の直接の知人に限られていることで、これまでアイドルをあまり振り付けた経験がない一流の振付家を呼ぶことも考えてほしいと思う*4。
現在はマネージャー・ほ楽曲制作佐藤守道、歌唱指導MARICO、ダンス振付・指導ANNAのコアな体制になっていて、それはもちろん強みなのだが、振付によっては今後は曲想によっては外部招聘も考えていいのではないかとも考えていて、この企画は将来的に振付家とのコネクションを増やすきっかけにもなり得るとも思うからだ。そういえば日本を代表するコンテンポラリーダンスカンパニー「珍しいキノコ舞踊団」*5を主宰していた伊藤千枝はチームしゃちほこ、私立恵比寿中学への振付経験があった。
*1:実はNHKの青山ワンセグ開発でダンスを主題にした番組の提案があり、それが勝利してももクロも参加しないかと考えたが、実現はしなかった
*2:もうひとつのパフォーマンスの柱である歌についてはフジテレビNEXTの「ガチンコスターダストプラネット」があって、ここでそれぞれの成長の過程を目撃することができたが、それに比肩する企画だと思っている。
*3:おそらく、スタプラ所属のアイドルの中で類似の企画が成立するのはCROWN POPぐらいではないか。ももクロもできるかもしれないが、メンバーによる得意不得意がより露わになってしまうかもしれない。
*4:個人的に呼んでほしいのはロックダンスあるいはコンテンポラリーダンスの振付家として高橋萌登かその師匠KENTARO!!。
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