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中西理のアイドル論考

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演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。
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#ももクロ

【ネタバレあり】ももクロメンバーの意思感じた有安杏果の映像多用された15周年回顧 ハモりなど新たな刺激的挑戦も MOMOIRO CLOVER Z 15th Anniversary Tour「QUEEN OF STAGE」@武蔵野の森総合スポーツプラザ

プロデューサー役の川上アキラや演出家の佐々木敦規の手を借りず、ももクロのメンバー自身による初めてのセルフプロデュースによるライブツアーがMOMOIRO CLOVER Z 15th Anniversary Tour「QUEEN OF STAGE」である。それゆえ、演出面で今までとは違うどんな新機軸を見せてくれるのかと見に出かけたのだが、後半にこの15周年をそれまでの代表的な楽曲のMVやライブ映像とともに振り返るという演出があり、そこにこそメンバーの強い意志を感じた。これまで、も

【アーカイブ 2019年】ももクロファンクラブ(ANGEL EYES)限定イベント「男祭り2019大阪秋の陣」@大阪城ホール

 最近のももクロはパフォーマンス力、歌唱力が上がったことで、どのライブにいっても「これはよかった」としか思わないのだが、そういう中でもこの日のライブは「よかった」(バカが書いたものに見えるかもしれないが、批評的言辞をなにも挟む余地がないほどだ)。舞台前方のモニターに煽りの文字列が映し出されるのだが、それを見ていて思ったのは最近大箱ライブでは新規のファンの比率が増えたこともあり(古参ファンが高齢化したとの説もある)、ももクロの最大の武器であるモノノフのコールが薄くなったのではな

【連載第3回】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI『Coffee』について聴く(3)

「『ももクロを聴け!ver.3』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴いてみることにした」*1の第二弾。今回は『Coffee』について聴いてみることにしました。収録されたリード曲「Blow Your Mind」がこれまでの最速で25万再生を達成するなど注目のミニアルバムだが、前回のアルバム『Drop』に続き、現在のAMEFURASSHIの音楽性や戦略がますますはっきりしてきたようなところがある。 (ZOOMにて5月24日収録) 堀埜浩二(以下堀埜) アメフラに

コロナ禍後初の声出し解禁にモノノフの歓喜が爆発 代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary@国立代々木競技場 第一体育館

「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」はももクロの結成15周年記念公演ではあるが、本来の記念日である翌日(5月17日)に比べて、この日はコロナ禍後初のコール解禁の日というのが大きかったかもしれない。会場ではやっと声が出せるモノノフの歓喜が爆発した。 冒頭の「overture~ももいろクローバーZ参上!!~」からして我慢に我慢を強いられてきたモノノフのコール復活の喜びが溢れ出した。5年前の10周年記念公演では東京ドームの外側までその音が響

『ももクロ春の一大事2023 in 福山市〜笑顔のチカラ つなげるオモイ〜 DAY2』@ABEMA PPV ONLINE LIVE

 ももいろクローバーZ(ももクロ)のライブ「春の一大事」はももクロが地方自治体とタッグを組んで、行う巨大野外ライブ。『ももクロ春の一大事2017 in 富士見市 LIVE』で始まり、今回が7年目だが、途中コロナでの延期が2年間続いたので5回目の開催となった。ももクロでは声出し(コール)解禁は5月の「結成15周年記念ライブ」からということがすでに公表されており、今回のライブでの声出しはできなかったが、声出し解禁前の最後の巨大野外ライブとしてポスト「コロナ」に向け祝祭感にあふれた

【アーカイブ】日本最初のアイドル、松井須磨子とももクロ~5色のペンライトはいかにして「日本文学盛衰史」に登場したのか 青年団第79回公演「日本文学盛衰史」@吉祥寺シアター(2回目)

日本最初のアイドル、松井須磨子とももクロ~5色のペンライトはいかにして「日本文学盛衰史」に登場したのか 「日本文学盛衰史」は平田オリザ作品としては珍しい4場の構成となっており、明治を代表する4人の文学者(北村透谷、正岡子規、二葉亭四迷、夏目漱石)の葬儀が取り上げられている。 今回の舞台「日本文学盛衰史」では平田オリザいわく全部で80近くの小ネタが散りばめられているということなのだが、その中のひとつでモノノフ(ももクロのファン)をざわつかせているのが登場する文学者たちが5色の

ももクロ×ドリフ×東京03飯塚悟志 生み出された奇跡の時間 もリフの時間『ドリフ&ももクロ ライブフェス』@日本武道館

ももクロをあまり知らない人にはピンとこないかも知れないが、ももクロには目標としてきたグループが3つあった。一つ目はSMAP、次は嵐、そして最後がザ・ドリフターズであった。その理由にいずれもが国民的人気グループでメンバー仲が良く、長く続いていることを挙げていた。そして、これらのグループを挙げたのは女性アイドルでは難しいとされる長く続いて皆に愛されるグループになりたいという意味が言外にあった。  それだけにこれらのグループと関わることはももクロにとっては特別な出来事で、解散や活動

AKB48とももクロについて再考してみた「AKB48白熱論争」@幻冬舎新書を読む

 私がももいろクローバーZの論考を書くきっかけになった書籍。AKB48全盛期と言っても過言ではない2012年の出版。最近家にある書籍の不要なものを古書店に売却処分するなど整理している中で本棚の奥からこの著作を発見。思わず懐かしくなって読み返してみたのだが、AKBがその当時と比べると凋落していると言わざる得ない現在読んでみると忘れていたいろんなことを思い出して懐かしい気持ちになった。  逆に現在の冷静な目から俯瞰してみると日本の言論界においてそれなりの地位にあった(あるいはあ

ある意味「決定版」。 最新形と初期曲組み合わせたセットリスト。週末ヒロインももいろクローバーZ LIVE「origin」@明治座(東京都民限定ライブ)

セットリスト(曲順)は前日見たニコニコ生放送の配信回と同じ。今回は5回の公演ですべて同じ内容だったようだが、そのせいもあって、最終日の4日はダンスも歌も非常に完成度の高いライブであった。これはももクロ自身のパフォーマンスもそうなのだが、スタッフワークとの息もぴったり合っていた感覚もあり、今回は演劇公演が中止に追い込まれたことでの急きょの対応ではあったが、コロナ禍の終息した後も年に1回ぐらいはやってほしいと思った。特に今回は直前の配信ライブを佐々木敦規、百田夏菜子のソロコンを本

マーティ・フリードマンが10年ぶり降臨、ギターの音圧に負けないももクロ。「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」

「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の2日目。1日目では「PRIDEのテーマ」「CONTRADICTION」「DNA狂詩曲」「走れ!!」といった10年前のライブで披露した楽曲にその後のアルバム曲の「マホロバケーション」「デモンストレーション」「Sweet Wonderer」「灰とダイヤモンド」にかつてももクリのために用意されたクリスマス曲「真冬のサンサンサマータイム」「HOLIDAY」「空のカーテン」などを挟み込んだ構成。2日目も基本的な構成は変わ

『ももいろクローバーZ 〜アイドルの向こう側〜〈特別上映版〉』@新宿バルト9

TBS取材陣によるももいろクローバーZのドキュメンタリー。ももクロのドキュメンタリーといえば本広克行監督らによって編集された「はじめてのももクロ(はじクロ)」*1があまりにも有名で、ファンの間でも入門書代わりのように使われてきたが、「はじクロ」は苦難のももクロ黎明期からその成功までを描いたいわば「歴史の書」。しかも最後が「幕が上がる」への挑戦で終わっているから、6人、5人時代を描いた歴史資料。卒業した有安杏果の映像なども頻出するため、運営が公式な形でこれを使用することはない。

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』参戦記ももクロライブレポート

 ROCK IN JAPAN FESTIVAL参戦は昨年に続き2回目。昨年は知人の好意で車に同乗させてもらったのだが、今年は勝田駅経由のJRとシャトルバスを乗り継いでのひとりでの参加となった。目的はももクロのライブだが、その前にゴールデンボンバー(金爆)を見たいなとも思っていた。  だが、シャトルバス乗り込みにけっこう時間がかかったせいで会場に着いてみるとちょうど目の前のLAKE STAGEで金爆と時間が重なっているでんぱ組がやっていて、それを2~3曲聴いているうちに時間がた

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』参戦記 ももクロライブレポート

  ロックフェスに初めてダウンタウンももクロバンド(DMB)が降臨した。パフォーマンスの準備が始まって、楽器が並べられ出した瞬間にすでに今回はバンドと一緒だと気持ちが昂ぶった。周囲のももクロファン以外の観客からギターのそしてホーンセクションのタイトな音質に随所で驚きの声が上がっていた。ももクロをあまり知らないロックファンの客層に対し、サウンドチェックの一環として、「ゴールデンヒストリー」を演奏してみせた時点でこの日のパフォーマンスの成功は決定づけられていたかも知れない。 そ

Perfumeとももクロのパフォーマンスについて 配信ライブを中心に(その2)

ももクロは配信ライブの新たな可能性について挑戦的な試みを続けてきた*1が、これまでの試みを踏まえての決定版ともいえるライブ配信が「PLAY!」(2020年11月)だったのではないかと思う。VR技術を駆使した新曲の「PLAY!」の初披露から始まった。今回の配信ライブが凄かったのはPerfumeの配信ライブなどでも駆使されたVR(仮想現実=バーチャルリアリティー)など最新のデジタル技術を活用した場面をまず最初に提示しながら、デジタル技術だけに頼らないでシーンごとに様々な映像に関す