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中西理のアイドル論考

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演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。
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2022年8月の記事一覧

浪江女子発組合第9回定期大会「ユウマさん かっこいい~雨女リベンジ~」@福島県浪江町・道の駅なみえ北側の請戸川土手

浪江女子発組合第9回定期大会「ユウマさん かっこいい~雨女リベンジ~」はJA浪江のメンバーが観客に向かって水をかけまくるという「水掛け祭り」となった。浪江女子発組合は翌日にはアイドルフェス「@JAM EXPO」に参加して、高度に洗練された完成度の高いパフォーマンスを展開したが、ライブの魅力はそういうことだけではなく、ライブ(生)ならではの出たとこ勝負のお祭り感もあるんだということを配信のパソコン画面ごしであっても分からせてくれた。 思わず笑ってしまったのは途中から水掛けに本気

マーティ・フリードマンが10年ぶり降臨、ギターの音圧に負けないももクロ。「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」

「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の2日目。1日目では「PRIDEのテーマ」「CONTRADICTION」「DNA狂詩曲」「走れ!!」といった10年前のライブで披露した楽曲にその後のアルバム曲の「マホロバケーション」「デモンストレーション」「Sweet Wonderer」「灰とダイヤモンド」にかつてももクリのために用意されたクリスマス曲「真冬のサンサンサマータイム」「HOLIDAY」「空のカーテン」などを挟み込んだ構成。2日目も基本的な構成は変わ

佐々木彩夏、AMEFIRASSHI、B.O.L.T、CROWN POP、浪江女子発組合ら スタプラあーりん軍団が横アリ集結! @JAM EXPO2022 DAYS2@横浜アリーナ(配信)

昨年(2021年)はももいろクローバーZと私立恵比寿中学がともに参加したことで、スタプラフェスの感を呈した @JAM EXPOだったが、今年は佐々木彩夏以外は若手の妹グループのみの参加。それでも勢いに乗るばってん少女隊をはじめ多数のグループが参加。佐々木彩夏が率いる浪江女子発組合とそのメンバーでもあるAMEFURASSHI、B.O.L.T、あーりんソロコンに毎年ダンサーとして参加しているCROWN POPとスタプラのあーりん軍団が横浜アリーナに顔を揃えた。  AMEFURAS

原点回帰のももいろクリスマス「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」DAY1

「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」DAももクロのクリスマスライブが「ももいろクリスマス」(ももクリと略)である。ももクロの大規模ライブは通例年に3回。春、夏、冬と季節ごとに毎年ほぼ同時期に開催され春が「春の一大事(春一と略)」、夏がスタジアムでの巨大野外ライブ、そして冬がこのももクリである。実はそれぞれライブ演出の方向性も違う。ももクリは今回のさいたまスーパーアリーナのように比較的音響環境のよい閉鎖空間での作りこんだライブとなることが多い。昨年は

『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村』第135夜「武部聡志ときくちから」@フジテレビNEXT

THE ALFEEのカバーバンドで登場した「そこに鳴る」。スタプラからの2組(TEAM SHACHI・ばってん少女隊)。初代音楽監督武部聡志、ゲストシンガー川崎鷹也と充実のラインナップだった。 とはいえ、やはり圧巻と言えたのはTEAM SHACHIによる「幻夜祭」のカバーであろう。TEAM SHACHIはスタプラファンの間でもその実力が軽く見られている感があると思っているのだが、最近実力派のアイドルとして一目置かれている感があるばってん少女隊と比べても歌の実力は抜けているので

『ももいろクローバーZ 〜アイドルの向こう側〜〈特別上映版〉』@新宿バルト9

TBS取材陣によるももいろクローバーZのドキュメンタリー。ももクロのドキュメンタリーといえば本広克行監督らによって編集された「はじめてのももクロ(はじクロ)」*1があまりにも有名で、ファンの間でも入門書代わりのように使われてきたが、「はじクロ」は苦難のももクロ黎明期からその成功までを描いたいわば「歴史の書」。しかも最後が「幕が上がる」への挑戦で終わっているから、6人、5人時代を描いた歴史資料。卒業した有安杏果の映像なども頻出するため、運営が公式な形でこれを使用することはない。

【連載第3回】「ももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Drop」について聴く(3)

「ももクロを聴け!ver.3」を出版したばかりの堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴くインタビュー企画の3回目。 (ZOOMにて収録) 堀埜 本当は違うのですがジャンルとしてはこういう「Drop」のような踊るための音楽は最近は「ダンス」という言い方がされています。 中西 初歩的な質問で申し訳ないのですが、ダンスと言っているジャンルとEDMはまた違うのでしょうか。 堀埜 EDMはもっとエレクトロをしっかり出している感じになりますかね。ただ、その辺はどういう風に言

【連載4回目】「ももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Drop」について聴く(4)

「ももクロを聴け!ver.3」を出版したばかりの堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴くインタビュー企画の4回目。 (ZOOMにて収録) 中西 ももクロとAMEFURASSHIには共通している部分もあると思うんです。これはももクロだけでなくアイドル全般について言えることですが、特定の楽曲ごとに特定のテーマはあるとは思うんですが、それは何のことを歌っているかというと自分たちのことを歌っている。そういう二重性がアイドルの歌にはある。三重になっている場合もあるわけです

多田淳之介インタビュー「Perfumeとももクロ」(「アイドル感染拡大」収録)

中西理(以下中西) 今回は「ももクロ論壇」(表題「アイドル感染拡大」)という批評誌に「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」という表題で論考を書くことになりました*1。ももクロに代表されるような最近のアイドルのパフォーマンスが演劇の演出家の目にどのように映っているのかが知りたくて、今回の論考にもその作品が一部紹介され、アイドルにも造詣が深い演出家として東京デスロックの多田淳之介さんに話をお聞きすることにしました。きょうはどうもよろしくお願いします。 多田淳之介(以下多田

【連載第2回】「ももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Drop」について聴く(2)

「ももクロを聴け!ver.3」*1を出版したばかりの堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴くインタビュー企画の2回目。 (ZOOMにて収録) 中西理(以下中西) アメフラの楽曲というのはこの曲(「ARTFICIAL GIRL」)だけではなくレトロな感じはあるんですかね。 堀埜 そう、ちょっとレトロな感じはあります。それはね、あえて入れてるんやと思います。使っているシンセの音とか、そういうので遊び心でちょっとレトロ感を出している。これも割とアルバム全体の要素で

【連載第1回】「ももクロを聴け!」の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI「Drop」について聴く(1)

AMEFURASSHIがどのような音楽的特徴を持つグループなのかについてはこれまでも私なりに考察を進めてきた*1*2が、普段演劇やダンスパフォーマンスについての文章を各種媒体に執筆してきた身としてパフォーマンスについては専門家という自負はあるが、音楽についてはどちらかというと門外漢。一度専門家の意見を聞いてみたいとかねがね考えていた。そこで今回「ももクロを聴け!ver.3」を出版したばかりの堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴いてみることにした。 (ZOOMに

AMEFURASSHIオープニングアクト2日目「ももクロ夏のバカ騒ぎ2022 -MOMOFEST-」@埼玉県・ベルーナドーム

AMEFURASSHIが初めてももクロの夏の大規模ライブ「ももクロ夏のバカ騒ぎ」のオープニングアクトを務めた。2万人が集まるような巨大な会場でのパフォーマンスはもちろん初めて。この日は二日目で初日は観客から大きな空間を使いこなせてないなどの指摘も上がっていたようだが、この日は見事に修正。動員とかを度外視して実力というだけなら、スタジアムクラスの会場でのパフォーマンスにも十分対応できるんだというのを見せてくれた。 ただ、観客の反応などを見ているとまだアリーナとスタンドでは観客の

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』参戦記ももクロライブレポート

 ROCK IN JAPAN FESTIVAL参戦は昨年に続き2回目。昨年は知人の好意で車に同乗させてもらったのだが、今年は勝田駅経由のJRとシャトルバスを乗り継いでのひとりでの参加となった。目的はももクロのライブだが、その前にゴールデンボンバー(金爆)を見たいなとも思っていた。  だが、シャトルバス乗り込みにけっこう時間がかかったせいで会場に着いてみるとちょうど目の前のLAKE STAGEで金爆と時間が重なっているでんぱ組がやっていて、それを2~3曲聴いているうちに時間がた

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』参戦記 ももクロライブレポート

  ロックフェスに初めてダウンタウンももクロバンド(DMB)が降臨した。パフォーマンスの準備が始まって、楽器が並べられ出した瞬間にすでに今回はバンドと一緒だと気持ちが昂ぶった。周囲のももクロファン以外の観客からギターのそしてホーンセクションのタイトな音質に随所で驚きの声が上がっていた。ももクロをあまり知らないロックファンの客層に対し、サウンドチェックの一環として、「ゴールデンヒストリー」を演奏してみせた時点でこの日のパフォーマンスの成功は決定づけられていたかも知れない。 そ